JCP 〜ジェレミーのシネマ・パーティー〜

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小説のカラクリ

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浦賀和宏の静かな世界

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久しぶりの「小説のカラクリ」。本日ピックアップするのは、前回の殊能将之同様、第5回メフィスト賞受賞作『記憶の果て』でデビューした浦賀和宏!

高校卒業後のある日、安藤直樹の父親が突然首つり自殺をはかる。そして、残されたパソコンには「安藤裕子」なるプログラムが!父親はなぜ死んだのか? このプログラムは、一体何なのか?真相に足を踏みこんだ時、直樹の世界は一変する・・・。

こんな感じで、なかなか魅力的な冒頭部から始まり、推理小説と言っていいのかためらわれるような展開で話題を呼んだのが、デビュー作『記憶の果て』。で、そのデビューは浦賀和宏氏が若干19歳の時だったというから、これまた驚き。(その後メフィスト賞では、これぐらいの年代の若い作家がたくさん出ているので、今となっては大して驚くことでもないのでしょうが)

この後、浦賀氏はどんどん暴走をくり返し、レイプ・カニバリズム(要は人食い)当たり前のショッキングな世界観を確立していきます。といっても、読んでる側からすると、正直言って、だんだんどうでもよくなってしまうところもあるんですけどね。まぁ、一種の伸び悩みの時期だったのかもしれません。

でも、ジェレミーは、浦賀作品が出版されると、いまだに書店に急いでしまいます。少々幼稚な人物造形や、テーマの広がりのなさなど不満点もたくさんあるにも関わらずです。
多分、ジェレミーは遺伝子レベルで、この方の感性に恋してるんじゃないかと(笑)。そうなんです。頭(理性)では否定しつつも、体(本能)が引き寄せられている感じなんですよ。

浦賀氏が映画好きで、作品の随所にその影響が現れていて、世界に入りやすいというのも一因。でも、やっぱり、浦賀氏が紡ぐ、静かな世界を突然レイプするかのような狂気に魅せられているんでしょうね。
それと、読者を驚かせなければいけないという強迫観念に駆られ、自分のキャパシティを越えても必死にもがいている様にも。

仕事においては、やはり「結果」が重要です。作家の場合、それは売り上げと言えるかもしれません。でも、読者の立場では売り上げなんて関係ないんですよね。要は、好きかどうか?
それは、作品の出来不出来だけでなく、その作家のスタンスに対する好き嫌いというのも影響します。特に、ジェレミーは、仕事においても、「結果」よりも「経過」を評価したい、重視したいところがありますので。

そんな訳で、愛すべき狂気作家・浦賀和宏の著作をよかったらチェックしてみて下さい。そして、静かで暴力的な世界をご堪能下さい。


☆『記憶の果て』から始まる、安藤直樹シリーズは絶対に発行順にお読み下さい。途中からだと興をそがれるというよりも、意味が全くわからない可能性すらあります(笑)。
 また、写真を掲載した新作『松浦純菜の静かな世界』(講談社ノベルス)もなかなかで、「らしい」作品です。
 一つ次のステージに進んだ感じもします。こちらも是非、売り上げにカウントされないブックオフではなく、一般の書店で買ってあげて下さい!^^

☆浦賀氏は、ネットでの無責任な批評に嫌悪感を感じてらっしゃるようです。だから、もしこの記事をみたら、またまた激怒されるかも?!(笑)でも、これは一種のラブレターみたいなものですから、どうかお許しくださぁ〜い!!!^^

☆浦賀和宏ファンサイト : http://www.ugkh-fan.jp/

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真相に関するネタばれなし。ご安心を!

さて、久しぶりに書く「小説のカラクリ』で取り上げるのは、覆面作家・殊能将之の衝撃のデビュー作『ハサミ男』。本作は、講談社が新人作家の発掘のために設けたメフィスト賞の第13回受賞作。

主人公は、ハサミで美少女たちを次々と殺していくシリアル・キラー、通称”ハサミ男”。そして、新たなターゲットを殺そうとした時、すでに彼女は殺されていた。しかも、自分と全く同じ方法で!”ハサミ男”は、コピーキャット(模倣犯)を探し始めるのだが・・・。

