安積道也 〜教会音楽家のひとりごと〜

ドイツで教会音楽家として働いていましたが、2008年に帰国しました。福岡で活動中です。

コンサート

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以前にお伝えした西南学院オラトリオ・アカデミー合唱団立ち上げの第一回練習(モーツァルト レクイエム)がありました。
その報告です。


はたしてこのご時世にあつまるかな〜
まあ、徐々に増えていって、2016年の西南学院創立100周年に100人集まったらすごいですよね、

と西南学院の委員会でほのぼの話し合って始まったこの企画、

ぼくの頭の中では危険信号が鳴っていた。


・・・本当に人数が集まらんかもしれん。下手すると、モツレクが、「合唱伴奏によるオーケストラ作品」になってしまう。(実は結構良くあるパターン)

そこでこれまで関わった合唱団のみなさんに、
「たすけてね」要請をだして、何が何でも第一回のコンサート11月3日「モーツァルト レクイエム」を
乗り切って軌道に乗せようと頑張った。


来すぎちゃったらどうしましょ〜?
と委員会で一度ぼやいてみたら、わははと笑い飛ばされた。
僕も、一緒に笑い飛ばしたが、

委員会が終わってから、腹が立ってきた。


練習開始に先立って、説明会を開いた。
説明会は連休前に2回を予定し、2回目は「体験練習」も含んでいる。



説明会初日。



前日までの説明会参加申し込みは14名。
その段階での入団者15名。



まあ、そんなものか。でも、予想よりちょっと多めかとは思うが、よしとしよう。



と思って準備していたら、当日説明会の参加応募が25名に増えたという。
結局申込をせずにきた人を含め、50名強のおお入りとなった。


ふむ。まあそんなものか。まあ、みんながみんな、入団するわけではないし、
この中で少しでも残ってくれればいいかな・・・



しかし、その後、状況は一転する。



何があったが知らないが、
第二回説明会当日で、入団者決定者がすでに80名に達していた。



・・・どういうことだろう。

この段階で、僕の頭の中では再び警報が鳴りだした。


やばい、練習場所であるチャペルのステージに乗り切れない。

最大の売りである「チャペルで練習」が出来なくなる。
即ち、本プロジェクトの基本前提が崩れることを意味するのだ。


恐る恐る第二回説明会申込者数を聴くと、
「90名を超えていますよ!」と喜びの(?)返答が事務室から帰ってくる。


ぴーぴーぴー! 頭の中の警告音がうるさい。


一応体験練習用の資料を160部用意してもらったが、
案の定足りなくなった。

大学の学部の協力を得て、おかりしてきた椅子50脚に、チャペルのパイプ椅子40脚。
中央にグランドピアノを置いてその左右にずらりと並べた。

セッティングを終え振り返ると、
どうみても、200名以上いるようだ。


きーきーきーきー!警報が止まらない。


平静を装い、説明会を終え、
そして、体験練習に突入。


発声は、僕がひとりで「オンステージ」。後は皆さん客席で発声。
200人みんなで伸びをしながらあくびをした(発声の一部です)。
これは壮観であった。
通常のコンサートにもこれくらいの人が来てくれたら、などと思いつつ、発声を終え、
いざ練習場のステージへ。

当然あふれた。

客席前方左右が合唱団員で埋まる異常事態である。


練習を始めたものの、僕の声も届かないし、皆さんの声も散らばってしまい、何が何だか、よくわからない。

無我夢中、というか五里霧中で練習を進めた一時間。



練習後、、むさぼるようにビールを1.5リットル飲みほした。



次の日、事務室から連絡が入り、
「あの後、50人入団していきましたよ!」と満面の笑み。
その後彼が何をしゃべったのか、頭の警報音がうるさくて良く覚えていない。
二日酔いの頭痛がひどくなったのだけを覚えている。

譜面の申し込みなどがあったので、あと2日待つことにして、一応第一段階をこれで締め切ることにした。

結果188名に膨れ上がった。
メンバーリストを眺めると、
合唱歴が僕の人生よりはるかに長い方から、
僕が日本にかえろうと決意した頃に生れた子(7歳)まで、年齢層はかなり幅広い。

