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知らない人以上、知り合い未満なんだ。
昨日、仕事が終わってからコンビニへ。入金し忘れていた携帯電話の料金を支払っていた。 お釣りを貰い、財布に小銭をしまって「さ、帰ろ」と心の中で呟き終わった時、 入店を知らせる電子音と、僕に吹き付ける冷たい風と、同時に、 片手で杖をついた人が入ってきた。 その人の顔を確認する、呼吸をするように、自然に。 それから反射的に足下から、素早く、悟られないように眼を顔まで動かした。 どれくらい前から知っているかわからないけど、何年も前から知っているのはわかっている。 どこに住んでいるのかも知らないけれど、この辺に住んでいることはわかっている。 何歳かも知らないけれど、僕が学生だった頃、彼も学生だったことはわかっている。 たぶん、彼もわかっている。 そして僕が新たに“わかった”事が、彼の半身が全く機能していない事だった。 半身不随。 2秒ほど、目が合った。 「どうしたんですか?」と、喉元まできた言葉を、ゆっくりと押し殺し、俯き、すれ違い、僕は外に出た。 知らない人以上、知り合い未満なんだ。 彼はヨタヨタと、歩いている。 杖についた鈴の音が、僕の耳を揺らしていた。 |
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2012年01月25日
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