安積道也 〜教会音楽家のひとりごと〜

ドイツで教会音楽家として働いていましたが、2008年に帰国しました。福岡で活動中です。

全体表示

[ リスト ]

オルガン紹介

 
しばらく間があいてしまいました。
 
さて、
私の業務に「オルガンを紹介する」ということがあります。西南の大学生や教職員を対象に企画をしたり、あるいは、関係部署(小学校、幼稚園、その他)からの依頼で、訪問グループにオルガンを説明し演奏して見せたりしています。
 
西南学院大学チャペルのオルガン
イメージ 1


 
この大学チャペルでは週三回1限と2限の間にチャペルアワーがあり、20分の講話を主に奏楽、お祈り、聖書、賛美歌に触れる時間があります。私はそこでは奏楽者。オルガン席に常駐しているわけですが、ご覧のように西南のオルガンはみなさんのいる席からは演奏台が見えません。週報には「オルガニスト安積道也」と名前がしっかり出ているのですが、何も知らずにくると、どんな奴が何をどこでどうやっているのか見当もつかないのです。ですから、とりわけこのオルガン紹介はオルガンミッションとして重要な位置を占めてきます。
 
私が行う学生対象のオルガン見学会は昼休みに行い、(演奏席周りが狭いので)一回定員6名でやっています。
見学会では、まずオルガンとは何か?→「パイプとふいごと鍵盤があること」と定義して、電子オルガンとは違うのよ、ということから入りますが、この辺は大体スルーされます。みなさんが驚いてくれるのは、このオルガン(辻宏1987年)が純日本製であるというところ。ボディーにもみの木が使われているなど、瑣末な情報をしゃべると、「日本にもみの木があるんですか?」と話がそれていくので、あまり脱線しないようにしています。
 
オルガン下のふいご室(ステージ正面、オルガンの真下)に入り、オルガンが「息をする楽器」であることを説明して演奏台に上がりスイッチオン!するとふいごが劇的に動き出すので、みなの歓声が聞こえるのがちょっとうれしい。
 
「なんかいつもゴーゴーうるさかったのは、こいつですね。」
 
演奏をしてみせた後にこれを言われなくってよかった。
 
演奏台
イメージ 2


演奏台では3段もある鍵盤にみなさん食いつきます。しかしペダルに関しては、注意を促して足元を見せない限りほどんど気付いてはくれません。ある時ためしに、何もいわずに両手で譜面をいじりながら足で演奏してみたところ、期待はずれの反応が。
 
「先生、なんか鳴ってますよ・・やばくないっすか」
 
故障じゃないっ!!
 
 
その後各自に座って、弾いて、触ってもらいます。
みなさん、いろんな曲を弾こうとする。ラピュタだったり、AKB48だったり。
なかにはラジオ体操第一を持ってきて弾いた学生も。ピアノの弾ける学生さんで、ショパンのワルツをおもむろに弾きはじめ、4オクターブ半しかない鍵盤
のため、左手の低音部で手が飛び出し、バランスを崩して、危うく椅子から落ちそうになったのには、さらに驚きました。(ピアニスト恐るべし)
 
新入生の多い4月か5月に、700人相手にチャペルアワーでもオルガンを紹介します。上の写真のように、基本下からは演奏姿が見えないので、カメラで横から撮って、ステージに設置した大型テレビに映しておこないます。
 
機能を説明し、演奏して見せて、
その後出席カードの裏に任意で感想文を書いてもらうのですが、感想はさまざま。
 
「音色が素敵でした」
「毎回、奏楽をたのしみにしています」
「いやされます」
 
など、読んでいて顔がほころぶものから、
 
 
「今までCDだとおもっていました」
 
 
「男の人が弾くとは思いませんでした」
 
 
「あれは楽器だったのか〜〜!!」
 
 
など、神経がほころびるものまで・・・。
 
 
 
西南の幼稚園(舞鶴幼稚園)からも年長組60人の児童が、いつもこの時期、雀の大群よろしくやってきます。
手を変え品を変え説明するのですが、一番子どもたちに受けるのは、
ステージで話してから、ふいご室裏らせん階段を上って二階演奏台
のわきからにょっと顔を出す瞬間。
 
楽器よりウォーリーを探せ、という感じなのかな?
 