合唱経験値も、
譜面読めません、歌ったことありません、から、モツレク完全暗譜組までかなり幅広い。


しかし、何といっても問題は「練習場所」である。
客席で歌ってもらうことは出来ない。練習にはならないからだ。
全員をステージに乗せられなければ、僕の合唱指導の基本コンセプトがすべて崩れてしまう。
これは即ちプロジェクト失敗を意味する。


さらなる椅子の調達を事務方に指示し、
ステージ上のスペース確保のために、
頭の中で椅子配置のシュミレーションを繰り返す。


連休中も
ステージに乗り切らなかった合唱団員に叱責されて練習が中断されたり、
本番中ステージから団員が落っこちたり、
ひな壇の底が抜けたり、
結局合唱団を解散せざるをなくなったりする夢を、本当にみた。

見た夢の対応をリアルに考え、
最悪の状態をいくつも頭に思い浮かべ、対応策を練った。

しかしやってみなければわからない。
やるしかない、と前だけ向くことにした。

そしてとうとう当日。

来ました来ました、188人。

椅子も並べに並べました。188脚。



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発声を終え、




ステージに皆を乗せた・・・




・・・乗った・・・!



イメージ 1


いざ練習が始まるとなかなかの迫力である。
(声の、というより、ひとの存在感)

ここまでくれば後はもう大丈夫である。
後は、僕次第で、プロジェクトの出来が決まってくる。
ようは頑張ればよい。

Deo Gratias!

練習は第一回にしては、それなりの成果が出たように思う。

本番は、このステージ一杯ににひな壇を4段ほど重ねあげ、
合唱団員は、「壁」のように客席に向かって立ちはだかる。
客席の最前列から2列を取り払い、オーケストラは、横に広がるように配置する。
ソリストは二階の右手奥から天使さながらに歌う。

僕は、アマチュア合唱団の場合、
視界の問題さえクリア―できれば、
合唱団を前にして、オケを後ろにしてもよい、と考えているので、
これはこれで、理にかなっているかもしれない。

いろいろと前代未聞のことが多いこのプロジェクト、
是非成功をお祈りください。

また、「おたすけ」要請に快くお答え下さった合唱団の方々、
終始微笑みを絶やさず、フォローしてくれた関係者のみなさま、
そして特に、本来ならば、学院関係者(でも合唱のことはまったくの素人)がこなさなければいけない、
練習運営の現場実務を、快く引き受けてくれたコーロ・ピエーノ合唱団のみなさん! 
心から感謝申し上げます。

これからが正念場。全力で頑張ります。


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教会音楽のしらべ



フライブルク紀行がなかなか書き進まず、すみません。

今回はコンサートのお知らせです。

今週土曜日16時から、白金の明治学院大学チャペルでコンサートをします。

(詳細はこちらのサイトから
http://www.meijigakuin.jp/concert/

「教会音楽のしらべ」と銘打って、オルガンと合唱の共演です。
合唱とオルガンのコラボレーションは、ヨーロッパでは頻繁に聞かれる響きでありますが、
日本ではなかなかありません。
教会音楽を代表する響きを再現しよう!というわけです。


ちなみに、なぜヨーロッパで「オルガン+合唱」が頻繁にあるかというと、


1.どの教会にもオルガンがある。
2.オルガンだと古典派までのオーケストラ曲なら、アレンジできてしまう。
3.複数の器楽奏者にギャラを払うより、教会専属のオルガニスト弾かせたほうが安い。

そして

4.アカペラだと、ハモってないのがばればれ・・・・


などの現実的な理由から、オルガンはよくつかわれるのです。



ではなぜ日本でめったに聞かれないのか。

1.オルガンのある教会がほとんどない。
2.このてのレパートリーを歌える聖歌隊がほとんどない。
3.混声のレパートリーがおおい(=聖歌隊に男性がいない)
4.日本語じゃないから、いや。

