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ここでは弟妹のいる長男(第一子)の扱い方について述べます。長男は両親にとって始めての子供であり、手探り状態で育てられます。とくに母親は手かげんがわからず、たいていは過保護、干渉過多になり、口やかましくなってしまうのが普通です。そしてその結果、長男は気弱でやさしく、消極的で用心深く、要領が悪く、のろのろしておっとりしている、いわゆる総領の甚六という性格になります。しかし、この性格になるには、もう一つ重要な要素があるのです。それは弟や妹が生まれた時から始まる疎外感と、それに対する母親の対応のまずさがこの性格を作ってしまうのです。 弟や妹ができると、長男は突然に母のひざやおっぱいから放り出され、自分が独占していた母は赤ちゃんにより占領されます。この時の長男の嫉妬、怒り、さびしさは想像を絶するものです。ここから長男の悲劇が始まります。
母親は赤ちゃんに手がかかり、一日中べったりくっついて離れません。当然のこととして長男には『あなたは、お兄ちゃんなのだから、ちゃんとしなさい、しっかりしなさい』『がんばりなさい』『うるさくしないの』『静かにしなさい』『いたずらはダメヨ』『しつこくしないの』『そばに来ないで』『まつわりつかないで』『外で遊びなさい』『あなたは お兄ちゃんでしょう』………これでは長男はたまったものではありません。 長男の心の中を書いてみましょう。『お母さん、どうしてぼくのところにきて、やさしく抱いてくれないの』『どうして弟ばっかりかわいがるの?』『ぽくのこと嫌いなの?』『そんなにぼくが憎いの?』『ぼくなんかいなくてもいいんだね』『ぼくと赤ちゃんとどっちが大切なの?』『好きで、お兄ちゃんになったんじゃないよ』『赤ちゃんなんか、どっかへあげちゃって!』『捨ててきてよ!』 長男はいつも心の中で叫んでいるのです。つまり、長男は、いい子にしていてあたりまえ、ちゃんとできてあたりまえ、がまんをしてあたりまえ、という状態がずっと続くのです。『いい子にしていたら、お母さんは振り向いてくれるかもしれない』『我慢して、がんばったら、お母さんはやさしく抱いてくれるかもしれない』と長男は、けなげにも頑張り続けるのです。 しかし、その我慢にも限界があります。限界を越えると、取り返しのつかない心にひずみを生じ、幼稚園などで問題児となってしまいます。情緒不安、ヒステリックになりやすい、無気力、ルールが守れない、集団行動ができない、など、その症状はさまざまです。 *長男が我慢して、がんばっていることを、共感を持ってほめてあげる
『あなたにいつも我慢ばっかりさせてしまってごめんね、お母さんはあなたが頑張っているのをちゃんとわかっているのよ、えらかったわね。』『お母さんは、あなたのおかげで助かったわ、ありがとう』『あなたが大好きなのよ、でも赤ちゃんに手がかかるでしょう、ゴメンネ、でもいつも見ているからね』『今日一日だけ赤ちゃんにしてあげるね』『弟がわからないことを言って突っ掛かったとき、お兄ちゃんは我慢していたわよね、お母さんは、ちゃんとわかっていたのよ、偉かったわね、でも、我慢できなくなっちゃってゴツンとやっちゃったのよね…』 *『お兄ちゃんなのに』という言葉は厳禁
長男にとって『お兄ちゃんなのに』という言葉ほどいやな言葉はありません。好きでお兄ちゃんになったわけではないのです。子供にとって、兄弟など本質的に欲しくないのです。 *怒るのはお父さんに任せる
父は時々ドカンと雷を落とす必要があります。『お父さんが怒ったらこわい』という気持ちを長男が持つことができれば、ここ一番で頑張れる子になるでしょう。 *お母さんと長男は恋人関係と考えることで、長男はのびのびと育つ
異性の親を恋人と考えることは、動物の性本能から、当然のことです。大好きな人にやさしくされれば、心が満たされ、情緒は安定し、社会(幼稚園や小学校)で元気良く頑張れるのです。一方、大好きな人に、しょっちゅう怒られ、小言をいわれ、指図されていたら、いいかげん嫌になってしまうのがあたりまえです。長男の情緒不安は、お母さんとのスキンシップとやさしい言葉とやさしい笑顛が特効薬なのです。 *転ばぬ先のつえを与えてはいけない
