道草

ブログ元年 俳句元年 去年今年

僕のコメント集

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

溝口健二の映画

イメージ 1

        


    ★『山椒太夫』について

 僕は初めてこの映画を見た時
 あの田中絹代の老いさらばえた
 ラストシーンを見て泣きに泣きました。

 60年ぶりにチェジュ島に帰った
 おばあちゃんも両親の墓も前で
 韓国式のやり方で両手をついて、
 <私は親不孝者です>と言う所を見て
 ホロリとしました。

 老婆のこういう姿を見るともう駄目ですね。
 自分も親不孝者ですから・・・。


      ★『近松物語』について

 <近松><西鶴><雨月>は
 もう言うことなしですね。
 小津にも黒沢にも作れない
 魂の込められた映画だから・・・。

 我々はただもう見るだけで胸が熱くなり
 涙を搾り取られる思いのする作品。
 全身全霊で享受するしかない
 溝口の入魂の傑作です。


    ★新藤兼人監督の『ある映画監督の生涯』


 この作品は新藤兼人監督の
 執念のドキュメントになったと思う。

 新藤さんの溝口に対する想いには執念を感じます。
 それと同等の想いを田中絹代に捧げている。
 新藤さんは何としても絹代さんの口から
 <好き>と言う言葉を聞きたかったのではないか?
 そう信じて作った作品と思います。


★『西鶴一代女』について

 18歳でこの映画は
 僕にはその良さが分からなかったと思います。
 僕が初めて見たのが20代で
 多分並木座だったと思います。

 女というものの深みを
 これだけ描ける監督は
 世界でも居ないのではないでしょうか?

 ベルイマンは女の心理と感情の
 深みまでは描いていると思いますが、
 その存在の深みまでは至っているとは思えません。

 そういう意味ではこの作品は
 世界映画史上でも最高傑作と言えると思います。
 溝口入魂の一作で
 僕にはまだ書く自信がないように思います。

 「近松」「西鶴」「雨月」
 どれも日本映画文化の宝ですよね。

日本の映画監督

   ★内田吐夢監督の『飢餓海峡』


 今日NHKのテレビに
 歌手の石川さゆりが出ていて
 この映画の<杉戸八重>を演じていたけど、
 左幸子そっくりなのに驚きました。

 石川さゆりの歌に入り込む集中度が異常な程
 入り込んでしまう人だからかと思いました。
 あの杉戸八重の独特の<なまり>がそっくりでした。
 左幸子は確か富山県の生まれでした。
 可愛くて芯がしっかりしていて好きでした。

 とにかく左幸子と
 三国蓮太郎の入魂の演技
 そしてコメディアンの伴淳が
 いぶし銀の名演で
 見る者をグイグイ引っ張って行く
 力のある名作で、
 ラストの<御詠歌>が堪らなく良かった。

 理屈でなく
 見る者の感情に食い込んで来る 
 極め付けの名作でした。


    ★熊井啓監督の『海と毒薬』

 先日BSで小林正樹監督の
 「上意討ち」を堪能しましたが、
 何かこの二人の映画には
 <執念>と言うものを感じます。

 昔友人と「忍ぶ川」を見て
 <初夜のシーン>が余りに美しくて
 感激したのを覚えています。
 僕はその勢いで熊井啓監督に
 ファンレターを書いたら、
 <お仕事頑張って下さい>という
 いかにも熊井さんらしい返事に
 心打たれたことがあります。

 僕は社会的な映画は苦手なのですが
 熊井さんの作品は殆ど見ています。
 <社会派>ではなく
 人間をとことん追い詰め
 見詰めた<リアリスト>だったと思います。


       ★山田洋次の『武士の一分』  

 すべてテレビで見たので正確には書けませんが
 「たそがれ・・・」では違和感を感じ
 「・・・鷹の爪」(黒柳徹子がそう言ってました)はホッとして
 「武士・・・」になって
 ようやく良くなって来たかなという印象です。

 僕はやっぱり寅さんが一番好きです。
 ただ赤塚真人という役者が
 ようやく彼本来の味が出て来たかなと思いました。
 彼とは日立の養成所で一緒でした。


      ★小林正樹監督の『上意討ち』


 僕もこの映画最近BSで見て
 「切腹」を想い出していた。
 三国蓮太郎と丹波哲郎が
 良かったという印象が残っているが、
 この映画では主役の3人がいずれもいい。
 橋本忍のシナリオがいいのだと思う。