などなど



さて今回はなかなかヘビーなプログラムとなっています。
指揮は、日本を代表するバッハ学者樋口隆一先生。明治学院大学芸術学科の教授です。
合唱は樋口先生率いる「明治学院バッハ・アカデミー」です。
かれらは、東京近郊の非常にコアな合唱好きが、樋口先生のところで歌いたいと言って、集まった集団です。
毎年アマチュアとは思えないほどのプログラムをこなしています。
最近はサントリーホールで歌ったり、何年か前はライプチッヒまで行って、バッハ・フェスティヴァル中に礼拝で歌ったそうです。
私は帰国当時、樋口先生に拾ってもらって、しばらくこの合唱団の副指揮者をしていました。
なかなかの逸材ぞろいの合唱団です。

今回私はオルガンソロと、オルガン伴奏を兼任です。

教会音楽家であれば、「弾きつつ振る!」なんてことになるのですが、
今回は弾くことに集中できそうです。

ソロには、
バッハの前奏曲とフーガ ト長調 (フーガははまりが悪く、卒業試験で敬遠される代表格)
バッハの二男エマヌエルから、ソナタ ヘ長調 (喜劇、悲劇を見ているような曲)
ブラームスのコラール前奏曲から一曲 (泣けます)
ベームのパルティータ (音楽的に難しく、泣きました)
バッハ オルガン小曲集から一曲 (ベームの後に続けて弾くので、多分バッハと見破られないでしょう)

合唱は、
ブラームス、ブルックナー、シューベルトのモテット群に、
ハイドンの小オルガンミサ、にバッハのモテット。

これに樋口先生のお話しが加わるので、
まさにたっぷりです。

ちなみに同じプログラムを来週末21日に、西南学院大学チャペルでも行います。

(詳細は以下のサイトで
http://www.seinan-gu.ac.jp/event/2072.html


これは西南のチラシです。
(このチラシ、本人は実は随分はずかしい・・・)


イメージ 1



イメージ 2




私は、明治学院出身者です。
かつて明学グリークラブで毎週歌っていたチャペルで
コンサートが出来ることはうれしい限りです。

また、このごろ西南学院もいろいろと明治学院とのつながりが出来てきて、
様々な分野で明治学院をお手本にしています。

今回の音楽を通した学校間交流は、
西南学院では非常にポジティヴに受け取られていて、
私も、気合が入ります。

しかし、
今日気合を入れて練習していたら、
季節の変わり目なので仕方は無いのですが、
オルガンの調子が・・・

1、.ある鍵盤が下がらない。
2、でも、ある鍵盤は上がってくれない。

3、あるパイプが鳴らない。
4、でもあるパイプは鳴りやんでくれない。

5、カプラー(鍵盤同士をつなぐ装置)の調子が山のお天気なみ。(=日によってかかったりかからなかったり)
6、演奏家の調子は桜の如く(=ピークが一週間しか持たない・・・)

そんなわけで、夜分にビルダーに電話をして、来週来てもらうことにしました。

明治学院でも、西南でも全力を尽くします。
お時間のあるから是非ご来場ください。





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コンサート終了 2




オルガンコンサートの前半を終え、休憩時間、控室で息を整える。すでに汗だく。しかし頭は次のバッハのホ短調にむかい、「結石」の恐怖などすっかり忘れていました。(受難の色の濃いホ短調演奏中に「石」が来たら、まさに受難よね!と、演奏会前には、いろいろ脅されていた・・・・「尿管結石1&2」参照)

 
 

後半は、バッハの超大作、前奏曲とフーガ ホ単調で始まります。

 
10年も前からずっと弾きたいと思っていた思い出の作品でもあり、オルガニストの登竜門でもあるこの作品。遂に対峙する時が来ました。今回のプログラムの要でもあり、このホ短調から前後に伸ばす形でプログラムを組んでいるので、ここでしくじる訳にはいきません。
トランペット管の調子が悪く、寸前で使用を断念し、バランスを異にしたままでの弾き始めには、さすがに息をのみましたが、始まってしまえば、後は流れに乗って、先に進むのみ。頭のなかのストーリーと作品の響きが交差して、めくるめく世界を行き来しながら、気がつくと、フーガまで終わっていました。

 途中で挿入したアンダンテも、大坪さんの見事な気の配り方と身のこなしで、まったくこちらのペースを乱すことなく、続けて演奏できました。あの難しい作品を、挟み込みとは思えないほどすんなりと、音楽的にはめてこんで下さったのはさすがです。

