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前回チラッと書いたが、今年のラフォルジュルネ、私にとっての連休初日5月3日に4本のコンサートを組みこむ強行軍。
まず1本目が9時半。
アレクセイ・ヴォロディンによるラフマニノフ。
・前奏曲 嬰ハ短調op.3-2
・前奏曲 嬰ト短調op.32-12
・前奏曲 ニ長調op.23-4
・前奏曲 ト短調op.23-5
・ピアノ・ソナタ 第1番 ニ短調 op.28
昨年ケフェレックを見た7階の平面空間をフェルメールブルーのライトで夜っぽく演出。
まぁ早朝からラフマニノフを聴く人はいないだろう。
しかし、自分の感覚と楽曲との乖離をヴォロディンは出だしで解消してくれた。
前奏曲 嬰ハ短調op.3-2「鐘」。
この曲は、サクラで参加した発表会で演奏した思い入れのある曲。
出だしのffで目は覚める。
この曲を比較的ゆったりとしたテンポで余裕を持って弾ききった。
続いて前奏曲 嬰ト短調op.32-12。
軽やかな右手のアルペジオに力強い左手の旋律。
そこから展開して右手、左手とメロディがうつろう。
そう、ヒバリが飛んでいる空の下で会話をしている男女のよう。
次の前奏曲 ニ長調op.23-4もラフマニノフの前奏曲集の中で大好きな曲。
「ノクターン」と言っても良いような夜に聴きたいバラード。
これをあくまでも静かに弾くヴォロディン。
そしてこの曲の最大の盛り上がりを見せるところで最初の鳥肌。
前半最後は前奏曲 ト短調op.23-5。
おそらく自分が弾いた中で一番難しかった曲。
この曲の速度設定で全てを完璧に弾くのはかなり難しい。
が、彼は一音一音をごまかす事なく丁寧に弾いていて好感が持てた。
後半はピアノ・ソナタ 第1番 ニ短調 op.28。
事前の告知では最初にこの曲を弾く予定だったが、演奏順が入れ替わっていた。
それは正解で、この難曲を朝のしょっぱなから弾くのは無理。
練習曲がわりに前奏曲を弾いた後だから、ヴォロディンのリミッターも解除された模様。
最終楽章まで一音のミスもなく男性的でありつつもバランスの取れた好演だったと思う。
予定になかったサイン会に参加し、山野楽器へ。
ブロ友Cさんと中華でランチ。
ピアノの話や台湾やヨーロッパの話、馬の話などをしつつ、
データの交換を。
戻ってAホールでモーツァルト。
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K.503
・モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
アンヌ・ケフェレック (ピアノ)
ニコラ・バルデイルー (クラリネット)
シンフォニア・ヴァルソヴィア (オーケストラ)
ミハイル・ゲルツ (指揮)
まずはケフェレック。
繊細でチャーミングな彼女のピアノはこの曲によく合う。
1楽章は凱旋した部隊を迎えるかのような主題で展開。
3楽章は軽快なロンド主題で始まる。
ここでもケフェレックの軽妙なトリルとスタカートが冴え渡る。
続いてニコラ・バルデイルー。
長いクラリネットを持って登場。
どうやらバセット・クラリネットのよう。
曲はうちの職場の午前中での登場回数トップ10に入るおなじみ。
今回のラフォルジュルネの予約は出遅れたため、目ぼしい公演はほとんど取れていない。
キャパが広いAホールは最後までチケットが残っているので、ここから3つは全部1階の左端。
終演後サイン会へ。
これが大人気。
30分並んでやっとケフェレックに会えた。
サインをもらうのは2010年の佐倉以来。
ぎりぎりで次の公演へ。
・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op.30
ネルソン・ゲルナー (ピアノ)
タタルスタン国立交響楽団 (オーケストラ)
アレクサンドル・スラドコフスキー (指揮)
この日のメインイベント、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番。
知名度では第2番に劣るし、実際録音も圧倒的に3番の方が少ない。
