安積道也 〜教会音楽家のひとりごと〜

ドイツで教会音楽家として働いていましたが、2008年に帰国しました。福岡で活動中です。

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尿管結石 2

尿管結石 2 続き

5分で病院についた。タクシーの運転手さんに、750円(歩けば10分)わたして、
車から這い出る。運転手さんも見守ってくれている。


いつもは素通りするその病院が天国の門に見える。
 
もうまっすぐ立っても座ってもいられない。
下腹部への圧迫を避けるため、ズボンもまともに上げていられない状態だった。


看護婦さんがでてきて、「あ、お電話の方ですね。」
 


おお天使の看護婦さんが!!早くお救いを!
 


「では、ここにお名前とご住所をご記入ください」
 


 
・・・あくまめ。
 
 


震える手で、書きなぐる。だれだ、こんなに画数の多い名前を俺につけたのは!
 
俺の息子の名前は決まった、「一(はじめ)」だ!
 
さあ、これでやっと天使のお医者様が、と思っていたら、またその悪魔の看護婦さん。
 
「ハイでは、これでお熱を測ってください」と悪魔の笑みをうかべて白い棒(体温計)を持ってきた。
 
その3分間の長かったこと長かったこと。
 
でもこれで40度ぐらいの高熱なら恰好がつくな、など朦朧とする頭で考えながら、
高周波の悲鳴を上げつつ、暗い待合室で独り耐えること3分。
 
ピピピ!  いざ!
 
 
  36度2分。
 


思いっきり平熱である。

なぜかちょっと恥ずかしい。
この看護婦さん、ぼくを辱めるために嫌がらせをしているのだろうか。
(すでに痛みで人格も崩壊し始めていたようだ)
 
そこへ寝起きのお医者さま登場。
問診をして、レントゲンをと言われたものの、レントゲンのために立っていることも、腹部を伸ばすこともできない。
 
気がつくと、看護婦さんが3人に増えていた。若い方もいらっしゃるようだが、
人間あそこまで痛いと、本当になりふり構わなくなることが初めて分かった。
少しでも痛みの軽減を求めて、求めるものはすべて言う。
「クーラーを消して!」
「電気まぶしい」
「はきます」
「むりです」
 
そこでまず強力な鎮痛剤を入れてもらい、少し効いてからレントゲンを撮って、採血、採尿をした。
 
もしも、全裸になったら、この痛みがほんのちょっとだけ、楽になると言われたら、多分、まったく躊躇せず、脱ぎ捨てていただろう。
 
 
診断は、尿管結石。
 
「食あたりかと思ったのですが、苦しみ方をみてて、多分と思ったら、立派な血尿ですねえ。多分石でしょうねえ。打つ手はないんで、帰って、水をたっぷり飲んでください」と、飄々と説明してくれる。
 
こちらもやっと鎮痛剤が効いてきて、思考も理性も戻ってきた。
 
「はあ、っていうことは、まだその石、「いる」んですね」
 
「ま、そのうち、おしっこの時に『から〜ん』ってでてきますよ」
 
「いつごろでしょうかねえ。」
 
「人にもよりますが、ま、出るときゃ、出ますって。安心してください」
 
「(・・・安心できるか!)出るときは、やっぱまた痛いんでしょうねえ。」
 
「その時のために、お薬出しておきます。その「コンサート本番」とやらでなったら、あきらめてください」
 


こんな医者も、有事には天使に見える。
 


てくてく歩きながら、朝4時過ぎに一人帰宅。
まだ奥のほうで何かがずきずきしているのが分かるが、鎮痛剤のおかげで、
歩くことも考えることもできる。
普通に息ができるって何て素晴らしいんだ、と明けの明星を見ながら幸せを満喫した。
 
 
しかしその帰路にいろいろ考えた。
 


本当に痛かった。だから、本気で求めた。(この場合は、痛み除去だが)
人間ここまで「求める」ことをすれば、本当に本気で何でも言えるし、なんでもできる。(裸にだってなれる)
 
では、はたして僕は、これほど真剣に西南学院で何かを求めているだろうか。
現状にブツブツ言うが、自分の求めることにたどり着けない現実に、「本当に痛みを感じているのだろうか」
 
本当に痛みを感じている人間の言葉の迫力は、桁が違う。自分でそう思った。
生きるか死ぬか、の瀬戸際で何かを求めることをしなかったら、本当に人には通じないのではないだろうか。
 
本気である、ということと程遠い自分の現在の安穏とした生活を、心から恥じた。
 
 


その後、いろんなところで結石の話をしてみると、実は結構「結石仲間」がいることが分かった。
面白いことに結石さんとは、即座に仲良くなることができる。
あの痛みを共有していることが、なぜかものすごい連帯感を生むのである。
 
 


