安積道也 〜教会音楽家のひとりごと〜

ドイツで教会音楽家として働いていましたが、2008年に帰国しました。福岡で活動中です。

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尿管結石 1

ものすごい経験をした。

忘れるといけないので、ここにまとめておきたい。

 
 

それは、この9月上旬、先の福岡古楽音楽祭本番の2週間ほど前のことだった。来週には師匠シュルト・イェンセンも来日する。そうしたら一週間つきっきりで、自分のことどころではない。そろそろ体調を整え、ロ短調ミサ曲のオルガンパート(通奏低音)の練習を終えていなければ、と思いつつ、あいかわらずの熱帯夜のなか、一日の苦労をいやす睡眠導入用麦芽発酵水(ビールのこと。)を口に、深夜放送を寝転がってみていた。

 

眠くなってきたので、そろそろ寝ごろかと斜めになった体を起こそうとした時、「それ」は何の警告もなく、きた。

 


ぐきっ・・・

 

 

・・・!!・・・??

 


始め、ぎっくり腰かとおもった。

でも動ける。でも痛い。未経験の痛さである。

 

左の腰の後ろの内側がずきずき痛んでいる。

三日間急性下痢を我慢し続けているような、

あるいは、虫歯を麻酔なしでがりがり削られるような痛さである。

 

多分、変なものでも食べたのだろう。まだ夏も真っ盛り。きっと冷蔵庫に入れそこなった何かが当たったのかな。きっと下痢で全部出せばすっきりするはず。

 

何を食べたかな、などと考えつつトイレへ。

 

しかし、きばれどきばれど、何も出てこない。

それどころか痛みは激しくなり、逆に吐き気がしてきた。

体勢を反転し、吐く。

しかし、いくら吐いても、飲んだものと胃液以外は出てこない。

そのうち、顔から滴る脂汗で、トイレの床には水たまりができた。


「温かくすれば、ひょっとしたら」とおもい、布団に入って毛布をかぶってみたが、上を向いても、下を向いても、横になっても丸まっても、楽になれるポジションが見つからない。一呼吸ずつ、もしくは一鼓動ごとにきりきりとえぐられるように痛んでくる。新しいアカペラ作品を、まだ音取りしたばかりの西南クワイアが、はじめてピアノなしで通した時のイントネーションよりひどい痛みだった。

 

しかも、ちょっとずつ動きながら、まんべんなく下腹部をキリで内側から刺すように、痛んでいる。息を吸ってもはいても、止めても、痛む。耳元でセミに鳴かれるよりひどい。

そのうち、着ているパジャマが絞れるほどに脂汗が出てきて、悲鳴に近いひーひーという嗚咽が、他人のもののように聞こえてくる。

 

昔聞いたドイツの田舎の聖歌隊のおばちゃんでも、これほどひどい声はしていなかった。

 

ああ、ラントレギスター(声門側にある、薄い膜状の声帯。)が傷んでしまう。これじゃ明日はよく歌えん。と思いつつも、声を抑えることもできない。

 

時計を見たら、はや2時間たっぷり苦しんでいた。ロ短調一曲分だ。Crucifixusを口ずさむ余裕もない。明日のクワイアの練習に行けるかな、と朦朧とした頭で考えつつ、「もはや救急車か?」と思ったけれど、

まだなんとか歩けるのに、それは無いだろうと思ったが、やはりもう我慢が出来ない。

 

インターネットで「夜間 診察」と私の住居地区の名称を入れたら一件ヒットした。なんと職場のすぐそばのあの病院だ。うん、あそこならチャリでもいける、とおもい、すぐに電話をした。「ハイではすぐに来て下さい」という天使の歌声のような対応を耳に、とりあえず、

保険証と財布に携帯だけ持って、短パンとシャツで外に出て、愕然。

 

うちは、4階で、エレベーターがないことを忘れていた。

 

全部で44段の階段を、一段一段かみしめるようにおりる。

降りるたびに下腹部からあばら骨が飛び出しそうになる。

5分かかっておりきった。

 
 

次引っ越すときは、一階にしよう!

 

そんな固い決意とは裏腹に、多分、思考能力も相当低下していたのだろう。最初の「職場の近く→自転車でいける→いつもどおり、自転車で」という短絡的思考から逃れることができず、なんと、マイ自転車にまたがって漕ぎ出したのだが、もちろん5メートルで力つきた。

 
 

・・・こげない(あたりまえだ)

 

30メートル先に商店街があり、そこまで出れば深夜タクシーが走っている。自転車をつえ代わりにたどり着き、顔面蒼白でわらにもすがる思いで手を挙げたが、

でろでろに酔っぱらったおっさんに見えたのか、運転手も見えないふり。

見事に2台、スルーされた。


3台目で反射的に止まってしまったタクシーにすがりつき、

「○○病院まで」とぜいぜい言いながら告げた。

運転手さんは「大丈夫ですか、お客さん。シートを汚されても・・・」といって 何かをわめいている。

もうなにも、聞けたものではない。

痛みのため、呼吸のコントロールができず、呼気の時にしかしゃべれない。

強引に乗り込み、「はよ・・いって・・」

 

鬼気迫るものを感じた運転手さんは、夜の閑散とした商店街を猛スピードで突っ走り始めたのだが、なぜかこういう時に限って、誰も居ない交差点で、すべての信号に捕まった。あまりに僕がひーひー言っているので、心やさしい運転手さん、意を決して信号無視をしようとしたのを見て、

 

「それはやめよぅ。これで警察の取り調べを受けてたら、本当にしんでしまぃそう」とやめてもらった。

 

5分で病院へ。午前3時半。

扉を開けて待っていてくれた。

 

(尿管結石 2 に続く)

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