この小説は、何より主人公であり、探偵役の”ハサミ男”のキャラクターがユニーク。とにかくハチャメチャなのだ。そもそも、連続殺人犯が自殺未遂を繰り返してるって!!!(笑)そして、それを紡ぐ殊能の文体も時にポップで、時に執拗で面白い。物語においても、2転3転していくミステリーならではの楽しさももちろん完備。そんなこんなで、ジェレミーはすっかり『ハサミ男』に魅了され、いまでも殊能氏の作品が出ると、すぐに書店に急いでいる。あっ、一冊だけハードカバーで、価格が高いために、しばらく手を出さなかった(いや、出せなかった?!)ことはあるけどね^^;。

この度、この『ハサミ男』が映画化され、公開されることとなった。(3月19日から東京・お台場のシネマメディアージュでの単館ロードショー)
未読の方のためにネタばれなしでお届けしてるので、もどかしいところがあるのですが、今の関心はずばり「この作品はどのように映像化されるのか?」に尽きる。
自分なりに脚色案は用意しているので、映画を鑑賞後、「脚色のカラクリ」でネタばれ全開で比較・分析していけたらと思っています。

ここまで読んで、本作品に興味をもった方は、絶対に先に小説を読んで下さい! 「小説→映画」は問題なくとも、「映画→小説」では興ざめする可能性が高いのです。いや、事件の真相を知った後でも十分楽しめる作品なんですけどね。ジェレミーも5回ほど通して読んでますし。(脚色案を作るために、部分的に読み返していった回数は数知れず)
これは、一般論として「小説→映画」をすすめている訳ではありません。他の作品と違って、本作だけは、小説を先に読んでおいた方が、映画への楽しみすら増すんですね。今のジェレミーのように。
どうか、ジェレミーを信じて、小説を先に読んでから、映画館へ向かって下さいね。
それでは、後日「脚色のカラクリ」でお会いしましょう!

 
   映画『ハサミ男』
監督・脚本:池田敏春(『天使のはらわた・赤い淫画』『人魚伝説』)
脚本協力:山口セツ・長谷川和彦・相米慎二
出演:豊川悦司・麻生久美子・阿部寛

☆故相米監督が脚本協力でクレジットされていますが、実際には、脚本には一切タッチしていないそうです。では、何故クレジットされているのか?それは、劇中のとある人物のセリフを作り上げる際、相米氏のキャラクターを参考にしたためだそうです。それだけ、池田監督と相米監督の間には、深い繋がりがあったってことなんでしょうね。

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井上夢人ガナカニイル

ジェレミーは推理小説が好きです。それも特に日本の作品が。とはいえ、昔から文学少年だったという訳ではなく、きっかけは、大学生活も終わりを告げようというある日、生協で見つけた一冊の推理小説でした。そのタイトルは『ダレカガナカニイル』。
この作品は、警備会社勤務の主人公の脳内にダレカの声が聴こえるようになり、そこから巻き起こる騒動を、とある新興宗教団体を舞台に描いています。「ポア」なんて言葉も出てきますが、実はこの小説の方が例の事件よりも先に書かれています。

さて、この『ダレカガナカニイル』は、奇想天外な展開をみせていき、ラストにはとても切ない余韻が残ります。事実ジェレミーは、一週間ほど安眠ができませんでした。胸がしめつけられるようで、どうにも情緒不安定になってしまった訳です。
この男ならきっと泣かずにはいられない(まわりの女性には今ひとつウケがよくない)傑作を書いたのが、井上夢人なのです。

この井上氏は、実は岡嶋二人なるユニットで推理小説を書いていた人で、推理小説界では、あの島田荘司とライバル(?)だった人なのです。ちなみに、「岡嶋二人というユニット」という表現に違和感を覚えた方も多いでしょう。簡単に言えば、推理小説版藤子不二雄って感じです。

岡嶋解散後、井上氏は寡作ながら、オリジナリティあふれる作品を世に送り出しています。中でも、web上で新しい推理小説のスタイルを模索した『99人の最終電車』は異色作。ホームページ上で好きな登場人物を選び、彼らの心の声を読んでいくというものですが、約10年の年月をかけ、今年ようやく完成しました。そして、近々DVDという形での出版が決まったそうです。この説明を読んでも今ひとつイメージができないでしょうから、是非ご自身でご覧あれ!

個々の作品については、いずれじっくりとりあげていきたいと思いますが、この孤高の作家・井上夢人に興味をもった方がいらしたら、是非作者のHPを訪ねてみて下さい。そして、書店で手にとってみて下さい。岡嶋時代の小説もとても面白いですよ!

☆井上夢人 公式:http://www.yumehito.com/
99人の最終電車:http://www.shinchosha.co.jp/99/top.html

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