こうしなさい、ああしなさいと指図ばかりしてはいけません。干渉過多は百害あって一利なしと考えてください。子供は失敗して初めて痛みを知り、恥ずかしさを知ります。その結果、失敗しないように、転ばないようにという知恵が働くようになり、物事の因果が体感を通してわかるようになるのです。ガミガミ怒鳴って子供を従わせても、翌日になると再び同じことが起こり、いつまでたっても解決しません。あえて口を出さずに、子供の失敗を見ていられる母が、子供の能力を伸ばすことは明らかです。母親の『がまん』が最も重要です。 *子供にここ一番、なにかさせなければならない時には、子供に約束をさせる
『お母さんは、これから電車に乗ってお出掛けするのよ。あなたが電車の中で騒がないでいい子にしていると約束できたら、いっしょに連れていってあげるわ……どう、お約束できるかしら?』。電車の中で子供が騒ぎ出したら、『さっき、お母さんと約束したわよね、お約束、守ってくれるわね』。子供が静かにしていたら、『えらかったわね、お約束守ってくれたものね、また一緒に行こうね』 ・・・「男の子の育て方」「女の子の育て方」は 『芸術による教育の会』の研究論文を参考にさせていただきました。
これは私の長年の現場で培った子育ての経験と合致しています。
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2016年02月26日
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弟妹のいる長女(第一子)の扱い方について述べます。
長女は両親にとって初めての子供であり、手探りの状態で育てられます。そして、たいていは過保護、干渉過多、口やかましさ、の中で育っていくのです。このことについては、長男も同様です。 しかし、実は、ここには決定的な相違があります。それは、母親が女であるということです。すなわち、長男と母親は異性であるため長男は母親が唯一の愛の対象となる(エディプス・コンプレックス)。そのために、母親のきぴしさや口やかましさがすべて長男の心に入り込み、長男はそれを心の奥底に閉込めようとします。その結果、長男は母親の前では良い子となりピーターパン(自立できない永遠の少年)への道を歩き始めることになるのです(次号で詳しく述べる)。長女の場合は母親と同性の関係になります。したがって母親のきびしさと口やかましさも、長女の反発心(同性のため)のために、長男のように重傷にはならないのが普通です。第一子は女が良い(一姫二太郎)と昔から言われる理由がここにあります。 長女の下に弟妹ができた時、長女は突然お姉ちゃんにさせられ、母の暖かい乳房とひざから放り出され、そこを赤ちゃんが占領します。この時の長女のさびしさと疎外感は長男の場合と同様に大変なものです。こんなにつらい思いをしているのに多くの母親は.『あなたはお姉ちゃんでしょ、良い子にしなさい、うるさくしないの!』と口やかましく怒ってしまいます。長女は、なりたくてお姉ちゃんになったわけでは決してありません。『弟や妹など、どこかへあげてしまえばいい、死んじゃえばいいのに!・・‥・・。』と無意識に思っているのです。長女はさびしさと不満を心の奥にしまい、口やかましい母のこごとを受止めます。長女は一生懸命に良い子になり、我慢に我慢を重ねて生きていくのです。 *長女がこのような環境の下で育った場合、次の様な性格が作られます。がんばりやのしっかりもののお姉ちゃん、頭はいいが融通がきかない女の子、頑固で言い出したらきかない、母親と対等にけんかする。やわらかさ(柔軟性)が足りない、用心深く失敗を恐れる。といった性格が作られるのです。これは、世界中の第一子の長女に共通した性格なのです。
=長女を扱うポイント=
★長女にプライドをもたせる。 長女は偉いもの、すばらしいものという自覚を持たせることが重要です。お姉ちゃんでよかったという状況が作れれば成功です。『あなたはお姉ちゃんで身体が大きいのだから特別にあげるわね。あなたが我慢しているのをお母さんはちゃんとわかっているのよ、えらかったわね。あなたがいてくれるおかげでお母さん助かっているのよ、ありがとう。』という母の言葉が何よりも必要なのです。 『お柿ちゃんなのに、お柿ちゃんのくせに』などという言葉は厳禁です。 ★父親が長女の恋人になる。