 (主役の3人とは
  三船敏郎・加藤剛・司葉子である)。


      ★岡本喜八監督『日本の一番長い日』


 この映画は僕も毎年夏になると見ています。
 でも僕等戦後生まれの人間は
 中々考えるという所まで行かないで、
 三船の腹の切り方が
 イヤにリアルなのに驚いたりしている。

 「ゆきゆきて神軍」ぐらい
 異常な執念で押して来られないと
 中々深く考える所まで行かない気がします。
 でも気になるから見てしまうし
 こういう時でないと
 中々戦争のことなど考えないので・・・。


      ★大林宣彦監督の『廃市』

 小林聡美は「転校生」が一番良かったけど
 僕はやはり<尾道3部作>が
 大林監督の中では一番好きです。

 僕が尾道を訪ねた時
 監督が良く来るという食堂に偶然入ったら、
 そこに怪しげな占い師みたいな男が居て
 僕の名前では多分一生結婚できないだろうと
 言われたことがショックだった。

 一時名前を変えようかと思ったが
 結婚できない名前を親から貰ったのも
 自分の運命だと考えてすぐ思い返したことがある。
 未だに僕は独身だが
 去年僕の友人が57才で結婚した。
 彼は初婚だった。
 勿論僕は祝福しましたが・・・。


       ★新藤兼人監督の『三文役者』 

 確か荻野目慶子が全裸になる映画でしたね。
 彼女は若い頃からきれいだった。

 泰ちゃん(殿山泰司)は味のある役者で
 確か寅さん映画で
 襟に火の付いたタバコを入れられ
 大慌てで服を脱ぐ坊さんの役で出ていました。

 何でもやる役者で
 市井の庶民を演じさせたら巧いもんでしたが、
 本人は中々のインテリだったとか・・・。


      ★『ゆきゆきて、神軍』について

 これも並木座で見たのですが
 ドキモを抜かれました。
 この奥崎健三という男にとって
 <戦争>はまだ終わってないのですね。

 日本人の多くがもう戦争の影もないような
 生活をして暮らしているのに、
 この人は<戦争責任>を
 その当事者たちに向かって
 暴力まで使って問い詰めようとしている。

 それをカメラが執拗に
 捉えたリアルな映像は、
 観客もその現場に立ち向かわざるを得ない
 迫力でせまって来る。

 これはフィクションなのか
 ノン・フィクションなのか
 分からなくなる程
 凄まじい現場に立ち向かわざるを得ない
 状況に追い込められる、
 まさにドキュメンタリーを越えた傑作でしょう。

 戦争及び戦争責任ということを
 考えたことのある人は
 必見の映画だと思います。


     ★山田洋次の『隠し剣 鬼の爪』

 山田監督の<藤沢周平>時代劇は
 一作一作良くなって行くけど、
 寅さんからいきなり
 時代劇を作るようになったのは、
 黒澤明の一言が根底にあった気がする。

 BSで黒沢が
 <何時も同じ様な話でしょう・・・
 たまには違うものに挑戦して欲しいよね>
 と言う意味のことを言って、
 自分も随分実験的な試みをして来たという話をした。

 そのVTRを見ていた山田さんが
 思わず笑っていたのが印象的だったが、
 もうその時時代劇を作るという
 腹があったのかも知れないけど、
 この黒沢監督の言葉を
 当時の山田監督はいい意味で
 励ましと受け取ったのではないかという
 気が僕にはしました。


       ★山田洋次の『故郷』

 「故郷」は友人と二人で
 ロードショウ公開初日に見に行きました。
 舞台挨拶する倍賞千恵子の姿を初めて目にしたのですが、
 映画はそれ以上の感動だったことを覚えています。

 山田作品には常に働く人間の姿が美しく
 感動的に捉えられていると思います。
 それが等身大に捉えられているから
 僕等は素直に作品の世界に
 入ることが出来るのだと思います。

