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イギリスの 「CCTV」(closed-circuit television 閉鎖回路テレビ)
例えばあなたが英国のスーパーで、ナイフやかみそりを手に取ったとすると、途端に店のカメラがあなたの顔を写し記録する。バーコードの代わりにつけられたICタグが、あなたのバッグの中身も下着の種類も、いや行動すべてを把握する。街中監視カメラだらけだ。日本の新幹線の車内にもカメラはあるが、英国の地下鉄車内ではカメラとコンピューターが連動し、「顔認証システム」でテロリストを割り出す。
監視カメラ天国、いや地獄の英国では、身内の不幸で精神不安定になってしまった女性が、通りすがりに猫をゴミ箱に入れてしまったのだが、その映像をたまたま監視カメラで見つけた猫の飼い主がネットにオンしてしまったから大騒ぎ。すぐに名前・住所が突きとめらバッシングの嵐。その女性は勤めていた銀行を辞めざるをえなくなった。
元・CIA職員のスノーデン氏がブッシュ政権の行っていた「違法な通信傍受」を暴露・内部告発した時、世界中が憤慨し抗議したのに、なぜか英国だけは冷めた反応。「007」のジェームズ・ボンドが英雄扱いという国民性?のせいなのか、ナチの超難解な解読不可能といわれた暗号「エニグマ」を解いた歴史的快挙のせいか、英国国民は政府情報機関に対して寛容というか甘い。むしろ自慢したいようだ。
無論そのような文化的背景だけが、英国の監視カメラ蔓延の原因ではない。カメラ
会社と警備会社の執拗なロビー活動(議員への献金や依頼)の結果でもある。1970年代以降、アイルランド共和軍(IRA)のゲリラ闘争の脅威に比例してカメラも激増。今では学校の更衣室やトイレ!まで監視されている。その数全国で590万台。警察は「犯罪の予防に効果がある」と言うが、さてどうか?
フェリー乗り場で偶然男と話をしたら、それがIRAのメンバーだったため情報機関にビデオを撮られた。で、IRA関係者と疑われいくら公務員試験を受けても不合格。こういう被害が英国市民の間にも起きている。「映像情報もそれ自体は事実ではなく、事実を推測する単なる材料に過ぎない」のだが、我々は画像や映像を見せられると、それは「事実の決定的な証拠」のように思い込みがちだ。映像は手がかりであって決めてではない!
日本でも、監視カメラ(すでに500万台突破)が原因の「警察のミスによる誤認逮捕」が続出して問題になっている。「捜査報告書100枚よりも、カメラの映像1枚のほうがはるかに説得力ある」というので、安易にカメラに依存するからだ。取り調べ室で画像を見せながら「ここに移ってる男あんたに似てるよね」「前の客が財布を置き忘れた台に、あんたが来て座って台に手を伸ばしてるじゃないの」と追及−−−「私じゃない!」と無実を叫ぶとナン十日も拘留され、自白を強要される。犯罪発生時刻前後の映像だけ見て、犯人を特定しようとなことするからミスを犯すのだ。
「映像はウソつかない」と思うのも間違い。監視カメラの撮影スピードは現実と異なるから、本当はゆっくり子供をあやしてるのに映像では激しく揺すって虐待してるように見えるし、縦横の比率も実際とは異なるから本当はデブなのに痩せて映ってたりする。カメラの時刻が、実際より進みすぎていたり遅れていたりすることもあった。さらに危険な点は、デジタル画像はいくらでも後から加工が可能だから、どこかの地検特捜検事のように「証拠の改竄」が可能なことだ。映像の分析・解析は専門の部署が一括して行うようにすべきだろう。まあそれでもDNA解析では科学警察研究所がミスしたりしたが。
ドイツのカメラ規制は厳しい。「連邦データ保護法」は何よりもまず市民のプライバシー保護を優先する。カメラの設置場所を英国や日本のように野放しにはしない。民間人が道路のような公共空間に監視カメラを設置するのは禁止。盗難被害に遭った店でも、撮影できる範囲は敷地から1メートル以内。驚くのは「監視する人間(データ保護監察官)を監視する人」まで決めていること。警察内部の監視人が不正をしていないか、モニタールームに立ち入る権限を与えられているのだ。「取り調べ可視化」さえ骨抜きにした日本の官僚とは、月とスッポン。
監視したい欲求は「不信と疑い」から生まれる。青森地裁では執行官が職員の仕事ぶりをウェブカメラで監視していた。だが、このようなスパイや盗聴(どこかの巨大宗教団体が得意)からは何も生まれない。安心は手に入らない。「安全」を口実に監視を強める権力組織にプライバシー侵害の権限を認めれば、それは我々のクビを締めるだけのことだ。権力を行使して監視する側は、常に市民により監視されなければならない。
−−−終わり−−−
※監視カメラ野放し状態のイギリスも、四年ほど前から規制に乗り出した。「イギリス政府は市民をスパイする文化に終わりを告げる。善良なる市民が疑われることを許してはいけません」。日本の「自衛隊・情報保全隊」や「公安調査庁」や「警察公安」らに聞かせてやりたいものだ。
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