安積道也 〜教会音楽家のひとりごと〜

ドイツで教会音楽家として働いていましたが、2008年に帰国しました。福岡で活動中です。

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いよいよオルガンコンサートが明日に迫ってきました。
本当は今日追い込み練習の予定でしたが、
一転ゆっくり過ごす羽目になりそうです。

前回お伝えしたように、
この度のプログラムは、新曲があり、また即興もロマンチックなスタイルがあります。
ですから、バロック専門で、敏感鋭敏でシャープなきれが売りの西南の辻オルガンで弾くには、
楽器、演奏者ともに、ちょっと無理がかかります。


ところで
オルガンには、カプラーという機能があります。これは、主鍵盤を弾くと同時に違う鍵盤のキーを一緒に下げてくれる装置です。
カプラーのおかげでオルガニストは、一つの鍵盤を弾きながらも、他の鍵盤の為のパイプをも一緒に鳴らすことが出来るのです。
大きな音量や、さまざまな音色を必要とする作品には、欠かせません。
カプラーにはいろいろな種類があります。もちろん構造が単純であればある程、丈夫でこわれにくいのですが、
西南のオルガンのカプラーは、僕には複雑怪奇・・・・・
よく調整されていると、一対一できちっと反応してくれるのですが、
今回のような、パワー重視のプログラムにすると、練習の度に、各関節や可動部分に無理がかかってしまいます。

昨晩から、三段鍵盤へのかかりが悪く、
トランペット管がうまくならず、半音の半分ぐらい低い音で、あのプーという強力な音が鳴ってしまっています。
そうすると、たとえば
バッハの前奏曲とフーガ ホ短調(15分もかかる超大作)などは、
そもそも受難色の強い作品なのですが、
延々と微分音とのBITONAL(二重調性)になってしまい、

これでは、弾く僕も聴くみなさんも、まさに受難。


というわけで、いまオルガンビルダーがオルガンの裏を全部開けて、調整中です。

というわけで、僕はいま練習ができず、ほっと一息(・・・してていいのかっ!?)


明日までには、直るようですが、こんな時何もできない自分が歯がゆい。
在独中に、なんとかオルガン工房で研修を受けたかったのですが、
それができず、今になって悔やまれます。


明日は、演奏者の右側からハンドカメラで演奏者の映像をとり、ステージのテレビに映します。
演奏者の両脇にいくつも水平に飛び出しているノブが確認できると思いますが、
これをストップといいます。
ストップを手前に引っ張ると、押された鍵盤に対してそれぞれに決められた音色のパイプが鳴る仕組みです。
ストップを二つ引っ張っておけば鍵盤一つに対して違った音色(あるいは違った音程)のパイプが計二本同時に鳴ることになります。
どこで、どのストップをつかうのか、即ち「音色決め」は多くの場合、演奏者に任されます。
曲間にかえることは問題ないのですが、演奏中にどんどん音色を変えなければならないことも多く、
ストップ操作そのものが、演奏以上に大変になることもあります。

冒頭の作品、ブクステフーデのマニフィカートは、
小さな作品が連続して並んでいるような、いわばパッチワークのような作品です。
つまり、10回近く演奏の流れの中で音を変えなければならないのです。
ちゃんと熟考の末、計算して練習してありますが、このストップ操作は、見ていて、結構楽しいです。
お見逃しなく。
(アンケートをよむと、演奏より、このストップ操作のほうが受けが良かったりします。ちょっと複雑な気分)

前半の最後の曲(中村先生の新曲)は、
とてもブクステフーデのようにはいきません。
両手両足で和音を押さえているときに、ff→デクレッッシェンド→ppなどの指定があります。
ストップの組み合わせをまえもっていくつも記憶させて、それがボタン一つで自動的に呼び出せて、
ストップ操作を機械に自動でやらせる機能の付いていない西南オルガンには、不可能です。
(この機能の付いているオルガンは、別に珍しくありません)
ですので、アシスタントを左右にはべらせ、総勢3人で「演奏」します。
もちろん弾いているのは僕だけ。あと二人はストップ操作に集中してもらいます。
アシスタント一人でも可能ですが、西南の楽器はストップが演奏者の左右に分割されており、
しかも、演奏者の後ろを通り抜けられないので、
二人必要なのです。
(演奏奏者が見える楽器の場合、一人のアシスタントが、
さながら蝶のように、左右に飛び回る光景も目にすることもあります。)

もちろんすでに何回も一緒に練習をして、
ストップ操作を体で覚えてもらい、僕の演奏とタイミングを合わせてもらいました。
アシスタントの良しあしは演奏の出来不出来に大きくかかわります。
ですからアシスタントにかかる精神的負担も半端ではありません。
お二人には本当に感謝です。



即興におけるストップチェンジは基本的に演奏者一人でやります。
(変更を書き込む「譜面」がそもそもありませんから!)
音を弾くのと同じぐらい大切な作業です。
実際即興をしていると、半分ぐらいストップのことを考えていたりします。
今回では、プログラム最後の即興「ふるさと」のフィナーレが、面白い実例でしょう。
オルガニストの肉体労働をぜひご堪能ください。

では

オルガンの無事を祈って、あ〜〜めん。

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