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ついにこの日が来てしまった。ただでさえ、『バットマン ビギンズ』は伏兵『電車男』に苦しめられているというのに、横綱が登場してしまうのです。
そこで、本日より「『バットマン ビギンズ』もう一押しスペシャル」を開催いたしまぁ〜〜す♪
今回は、監督に大抜擢されたハリウッドの注目株クリストファー・ノーラン特集でございます。本日から4日間に渡り、彼の出世作『メメント』よろしく、時を遡る形でノーランのフィルムグラフィーをチェックしていきましょう。
【クリストファー・ノーラン(Christpher Nolan)】
1970年7月30日。イギリス・ロンドン出身。
7歳の時、父親の8mmカメラを用いて映画を撮り始めたノーラン。
ロンドンのユニバーシティ・カレッジに入学してからも、サークルで映画を撮っていた。
1998年、1年がかりで仲間と作り上げた低予算映画『フォロウィング』が各国の映画祭で絶賛を浴び、続く『メメント』では、なんとアカデミー賞をはじめとする主要な映画賞で脚本賞にノミネートされた。
時間軸をバラバラにして再構築していく手法ばかりが注目を受けがちだが、実は丁寧に描写を重ねて人物の心理をあぶりだしていく巧みさこそがノーランの真骨頂と言える。
今後ハリウッドでの活躍が期待される若手監督の一人。
ノーランは、ジェレミーの超お気に入り監督です。これからのハリウッドを支える中心人物の一人になるであろうノーランですが、相手が『バットマン』となると一抹の不安がよぎるのも事実。さて、『バットマン ビギンズ』はどんな作品に仕上がっているのでしょう?
『バットマン ビギンズ』(原題:Batman Begins)ワーナー・ブラザース 2005
【スタッフ&キャスト】
監督・脚本:クリストファー・ノーラン(『フォロウィング』『メメント』『インソムニア』)
脚本:デヴィッド・S・ゴイヤー
(『ダーク・シティ』『フレディVSジェイソン』『ブレイド』シリーズ)
出演:クリスチャン・ベール(『太陽の帝国』『アメリカン・サイコ』『マシニスト』)
マイケル・ケイン(『探偵スルース』『殺しのドレス』『奥さまは魔女』)
リーアム・ニーソン(『ダークマン』『シンドラーのリスト』『ラブ・アクチュアリー』)
ケイティ・ホームズ(『アイス・ストーム』『フォーン・ブース』『ケイティ』)
ゲイリー・オールドマン(『シド・アンド・ナンシー』『レオン』『ハンニバル』)
キリアン・マーフィ(『28日後・・・』『ダブリン上等!』『真珠の耳飾りの少女』)
トム・ウィルキンソン
(『フル・モンティ』『恋におちたシェイクスピア』『イン・ザ・ベッドルーム』)
渡辺謙(『瀬戸内少年野球団』『ラスト サムライ』『SAYURI』)
モーガン・フリーマン
(『ドライビング Miss デイジー』『ショーシャンクの空に』『Edison』)
【あらすじ】
ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は自分の進むべき道を見失っていた。
両親を目の前で殺された幼き日以来、犯人を憎んだ。自分を責めた。そして、恐れた。
ある日、そんな彼の人生を一変させる出会いが訪れる。デュカード(リーアム・ニーソン)だ。
影の軍団を率いるラーズ・アル・グール(渡辺謙)に仕えるデュカードは、悪を滅ぼすための術をウェインに伝授する。
しかし、ウェインはただの"復讐"や"制裁"が何も生み出さないことも知っていた・・・。
【感想】
観終えてすぐの感想は、「やっぱりノーランは本物だった!」の一言に尽きます。『ユージュアル・サスペクツ』のブライアン・シンガーが手掛けた『Xーメン』の悪夢がよぎり、ノーランが『バットマン』を手掛けることに対して正直なところ不安がありました。結局、ノーランも空虚なハリウッドに毒されてしまうのではないかと。
しかし、ノーランはただ者ではなかった。ハリウッド大作としての「楽しい映画を作る」という使命を果たしつつも、しっかりと自分のペースを固持していたのです。確かに、アクション・シーンは繋ぎがおかしく、何が起こっているのかわかりにくいです。ノーランにはアクション監督としての資質がないことを露呈してしまっています。また、アメコミ原作という雰囲気は全くなく、原作ファンの方々にとっては、納得のいかない作品かもしれません。
でも、ノーランは『バットマン』をより現実的な世界に近づけ、観客を作品世界に引き込み、恐怖と興奮を味合わせることに成功しています。ティム・バートン、ジョエル・シューマカーといった先人達が築き上げた作品群にはない、観客の感情を揺さぶる『バットマン』新シリーズの幕を開けたという訳です。
さて、ここで役者陣に目を向けてみましょう。ホント豪華です。"おじさんオールスターズ"といった面々はみんな楽しませてくれました。枯れたゲイリー・オールドマンが新境地を開拓しているかと思えば、リーアム・ニーソンは『SW1』を彷彿とさせるカリスマぶりを披露。モーガン・フリーマンは、余裕しゃくしゃくでかるぅ〜くこなしつつも、おいしいところをかっさらう(笑)。極めつけは、イギリスが誇る名優マイケル・ケイン! いやぁ、さすがです。マイケル・ケインによって、娯楽大作と人間ドラマの両立を成し得たといっても過言ではないでしょう。ジェレミーは、本年度のアカデミー賞助演男優賞部門にマイケル・ケインを強くプッシュします!