ある結石「未」経験者の一児の母と話をした。
 
「安積さん、本によると、それって、陣痛に匹敵するほどの痛みらしいですねえ。」
 
「らしいですねえ。でも、女性はすごいな。あんな痛みを長時間こらえて、産むんですもんね・・・」
 
「なんてことないですよ。その後に、自分の赤ちゃんをこの手に抱いた時、そんなの忘れちゃいますよ。」
 

・・・しかし僕の結石はせいぜい『トイレでから〜ん』である・・・割に合わない。
 


のちに専門医に行ってみてもらった。
すでに石は膀胱に落ちているらしく、尿管には残っていなかった。
 
その医者もなかなか面白い人物で、


「一度結石ができた、ってことはそういう体質ってことですよ。ま、あきらめて下さい。もちろん予防はできます。でも石がとれなきゃ、アルコールがだめなのか、お肉がだめなのか、分かりませんから。」
 
「えっ、アルコールか、お肉なんですか?」
 
「他にもありますよ、」
 
「もういいです。聞きたくありません。でも2週間後の本番にまた・・、ってことはないですよね。」
 
「そんなにすぐできることはありません。
安心して下さい。
しっかり水を飲んで、お大事にしてください。


じゃあ、また二年後ぐらいに!」
 


 
二度とお会いしたくないものだ、と本気で思った。







閉じる コメント(6)

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お久しぶりです。

典型的な結石の発作ですね。あ、わたしも結石仲間です。

30代中盤だったか、CTにくっきりと写って発覚。
たぶんその時は腎臓にあったのですが、主治医に「そのうち出るから、痛いけど、死ぬ病気じゃないから。大の男が救急車を呼ぶけど、呼ばずに来るんだよ。覚悟しておいてね」と言われ、実感のないままに数年。腎臓から動き始めてから、しくしくした痛さや、腰痛の頻度アップ(そもそも腰痛持ちだから、区別がつかない)を経て、とうとう大発作が来ました。

2人で客先に行くのを、上司に資料だけなんとか駅で渡しましたが、新幹線の改札周辺でへたり込んで、駅員さんに見守られての引き渡しでした。

また、石ができている模様・・・やだなぁ・・・

2011/12/10(土) 午後 7:08 [ おりゅう ] 返信する

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おりゅう様
ぞっとしますよね。でも命には全く別状ないことは私も言われました。
まあ、命に別条なく、こんな体験ができるのですから、とポジティブに考えようとしていますが、また発作が来たら、それどころではないでしょうね。毎年疲れのたまる2月に結石発作が来る知人(年上の女性の方)がいます。発作が来ると、「まあ、またそんな時期ね、」といって、まずお風呂に入るらしい。症状が重いのでしばらく入れなくなるから、ということらしいのですが、そのどっしりした「余裕」を見習いたいものです。

2011/12/10(土) 午後 7:58 [ azuminus ] 返信する

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azuminusさまは本当に面白い文章を書かれますね。
ご本人は至極真面目なんでしょうが、吹き出しながら読ませて
いただきました。

私は結石の経験はないので痛みは想像できませんが、膀胱炎は
ビールで治したことがあります。結石はすぐ手術するのかと
思っていましたが、そうでは無いのですね。

しかし体質とはいえ、また病気になることを予言されるのは
うれしくないでしょうね。

2011/12/13(火) 午前 0:24 [ カレイドスコープ ] 返信する

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初めてコメント致します(^^♪
FBでもお世話になっています、広島のロイヤルホストでご一緒させて頂きました者です。

すみません、ゲラゲラ笑ってしまいました…。
安積さんにとっては大変な事だったと思うんですが…。
「2」が直ぐにアップされてあって良かったです。「continue」にでもなっていたら、気になって眠れなくなるところでした…。

しかし、ただの病気だけで済ませないところがすごいですね!!!
色々と得られたようで、さすがです。

12月、お忙しいようですので、くれぐれもお体お大事に…。

2011/12/13(火) 午前 1:56 [ bond007 ] 返信する

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カレイドスコープ様
本当はビールで予防したいのですが、石の種類によってはピールも危ないとか。たまに腰辺りが傷むとそのたにびくびくしています。
なるときにはなるので、逆になにもないときを、楽しもう、と思っています。

2011/12/13(火) 午後 7:53 [ azuminus ] 返信する

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bond007さま。
ご無沙汰しています。この手のことは笑い飛ばすに限ります。
もっか ハイシーズンですね。無理なさらぬよう、ご自愛ください。私は24日のイブミサ:夜22時から、西新カトリック教会で奏楽をします。典礼も青年会の協力を得て、通常文をグレゴリオ聖歌で、固有唱はプロテスタントの方も知っている聖歌を選びました。あとは頭から最後まで即興しまくる予定です。

2011/12/14(水) 午前 9:41 [ azuminus ] 返信する

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