 僕等が生きて行く現実には
 映画以上の厳しさがありますが、
 そういう現実を踏まえて
 監督の持つ人間性が
 どの作品にも表れている所が魅力かと思います。

 ご指摘のようにこの映画のラストで
 加藤登紀子の歌が流れますが、
 それが島を離れてゆく人達の
 心情と風景に溶け合って、
 僕も非常に感動しました。

黒澤明の映画について

イメージ 1

        


      
       ★『酔いどれ天使』について

 僕もベルイマンの「野いちご」を連想しましたが
 多分ベルイマンは
 黒沢の影響を受けているのではないかと思います。
 ベルイマンの方がずっと繊細だと思うけど
 遺作の演出を見ていると
 黒沢のように随分ねちっこい
 演出だったように思いました。
  
 久我美子の清楚な美しさは
 光るものがあるけど、
 千石規子の味のある演技も良かった。

 しかし何と言っても三船が鮮烈ですよね。
 黒沢は多分ひと目で三船の良さを知ったのでしょう。
 生かし切っている。 
 完全に志村喬を喰っている三船の存在感。
 何度見ても新鮮であり
 鮮烈な三船敏郎のデビュー作!
 黒沢と三船の運命の作品です。


        ★『天国と地獄』について

 僕が最初に<封切り>で見た黒沢映画でした。
 冒頭から1時間余りを密室劇に展開して
 密室から<ワイプ>を使った
 こだま号への場面転換が実に鮮やかであり、
 数台のカメラを同時に廻して本番一発で撮ったという
 列車シーンの<音と映像>による凄まじい迫力!

 三船敏郎の円熟した演技と
 山崎努のエキセントリックな犯人との、
 鉄条網越しに交わされる
 二人の対決も見応えがあった。

 中学生の僕は煙突の煙だけが
 <カラー>であったのが非常に印象的でした。
 サスペンス映画の傑作ですね。


       ★『姿三四郎』について


 黒沢のデビュー作でありながら
 完成された出来映えを見せているのが凄いと思う。
 講談調の<娯楽映画>に
 早くから優れた才能を発揮していたのが分かる。

 映画的技法の巧さ<下駄のモンタージュ>
 <階段のシークエンス>
 試合時に於ける<ストップ・モーション>
 <スロー・モーション>の使い方、
 右京ヶ原の流れるような雲!

 主役の藤田進より
 悪役の月形龍之介の方に魅力があるのは、
「酔いどれ天使」と同じだ。


       ★『素晴らしき日曜日』
 この映画は銀座の並木座で見たと思います。
 僕も恋人が出来たら
 こんなデートをしてみたいと
 憧れて見ていました。

 ラストは本当に涙が零れてしまう程
 切実な呼びかけで感動しました。
 小川のせせらぎのような
 小品ながら名作だと思います。

 こんないい映画を黒沢は創っていたのですね。


       ★『わが青春に悔いなし』について


 僕はやはり主演の原節子の使い方が凄いと思った。
 黒沢は彼女を<自我を貫く女性>として描いたが
 原節子をこんな風に使うのは黒澤明だけだろう。
 非常にインパクトのある役柄だったと思う。

 黒沢は女優の使い方が下手だという批判があるが
 僕は決してそうだとは思わない。
 田んぼの中で泥まみれになって働く姿が美しく印象的で
 特に因習的な村人達の敵意や嘲笑の笑い声を、
 風に揺れる竹藪で表現したり、
 荒らされた田んぼを彼女が元気を取り戻して、
 もう一度植え直し始める辺りなどとても感動的だった。




★『どん底』について

 「どん底」は同じ年の
 「蜘蛛の巣城」よりも僕は面白かった。

 巡礼の左ト全が抜群に面白かったし
 アル中の殿様の藤原鎌足
 どさくさに紛れて仏壇のまんじゅうを盗み食いする
 駕籠かきの渡辺篤等、
 役者の個性が充分に生かされていて堪能できた。


       ★『どですかでん」について

 最近読んだ本の中に西村雄一郎という人の
「黒澤明封印された十年」というのがあり、
 その中には随分僕の知らない事実があり
 作風が変わる程の深刻な出来事があり、
 後の黒沢の<人間不信>という影が
 色濃く作品に反映されたようです。

 やはり自殺未遂まで追い詰められた黒沢が
 そこから這い上がるのは並大抵ではなかったと思います。
 

小津映画について

イメージ 1

        
     