パイプのいろいろな音色を聞かせる時は基本的にすべて即興しています。
子どもたちの知っているメロディーを使いながら、いろんな音を聞かせるのですが、子どもたちは歌える曲を聞くとすぐ一緒に歌いだす習性があるようなので、気がつくと、オルガン見学会ではく、「お歌の時間」になっていることがしばしばです。
 
昨年のことですが、メロディーをバスに入れても、はたして聞き取れるかどうか試してみたくなったので、曲名をあかさず、
 
 
「じゃあ、最後にみんなの良く知っている曲を弾くから、なんだかあててね」
 
っと、そのとたん、ほぼ全員が「ぽにょっっ!!」と叫んだ。
 
・・・・・あたり
 
なんかちょっと悔しかったので、壮大なトッカータポニョにして(歌声なんぞは聞こえない大きさで)ペダルにTuttiでテーマを出した後、声のでにくい調性でソプラノにもう一度メロディーを再現。
案の定「ぽ〜にょぽーにょぽにょ」とみんなで大合唱。
「さかな・・」この辺でみんな声がひっくり返った。
 
・・・・われながら大人げない。
 
 
小学生も来ます。
児童教育学科のゼミ演習か何かで毎年ある小学校から来る子どもたちがいます。
今年も来たので演奏を終えてから、「なにか質問のあるひといるかな?」と
二階演奏席から聞いてみたら最前列の男の子が勢いよく手を挙げました。
 
「はい、前の緑の服を着た子、早かった、どうぞ!」
 
「そのオルガンって、いくらですか!?」
 
 
現金な時代になったものである。
 
 
 
西南も去年度から小学校ができて、その一年目、1年生から3年生まで全員が音楽鑑賞会として西南学院大学チャペルにやってきた。(小学校のチャペルには岡野電子オルガンが入っています)
去年の春のことでした。
一年生から三年生まで合計250名余。全員演奏台に順番にあげ、それぞれ座ってちょっとずつさわってもらいました。
私が真ん中に座り両脇に二人ずつ座らせる。子どもたちがペダルに足をかけないように、またストップを引っ張らないように気をくばりながら、弾いていいよと促してみる。
 
西南小学校のしつけは優秀です。なんとだれも猫ふんじゃったを弾かなかった。おまけに12名もの児童が、西南学院の校歌を弾いたのです。ちなみにこの話をしたら、うちのクワイアの学生は全員のけぞっていました。入学式で
歌うため、苦悶の表情で覚えたばかりだったからです。
 
50分がかりで全員に触ってもらいそれから30分、お話をしながら演奏。
すべて「天使」にちなんだものを選んでいたので、初めに「みんなのなかで天使を見たことある人いる〜?」と聞いてみたら、三分の二ぐらいの子が勢いよく「は〜い」と手を挙げた。きっと本当にみたことがあるのでしょう。
クリスマスや、聖霊降臨祭の天使の様子を話しながら、「そんなときの曲だよ」と演奏を続けること30分。みなさん大満足で帰っていきました。
 
後で小学校から感想文がいくつか届きました。大学生のそれとは幾分趣が違うので紹介しましょう。
 
「おおきなてんしがおりてきて、パイプオルガンのうえにすわりました。パイプオルガンがこわれちゃうとおもったけれど、だいじょうぶでした」
 
「パイプオルガンのおなかにはいってきいているみたいでした」
 
 
次のものは特に心が温まるもので、会議の後、血圧が上がった時によみかえす。
 
「ちいさなてんしがやってきました。でも、わたしのまえのせきがあいていたのに、すわらないでいっちゃいました」
 
 
最後にひとつ。よほど感動したのだろう。
太い字で紙が破れんばかりの筆圧で簡潔に書いてありました。
 
 
「あずみせんせいへ。ぼくはおおきくなったらパイプオルガンになります」
 
 
このなかからオルガニストが育つことを祈る。
 
ちなみにこんどの私のコンサートは2012121日(土)16時から、会場は西南学院大学チャペルです。(以下、チャペルクワイアのサイトです。)


カメラ付なので演奏台は画面越しに見えるはず。
またプログラムはお知らせしますが、ぜひ演奏を聴きにいらしてください。入場無料ですが、演奏内容はぎっしりです。
 

閉じる コメント(11)

顔アイコン

とても楽しいオルガン講座ですね。小さいころから街の教会で
オルガンとともに生活している外国とは違い、楽器を知らない
人も多いですよね。

>案の定「ぽ〜にょぽーにょぽにょ」とみんなで大合唱。
「さかな・・」この辺でみんな声がひっくり返った。

思わず笑ってしまいました。
子供たちにとってはどんな楽器も不思議に満ちていますけどね。

私も四谷のイグナチオ教会のオルガンを思い出しました。

2011/11/25(金) 午後 11:03 [ カレイドスコープ ] 返信する

顔アイコン

今日、また舞鶴幼稚園の子たちが来ました。質問コーナーでは「なんであんなにいろんな音色が出るのですか」と問われ、「それはいろんな形のパイプがある方だよ」と答えて、声を使って実演(鼻声にしたり、口だけに響かせたり、胸に落としたり)してみたら、それこそ、声そのもに興味を持ったらしく、オルガンそっちのけで、「あづみせんせ、 なんでそんな声でるの?」と大興奮。やり方を教えたら、延々と遊んでいました。引率の先生には、しかし大迷惑をおかけしたようですが…是非、「声」そのものにも興味を持ち続けてもらいたいものです。