私がこの曲をじっくり聴くようになったのは映画「シャイン」の影響で、それまでは「持っているけど聴かない曲」だった。
第1楽章〜Allegro ma non tanto
第1主題をオクターブの単音であえて弾くところが面白い。
ロマン派度合いとしては2番よりこちら。
ゲルナーのピアノは派手さはないものの、堅実で、何より弱音が美しい。
切れがあるし、渋みがある。
切れの部分は、強弱やテンポの揺れをオケとの間で絶妙に作り上げている点を、渋みの部分は、ピアノ単独になった時に、陶酔しすぎない点を表わしている。
カデンツァを挟んで主題に戻ってきた。
第2楽章〜Intermezzo. Adagio
オーボエから始まる甘く美しい曲。
激しくピアノが入り、不穏な空気を醸す。
3部形式でそれぞれに変奏され、展開していく。
オケとゲルナーのピアノが上手い具合にとけあっている。
それにしても、この曲の何と難しいことか。
特にこの楽章のリズムの変化、速さの変化は、1、3楽章の派手さに埋もれているが、
超絶技巧のテクニックと、オケを聴いて演奏するセンスの両方を過度に求められる。
第3楽章〜Finale. Alla breve
アタッカからそのままなだれ込む。
速さを保ったまま全体が盛り上がって、第1主題を激しく叩くように。
そこからゲルナーのピアノが第2主題を提示すると、もう鳥肌が立っている。
しかしここは短く、お預け状態。
1楽章の第1、第2主題が見え隠れする。
オケが盛りあがるところでも、決してピアノは休んでいないし、
目立たないところで難しい演奏をしているというのを実演でないと知りえなかっただろう。
第1主題が再現される。
そして第2主題が複雑な音系で表れる。
行進風のリズムが出てきて
ここで指揮者もオケもフル回転。
すでに何度も鳥肌が立っていて、周りの人も異様な興奮状態にあるのが判る。
ピアノと管が呼び合うようにして、いよいよ第2主題を綺麗に昇華させ、ピアノもオケも頂点にと向かう。
この時点で涙が出ていた。
エンディングではテンポをマックスまで上げて大団円。
ホール中から拍手喝采。
本当に良い演奏を見られて、心が洗われた。
即席の組み合わせとは思えない仕上がり。
これが3000円で見られるなら本当に安いものだと思った。
サイン会があるかもしれないと思って、ホールEの物販コーナーに行ったが、残念ながらなかった。
そして時間を置かずにショパン。 ・ショパン:12の練習曲 op.25から 第1番 変イ長調「エオリアンハープ」、第2番 ヘ短調、
第6番 嬰ト短調、第7番 嬰ハ短調、第11番 イ短調「木枯らし」、第12番 ハ短調
・ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21ボリス・ベレゾフスキー (ピアノ)
シンフォニア・ヴァルソヴィア (オーケストラ)
ベレゾフスキーのファンと思われる女性が多い。
まずはエチュードを何曲か。
天板をはずしてステージ側にピアノを向けて弾くベレゾフスキー。
弾き振りをするのだろう。
自分が昔弾いた事がある曲をさらさらと流れるように弾く。
弾いているところはモニターでしか見えない。
それにしても太ったな〜。
指が芋虫のように太い。
シャツもパンツもダボダボでボタンは締まらないんだろうな・・・
とか音楽とは関係ないところが気になってしょうがない。
さっきの興奮と感動で今ひとつショパンに入り込めない。マズイと思いつつ、ピアコン第2番へ。
この曲は「ピアノの森」でも取り上げられていた。
第1番もそうなのだが、どうしてもピアノ主体。しかも右手旋律左手伴奏。オケ二の次感が拭えない曲構成。
第1楽章、オーケストラによる提示部は力強く、そこから甘く美しい旋律を歌うように弾くピアノ。
第2楽章は叙情的でロマンティック。
テンポ良く鍵盤の上を駆け巡る速いパッセージの連なり。
第3楽章は舞曲風。
ベレゾフスキーの弾き振りかと思ったら、コンマスが指揮をしていたよう。
ピアノがどうというのでなく、ラフマニノフに比べて曲としての単純さが目についた。
まぁ実演で2番を聴く事など二度とないかもしれないな
と気を取り直して帰路につく。
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