      ★『小早川家の秋』について
 
 これは僕に言わせれば間違いなく
 小津の傑作と言うか名作だろうと思います。
 小津はどこの映画会社で作っても
 所詮小津映画である事に変わりはないでしょう。
 それ位小津は最後まで変わらなかった。
 僕はそこが凄いと思う。

 ただ何時も同じような映画ばかりを作っていたので
 飽きられてしまう所があるが、
 山田洋次の映画と比べてみれば
 その見識の高さ品格の違いが
 良く分かると思います。
 僕は小津も山田洋次の寅さんも
 大好きなんですが・・・。


         ★『長屋紳士録』について

 <かあやん>のセリフを読みながら
 飯田蝶子の顔が浮かんできた。
 僕は晩年の飯田蝶子を見たことがあるが
 着物姿から気品の漂う
 可愛いらしいおばあちゃんだった。

 <喜八もの>とか<かあやんもの>は
 後の<寅さん>シリーズに繋がるものを持っていて、
 やはり今の人間が忘れてしまった<人情>が
 人の心の温かさがあるのではないでしょうか?

 僕は韓国ドラマにその<情>を感じるのです。
 溝口より、黒沢よりも
 僕は小津の映画にこの<情>を感じるから
 小津の映画が好きなのだと思います。


        ★『戸田家の兄妹』について

 佐分利信が好きになったのは
 小津の「彼岸花」や
 この「戸田家の兄妹」を見てからだったと思います。

 顔は勿論だけど声がもの凄くいい。
 渥美清も声がいいけど
 やはり役者は声が良くないといけないと思います。
 ヨン様やチェ・ジウの声も凄く好きです。

 晩年の「阿修羅のごとく」の佐分利信も良くて、
 <そりゃあ、そうだろう・・・人間だもな・・・>と
 あの渋いドスの利いた声で言う名ゼリフは、
 今でも僕は<一人物真似>をして楽しんでいます。
 いい役者でした。


       ★『麦秋』について

 「麦秋」は僕が初めて
 小津の映画を見た最初の作品でした。
 御前様(笠智衆)が余りに若いので
 思わず笑ってしまいました。

 佐藤忠男の解説で
 朝日講堂で見たのですが、
 至福の時を味わいました。
 
「東京物語」より
 僕はこういうユーモアのある
 小津の作品が好きです。


      ★『東京暮色』について

 この映画は
 小津の失敗作とか言われてますけど
 僕は名作だと思います。

 山田五十鈴の名演技と
 若き日の有馬稲子を見るだけでも
 この映画を見る価値があると思います。
 中村伸郎も良かった。


       ★『浮草』について

 「浮草」は全部通して見ていないのですが
 それはサイレントの「浮草物語」が
 余りにも良かったからです。

 坂本武の<喜八>と
 飯田蝶子の<かあやん>が相対して
 会話する時の緊張感、
 音など無くても充分に伝わって来るその迫力!

