結城浩のYahoo!日記.

コミュニケーションのヒントを考えます。

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人に説明をするときの話です。「急いで情報を伝えよう」と思ってあわてて話すのは、かえって情報が伝わりにくい結果になりがちです。さらには情報の信頼度まで下げてしまう危険性があります。

人と話すことに慣れていないと、つい「急いで情報を伝えよう」としがちです。自分の頭の中にたくさんの情報があり、それを急いで伝えなければならないとあせってしまうのですね。でも、送り手であるあなたがいくら急いでも、受け手である相手に届かなければ意味がありません。あせって、あせって、あわてるあまり、数字を間違えたり、言葉を間違えたりしていると、情報の信頼度を下げてしまうおそれがあります。それに、何より話し手であるあなた自身の信頼度を下げてしまうおそれもありますね。

たとえば、ソフトの使い方を自分の部下に説明する場面を考えてみましょう。

×あわてた説明:

インプットファイルはこのフォルダに入るよ。ファイルは普通GIFでもらうんだけど、じつは形式は何でもいいんだけれど、ま、それはいいか。ええと、出力データはこのフォルダに入る。あ、そうだ、コマンドで出力フォルダを設定しとくと便利だ。そうそう、フォルダの名前に日本語を使うのは良くない。ときどきトラブルを起こすんだ。ファイル形式もPNG以外だとトラブルを起こすことがある。いや、違うな。PNGじゃなくてGIFだったかな。GIFだとソフトが落ちる…じゃなくてGIF以外だとソフトが落ちる。ソフト動かしながら説明したほうがいいかな。要するにメニューだよ。そのコマンドさえ覚えればOKだからね。コマンドっていうか、メニューだけどね。起動には時間がかかる。入力フォルダはプロファイルメニューで指定する。あ、違うな、設定メニューかな。いや、違うな。いや、正しいな。設定メニューだ。出力ディレクトリもこのメニューで選べる。え、あ、出力ディレクトリは出力ファイルを入れておくんだよ。え? うん、出力データと出力ファイルは同じ意味だ。作業結果はこの入力フォルダに集まる。いや違う、出力フォルダに集まる。作業結果? うん、出力データと同じことだよ。このソフトが作り出す画像を入れておくところだ。画像はGIFのファイルで出力される。でね、…

△比較的おちついている説明:

このソフトの使い方をこれから説明する。まずはソフトの起動だ。起動にはけっこう時間がかかる…(待つ)…はい、ソフトが起動できた。次に、メニューの説明をしよう。このソフトでできることは全部メニューから選べる。特に大事なのは設定メニューだ。設定メニューの場所はちょっとわかりにくい。ここからたどっていく。…(操作する)…はい、設定メニューを開いた。設定メニューで設定する項目は三つある。入力フォルダと出力フォルダとファイル形式の三つだ。この三つを設定しておくと作業が楽になる。まず一つ目が入力フォルダ。入力フォルダには入力データが入る。二つ目が出力フォルダ。出力フォルダには出力データが入る。それから三つ目がファイル形式。この三つを設定メニューで設定する。設定メニューについてはわかったね。ここで注意すべきことが二つある。注意すべきことの一つ目。フォルダの名前には日本語を使わないこと。入力フォルダと出力フォルダのどちらもだよ。フォルダの名前に日本語を使うとソフトが落ちることがあるんだ。注意すべきことの二つ目。ファイル形式の設定はGIFにしておくこと。入力ファイルも出力ファイルも、すべてGIF形式に統一している。それ以外だとトラブルを起こすことがあるからだ。注意すべきことは、この二つだ。では次に…。

上に書いた二つの説明のうち「あわてた説明」は読んでいるだけで何だかいらいらしてきますね。

説明をする人は、以下のような点に注意してみてはいかがでしょうか。

・説明のアウトラインを準備しましょう。話がごちゃごちゃと前後するのを防ぐために、話すべきことのアウトラインを前もってメモしておくのです。
・落ち着いてゆっくり話しましょう。いくら素晴らしい説明をしても、スピードが早すぎたり、言い間違えが多かったりすると、相手にうまく伝わりません。
・情報を一つずつ伝えましょう。たくさんの情報をいっぺんに伝えるのをやめ、段階を追って一つずつ伝えるようにしましょう。口は一つしかないので、一度に一つのことしかどうせ話せないのですけれどね。

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