もちろん、『マシニスト』撮影後約5ヶ月で体重を倍増させ、屈強な肉体を作り上げたクリスチャン・ベールも素晴らしいです。彼の巧みな演技により、バットマンという裏の顔を持つブルース・ウェインが、真実味のあるキャラクターとなりました。
とはいえ、一人だけどうしても観ていられない役者がいました。その人が出ていると、急に映画がトーンダウンしてしまう・・・。ジェレミーは許せなかったなぁ。あっ、謙さんじゃないですよ!(笑)トム・クルーズの恋人ケイティ・ホームズです。あの演技はひどすぎます。せめても可愛ければまだいいのですが、そんなこともないし・・・って、これはただの好みか^^;。どうやら、続編が決定した『バットマン』新シリーズでは、見事に彼女は外されてしまうそうです。そりゃあ、そうでしょう。ヒロインとはいえ、ただの飾りではなく、ブルース・ウェインに大きな心理的葛藤を与える重要な役柄なのですから、最低限の演技力がないと困ってしまいます。
あら? 読み返してみると、ケイティ・ホームズへの愚痴に一番スペースを割いてる!(笑)まっ、いいか。
という訳で、本作はアメコミ大好きな方々には毛嫌いされてしまいそうですが、幅広い層の方々に受け入れられるであろう新時代の娯楽大作です。ベクトルとしては、『スパイダーマン』を更に人間ドラマ寄りに押し進めた感じでしょう。ノーランならではの「回想シーン中に回想シーンを挟み込む」などという、マニアックな構成もありますが、決してわかりにくい作品ではありません。ご安心を。
アクション・シーンがわかりづらい、時間が長過ぎる、などと難はありますが、この『バットマン ビギンズ』を契機に、ハリウッド娯楽大作の流れが変わってくるのではないかと、ジェレミーは感じました。そうです。本作は、"ハリウッド ビギンズ"でもある訳です。子供騙しのアトラクション・ムービーばかりが跋扈するハリウッドが、本作から何を学ぶのか? ハリウッドもまた重要な選択を迫られたのです。
Are you ready to begin, Hollywood?
【ジェレミーの呟き】
ハリウッド進出第2弾と日本では大騒ぎされた渡辺謙。
しかし、出番はほんのわずか。巷では、日本での観客動員のための抜擢などと囁かれている。
だが、それは見当違いというものだろう。
ネタばれになるので詳しくは書けないが、渡辺謙が演じた"ラーズ・アル・グール"は本作の鍵である。
『スパイダーマン2』の悪役のように、リーアム・ニーソン、ゲイリー・オールドマンらの役柄は演技さえうまければ無名でも成り立つ。
しかし、渡辺謙が演じるのは、リーアムを部下として従える"ラーズ・アル・グール"なのだ。
『バットマン』製作発表時のように、納得のいくキャスティングでなければバットマン・マニア達がブーイングを起こす可能性が高い。
また、このキャスティングに懐疑的になられてしまうと、本作のプロット自体が崩壊してしまう。
だからこそ、この"ラーズ・アル・グール"役には、どうしても無名の役者は使えない。
ジェレミーは、まさかこんなに重要なキャラクターだとは思っていなかった。
そして鑑賞を終えた時、「渡辺謙は、想像以上にアメリカ観客たちに認識されているんだ」と感慨が深かった。
たった1週間の撮影で名前を更に売れる役であることもあり、渡辺謙にとっては、まさしくおいしい役でもある。
次回作が準主役『SAYURI』であることもあわせると、渡辺謙は本当に優秀なエージェントに恵まれたものだと痛感した。
・・・これ、ご覧になった方には理解していただけますよね?
☆公式サイト:[wwws.warnerbros.co.jp/movies/batmanbegins/]
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