 父親の坂本武と息子の三井弘次(当時は三井秀男)が
 渓流で同じ動作(ポーズ)を
 繰り返す釣りのシーンは、
 この映画の名シーンでした。


       ★『お早よう』について

 後年の小津作品は
 こういうものが多い気がします。

 人を笑わせると言うより
 自分で好きなことして楽しんでいる
 と言う所があるような気がします。
 悦に入っちゃってる。

「秋刀魚の味」の
 加東大介の<軍艦マーチ>などその典型で、
 見ている僕等が
 その世界に入れるか入れないかだけ。

 小津だって何時までも
 「東京物語」のような映画ばかり
 作れる訳がないですよ。


       ★『早春』について

 この映画の岸恵子は良かった。
 あの鼻に通る独特な
 甘えるような声に女を感じる。

 実際岸恵子は池部良と
 「雪国」で共演して
 好きだったみたいです。

 この『雪国』が
 最近見たのですが良かった。
 岸恵子が男に
 こんなに甘える姿は
 初めて見たので
 ちょっと戸惑いましたが、
 池部良が羨ましかった。

 僕は実は
 岸恵子の夢を
 何故か5回位見ています。
 バスで隣り合わせたこともあります。
 夢ですけどね(笑)。

「すけべりょう」とは打ち間違えか
 それともわざとですか?
 僕のあだ名がそうだったのですが・・・。
 僕はそんなに持てなかったですが・・・。


       ★『彼岸花』について

 
 この映画も結局は
 娘の結婚に親が反対するという話だと思う。
 それを面白可笑しく
 そしてちょっぴりホロリとさせる所に
 小津の手腕が試される。

 韓国ドラマは
 殆どこの話を繰り返し
 飽きずに描いて止まない。

 頑固親父などの比ではない。
 両親とその子供達が
 感情を爆発させてやり合う凄さだが、
 韓国ではそれが日常茶飯事の如く
 繰り返されて来たようだ。
 それは痛快無比
 カタルシスさえ感じます。


       ★『晩春』について

 
 『晩春』『麦秋』『東京物語』というのは
 小津の最高傑作であり、
 原節子という女優を得て
 生き返った小津の頂点の3作品であろう。

 小津映画の素晴らしさは
 立ち振る舞いの美しさに
 あるのではないかと思う。
 その為のロー・アングルであり
 小津独特の構図と美学がそこにあると思う。

 全てが心地良いリズムで
 映画が語られてゆく。
 その<小津の美学>に
 乗れるか乗れないかで
 評価や感銘の度合いが
 違ってくると思う。
 
 それとこの3部作<紀子3部作>には
 親と子の情愛が情感豊かに描かれている。
 小津は昔から親子の問題を
突き詰めてきた監督で、
それがこれ程情感豊かに表現出来たのは
僕は原節子という女優を
小津が非常に深く愛した所から
来ているように思われてならない。

とにかくこの3部作は
小津の円熟した味わい深い作品で、
それには脚本の野田高悟の力も
大きいと思っている。
父親と娘の情愛が滲み出た名作である。


★『秋日和』について

 
 この当時の小津の映画は
 若い人から相当批判的な眼で
 見られていたと思います。
 山田洋次でさえ小津の映画など
 古臭くて見ていられないと思ったようです。

 『小津安二郎の芸術』という
 僕にとっては小津の映画を見る
 基準になったような
 本の著者の佐藤忠男でさえ、
 当時はそう言う眼で
 小津の映画を批判的に見ていた。

 僕だって当時見ていたら
 そう感じていたと思う。
 それ位小津の映画は変わらない
 同じ様なことを繰り返し作っていた訳です。

 マンネリと言われようが
 たまにはカツ丼みたいなものを作れと言っても、
 小津は変わらなかった。

 ただ『風の中の牝鶏』や『東京暮色』で
 小津はその批判に応えようとして
 新しい試みをしたが、
 結局失敗作とか言われて
 自己というものを了解したのだと思う。
 結局<豆腐屋は豆腐しか作れない>と
 覚悟したのだと思う。

 しかし小津が亡くなって
 今日の眼で世界の映画を見直した時、
 小津のような独特な美学を持ったスタイルは
 世界中の監督の作品を見てもいない程
 優れたものの見方をしているということが分かった。

 その当時<古臭い>とか
 <何時も同じスタイルで、マンネリだ>とか
 言われてきた小津の映画が高く評価されたのだから・・・。

 
 この『秋日和』も同じ様な題材で
 どれが『秋日和』か分からない内容だと思うけど、
 小津はもう自分に少し酔って
 酩酊して作っている所があると思います。

 ですから僕は後期の作品は
 必ずしもいい作品ばかりではないと思うのですが、
 それぞれ小津らしい
 味のある作品であることは確かで、
 良くこの水準を守って来たと思います。
 後はもう見る人の好みだと思います。


        ★『秋刀魚の味』について

 
 「秋刀魚の味」が
 小津の遺作の作品になったのは、
 如何にも小津らしい
 人生のほろ苦さを感じさせる。

 役者の個性が充分生かされている。
 特に東野英治郎の酔態ぶり
 ひょうきんな姿とは裏腹の
 人生敗残者としての
 心の悲哀を演じて見事だった。

 小津のこの遺作は
 人生に於ける老境を
 深く感じさせる名作であった。













































 














  

成瀬作品について

イメージ 1

       

 この所「あらくれ」「鰯雲」「娘・妻・母」と
 成瀬三作品をBSでやりましたが、
 僕はまだ「あらくれ」の途中しか見ていません。
 最も「鰯雲」以外は一度見ているのですが、
 もう一度見ておきたいと思っています。