2011/11/25(金) 午後 11:45 [ azuminus ] 返信する

顔アイコン

この一週間の疲れを吹き飛ばす勢いで大笑いしました。先生の細かい描写に幼い子ども達から大学生さんたちまでの様子が目に浮かびました。幼いときの体験は時にその人の人生に大きな影響を及ぼすこともありますので、オルガン親善大使のお役目、是非楽しんで長く続けてください。将来、メイドインジャパンのオルガンができるかもしれませんね。(その小学生男子最高ですね!)

2011/11/26(土) 午前 11:07 [ nor*s*k ] 返信する

顔アイコン

とても楽しい記事でした。うちの子供たち(現在大学2年生と高校3年生)は、舞鶴幼稚園と同じ敷地にある「早緑保育園」に通っていたのですが、ここでもチャペル見学があり、ランキン・チャベルでオルガンを聴いたはずなので、昨日尋ねてみたら「覚えていない」とのこと。まあ、キリスト教系の保育園で、毎年「降誕劇」をしていたにもかかわらず、クリスマスが12月の何日なのかずっと知らなかったようなのんびり屋なので、覚えていないのはしかたがないのかも知れません。

それにしても「ポニョ」の本名が「ブリュンヒルデ」だというのを知った時には驚きました。 削除

2011/11/26(土) 午前 11:20 [ Umezus ] 返信する

顔アイコン

1月21日の航空券予約しました。今からわくわくしています。たくさん弾いて下さいね!

2011/11/26(土) 午後 5:30 [ ets*k*194*1010 ] 返信する

顔アイコン

nor*s*k様
幼稚園生60人中一人、小学生250人中5人ほど、自分の行動(指で鍵盤をおす)ことと、それについて起こった事象(パイプに空気が流れ込み、音が鳴る)の関連性に体で気づいて、じっと聞き耳を立てつつ鍵盤を押す子がいました。すごいことです。こういう感性の持ち主にメイドインジャパンで世界的のオルガニストが育ってくれるといいと思っています。あとは、それを可能にする「環境」をそろえるだけです。すなわち私の仕事です…

2011/11/26(土) 午後 10:14 [ azuminus ] 返信する

顔アイコン

Umezus様
ドイツ人の女の子は本当に愛らしくてかわいいですよ。ポニョって感じです。
きっとポニョもあと30年もすれば立派な「ぶりゅんひるで」になるでしょう(笑)

2011/11/26(土) 午後 10:18 [ azuminus ] 返信する

顔アイコン

ets*k*194*1010さま
ありがとうございます。
全力を尽くして準備します。
是非二階席の中央からお聞きください。

2011/11/26(土) 午後 10:20 [ azuminus ] 返信する

顔アイコン

子供たちには感じる事の出来る天使さま。私も出来ることなら取り戻したい純粋な心…。

パイプオルガンは神様が人間に造らせた神様を賛美するための楽器のような気がしています。

そしてそれを奏でるものは、神様に選ばれた方ではないでしょうか。 削除

2011/12/5(月) 午前 1:02 [ Honey bee ] 返信する

顔アイコン

お気持嬉しいのですが、
実はこのように思われることが一番困ります。誰でも鍵盤を押せば音は鳴るのです。ピアノ同様、誰にでも弾ける楽器として、知ってもらいたく思い、子供たちに見せています。どうか、「聖なる楽器」のように、楽器と演奏者をくくりこまぬよう、お願い申し上げます。

2011/12/5(月) 午後 5:57 [ azuminus ] 返信する

顔アイコン

大変失礼致しました。
私が勝手にそう感じているだけです。投稿すべきではありませんでしたね。
確かに鍵盤を押せば鳴ります。でも私はazuminus さんのようには弾けないですし、人はそれぞれ神様から授かったタレントがあります。

パイプオルガン奏者に誰でもなれる訳ではない、だから尊いのだと思います。

でも一人でも多くの子供たちが興味を持ち、育つことを願っています。 削除

2011/12/5(月) 午後 10:22 [ Honey bee ] 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事