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この冬、振り返るだけの思い出はたくさんあった。
新しいジムに通い出したり、そこでの出逢いがあったり、 広島、山口県と彼女と旅行に行ったり、そこでの出逢いがあったり、 訳あって行けなかった、馴染みの美容室で、久々の出逢いがあったりと。 ただ、そういう、振り返らずとも思い出せる"思い出”ではなく、 きっと、今ここで書かなければ忘れてしまうであろう“思い出”を、 せっかくだから、記しておこうと思った。 1月某日、名古屋が白銀の世界に染まったのはこの日だけだったと記憶している。 先程、“思い出”として書いた美容室へ行った帰り道のコト。 場所、名古屋駅前。 「ちょっと、ニィさん!」と呼ぶ、野太い声に聞き覚えはない。 恐る恐る、振り返る。 二人の男が立っていた。 一人は、身長が高めで、細身。黒髪のオールバック。 黒のロングコートにベルトについた大きめのバックルが光る。 つり目で、キレたら何をするかわからない雰囲気がある。 もう一人は、小太り+坊主+ヒゲというHIPHOPスタイルの出で立ちで、ムスッとした顔には、人を遠ざける威圧感が漂っている。 振り返り、その二人を確認したその瞬間から、 身体の内側というか、芯、の部分に嫌な緊張感が走る。 「これから何かが起こりますよ!」という合図だ。とてつもなく高い所に、1人置き去りにされたように、全身の毛穴が開き、血が、いつもより速く、流れる。 自然と腰に力を入れ、体のバランスを整える。 男の子なら、わかるはずだ。 動物的本能というのか、逃亡するにせよ、闘うにせよ、 身体中にアドレナリンを放出する、スイッチを入れる。 小太りの方が、一歩近づく。 踏み込めば拳が届く、間合いに入る。 瞬間、イメージ。 いきなり殴りかかってきたら、どちらに避けるか、それともガードするのか。蹴ってきた場合はどうするか、掴みかかってきた場合は。 反撃は、するのか、否か。 倒した後、 ガッツポーズは、するのか、否か。 健闘を、称え合うのか、否か。 100人乗っても、大丈夫か、イナバ。 ………。 話を、戻す。 呼び止められてから、この間。 時間にすれば、4秒ほど。 小太りの拳よりも先に、口が動いた。 「あのさぁ」 あはは、何かようですか?といった感じで、目を開き僕は伺う。 スッと、小太りの手が動く。 あ………来る。と思ったその時。 「手袋、落としたよ」 人は見た目で、人を判断する。 「あ、すいません」と手袋を受け取り、ペコっと会釈した。 小太りの方が軽く手を挙げ、オールバックも、ペコっと会釈した。 なんか、なんて言うのか、 「なーんだ(笑)」という気持ちになり、 「いい奴じゃん(笑)」と叫びたくなった。 「男はギャップがいいのよね!」と、 騒がしい女友達の顔が目に浮かぶ。 駅から、家へ続く、雪の絨毯で。 小さな小さな、この冬の“思い出”になりました。 では、また明日。 |

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