 僕にはもう母がいないので
 <母の日>と言うことは全く忘れていましたが、
 伯母の遺影があるので
 伯母には何時も声を掛けています。


      ★「稲妻」について

 余り丁寧に見ていないけど
 ラストでデコちゃん(高峰秀子)と
 浦辺粂子がやり合う所、
 何度見てもジーンと来る。
 親子(母と娘)の情が良く出ていた。
 今こういう映画もドラマも無いような気がする。
 韓国ドラマにはあるんだけど・・・。


      ★「流れる」について

 もう大分前に見たので殆ど忘れてしまったが、
 成瀬の中でも最高の名作だったような気がします。
 田中絹代は勿論ですが
 他の女優も皆いい。

 宮口精二が職人だったか
 これが又凄くいいんだ!
 こういう映画は成瀬以外
 誰にも撮れないのではないかと思わせる。


       ★「めし」について

 僕は初めて見た時
 小津作品の原節子と比較して、
 余りに生活地味ててガッカリしたものです。
 やはり原節子は小津作品に限ると思いました。

 しかし上原謙はただの二枚目ではないと言う事を
 成瀬の作品群を見て思わされました。

 島崎雪子も実はガッカリした一人です。
 これは黒沢の「七人の侍」の方がずっと良かった。
 美しく妖しい魅力に心惹かれたものです。
 今井正監督の「若い人」にも
 ヒロイン役として魅力を発揮しています。

 小林桂樹は好きな俳優の一人で
 成瀬映画では光っています。
 こう言うセリフ読んでるだけで
 小林桂樹の顔が浮かんできて笑ってしまう。

 (<みんな疲れてるんだ・・・
   布団ぐらい自分で敷きなさい!>)と言うセリフ。


       ★
 
「乱れる」という題が意味深でありながら
 なぁーんだというお話。
 僕はデコちゃんが好きなので
 ハラハラして見てたけど、
 若大将になったつもりでも見てました。
 図々しいですね(笑)。

       ★

 「銀座化粧」は
 僕もBSで見ました。
 こういう隠れた名作に出会うことは
 永年映画を見て来た者にとって
 至福の時です。

 脚本家も
 こう言うセリフが書けた時の喜びは、
 それまでの苦労が全部
 弾けてしまうような
 至福の時であろうと思います。

川島雄三監督の
 「銀座二十四帖」に出て来る
 銀座も良かったけど、
 北原三枝が颯爽として
 美しく輝いていました。

 (<夜空には沢山の星があるけど、
   見えない星はもっと沢山ある・・・>)


         ★「浮雲」について

 20代の頃に並木座で見たと思うが
 僕も良さが良く分からなかったというか、
 森雅之が演じている男の性格が
 余り好きではなかったのだと思う。

 ウジウジしているというか
 あっちの女に行ったり
 ダラダラとしてだらしない男の
 性のような匂いのする男・・・。

 でもこういう男っているんではないのか?
 森雅之が演じると妙にリアルに見える。
 どっちつかずの弱々しい男。
 実は全ての男の中にある
 女々しさみたいなものを
 森雅之は見事に演じている。

 それは高峰秀子が演じた女も
 同じなのではないだろうか?
 それを成瀬はこの作品で
 見極めようとして
 演出したのではないかと思うのです。

 誰もこういう惨めな人間には
 成りたくないと思う。
 思うけれども
 人間の本質というのか
 男と女の関係をとことん突き詰めたら、
 やはり人間というものは
 弱い者ではないだろうか?

 その弱さに成瀬は人間的なものを
 感じているのではないだろうか?
 
 愛したり憎んだり
 騙したり裏切ったりする人間の弱さ、
 その底に光り輝く魂というか
 生命(いのち)としての
 人間を感じているのではないだろうか?

 そう思ってこの「浮雲」を見ると
 人間が本来持っている愛と哀しみを
 実に良く表現した名作だと思う。

 (このコメントはブログ<瀧野川日録>から
  一部訂正加筆して収録したものです)。

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


.
風天
風天
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
コンタクトレンズで遠近両用?
「2WEEKメニコンプレミオ遠近両用」
無料モニター募集中!
お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事