父親にあまえ、父親にやさしいことばをかけてもらい、父親に充分に抱いてもらう。このことが長女の中に女らしい軟らかさとやさしさを育てます。長女は父の愛を通して、愛される喜びと愛されるためのテクニックを身に付けていくのです。 ★父親に充分に愛された女の子は頭にのって、怖いもの知らずとなり、手がつけられなくなる。 父親は女の子にやさしくするのが原則ですが、我が強すぎる時や出過ぎた時は次のような言葉で対処すると良い。『そんな子は嫌いだよ。そんな子はパパの子じゃない。そんなことする子はちっとも可愛くない。そんな子はパパは嫌いだよ。』というように、良い悪いの判断よりも長女の情緒にうったえたはうが効果があるのです。これは、最愛の父に嫌われたら大変だ、という女の子の本能にうったえるものであり、女の子を押さえる切り札です。 ★長女が失敗をした時、怒るよりもなぐさめる方が先。
子供がころんだり、失敗したりした時、母親の第一声は『大丈夫だった、痛かったでしょう、かわいそうに』と優しくなぐさめてほしいものです。 『ダメじゃないの。ボヤボヤしてるから。何やっているの』などという言葉を先に言ってしまう母親は失格です。子供は失敗を恐れ、用心深くなり消極的になってしまいます。 ★母親は長女を小じゅうとめ(夫の姉妹)とおもって対処すると良い。
母親は長女がいうことをきかない時、頭ごなしに怒って、いうことをきかせるというケースが多く見られます。これでは長女は意地になって反発し、お互いにエスカレートして収拾がつかなくなります。これは母親が自分の子供だから押えられるという誤った考えに基づくものですが、このやり方では解決しません。長女は増々強情になり手がつけられなくなります。これは母と長女が同性であるために起こることであり、父との間ではありえないことです。重要なことは、長女を自分の所有物とは考えず、一人前の女として対等につきあうことです。つまり、小じゅうとめに接するように、長女の気持ちを考えて対処した方がはるかにうまくいきます。母と長女(娘)は永遠のライバルなのです。 ★母親のセンスの良さが長女を女らしくする。
母親の言葉づかい、服のセンス、人との接し方、女としての心づかい、やわらかさ、やさしさ等は長女にとって重要な教科書となります。なりふり構わずという母親は娘の心に非難と反発を生じさせます。 ★母親は長女を相談相手にすると良い。
母親が着て行く洋服を選ぶ時、父親の服等を選ぶ時、弟や妹の物を選ぶ時、家具や小物を選ぶ時、夕飯のおかずを考える時など、長女を相談相手にしてほしいものです。そして可能な限り長女の意見を取入れ、長女のセンスの良さをほめてあげる。これがポイントです。 ★長女の育てかたを失敗すると、弟や妹が被害を受ける。
長女が、我慢に我慢を重ね、良い子にしているにもかかわらず、親のなぐさめややさしさが得られなかった場合、長女はそのはけ口に弟や妹をいじめます。これは単なる姉弟喧嘩というのとは異なり、長女のいじめは陰湿となり、特に親の見ていないところでは知能の限りをつくして弟や妹をいじめます。そうすると、特に弟は、いじけてしまい、情緒不安定になりやすいのです。弟や妹を良くするためにも、まず、長女を愛情で満たしてしまうことが肝腎です。 ★第一子(長男・長女)は生れた時は一人っ子です。
両親の愛情を独占し、その事が当たり前のこととして成長していきます。ところが、弟や妹が生まれたとたんに、長男(または長女)は母の暖かい胸や腕や足から放り出され、その上、優しい言葉もかけてもらえなくなります。自分が独占していた母は弟(妹)に独占され、自分は嫉妬と怒りとさびしさで気が狂わんばかりになります。100あったものがゼロになってしまうのです。この天と地ほど違うギャップに長男や長女は苦しむのです。『いい子にすればお母さんがかわいがってくれる』と、けなげにがまんし続けるのです。 |
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