 
《バビロン川のほとりにて》、というバッハのコラール前奏曲は、レジストレーションに最も苦労したものでした。あれでよかったのか今でも分かりません。ただ、柔らかく、トリルのスピードに注意しながら歌うのみ。


・・・ちなみに、先日、この作品名を《ルビコン川のほとりにて・・・》と言い間違えた方がいらっしゃり・・・つぼにはまった・・・・


 
最後は「ふるさと」の旋律による即興演奏。
これは受けました。

バッハとブクステフーデの違いもはっきり分かってもらえたらしく、

 

「同じバロックでも違う感じになることもあるんですね」

 

と演奏家の責任を根本から問うような感想もいただきました。

 

またタンゴ風味では、西南の「クラシック系コンサート」で初めて聴衆をどよっと笑わせることに成功!! 赤とんぼ風味は、ふるさとと赤とんぼのメロディーを同時に演奏するものですが、これで涙を誘われた方が多かったようです。そして、フィナーレは、(アンケートによると)花火やパチンコ玉がいっぱい(?)という盛り上がりであったようで、私も、オルガンも、限界まで息を使って、鳴らしました。結果、オルガンのコンサートで初めて「ブラボー!」を頂き、気持ちよくアンコールを演奏できました。

 
 

なぜ、これほどまでに「ふるさと」の即興がうけたのか、と考えてみました。
きっと皆さんが、そのメロディーと歌詞をよくよく知っていることと、それぞれが人生の様々なシーンで「ふるさと」を聴いたり歌ったりしてきたからでしょう。だから、どんなに即興で変奏されていてもそのメロディーを追うこともできるし、そのギャップを楽しむこともできる。また、過去に歌った時のいろいろな思い出が喚起されて、そこに、ダイレクトに音楽の力が流れ込むのだと思います。だから感情と感覚に直接届いたのだと思います。

 
バッハのコラール前奏曲なども元になる賛美歌があります。
どの賛美歌も有名なものばかりです。バロック期の当時の町の人にとって、それらの賛美歌は、日曜日を始め、冠婚葬祭、人生の節々に歌い、歌われてきたものでした。みんなが同じように知っていて、誰もが声を合わせて歌うことが出来た、こういう共有文化財だったのです。


今日では、ある意味難解で勉強しなければ分からないバッハのカンタータや、オルガン作品も、当時の「賛美歌」という文化を共有する人たちにとっては、勉強する必要がないものだったのではないでしょうか。ちょうど、「ふるさと」をよく知る皆さんが、僕の即興を聴いたときのように、「さあ、次はどうしてくれるのかな?」ぐらいの気持ちで楽しんでいたのではないでしょうか。

バッハのカンタータやオルガン楽曲の詰め方、盛り上げ方は信じられないほどに緻密で大胆です。同じ時代にバッハの演奏を聴いていた人は、まさに音楽に癒やされ、音楽に泣き、音楽で笑い、音楽とともに人生を終えていったのでしょう。

 

改めて、当時の教会音楽の力強さを感じ、まさに音楽が生活に即してあったことを思ったのでありました。「共有文化財」の上に根差したバッハ音楽が、文化背景を異にした日本で、今後どのように受け入れられていくのか、私には興味があります。しかし、熱烈なバッハファンがいるところをみると、きっと突破口があるのでなないかと思います。

 
 
 

さて、コンサートも終了し、募金も20万円(!)ほど集まり(ありがとうございました。東北の震災支援のために学院が責任をもって寄付いたします)、

ポツリポツリと感想がもれきこえてきます。

 

伊万里の修道院長からは、

 

「神様のお守りもあり、伊万里行きのバスが3分遅れてくれたおかげで、全員乗ることが出来ました」との感謝の言葉。きっとバスの車中も盛り上がったのでしょう。

 

 コンサートのあと、興奮さめやらず、一緒に聴きに行った人に、夕食でフランス料理のフルコースをおごってしまった人。

 

 帰りの地下鉄で、だれともなく、ふるさとの鼻歌が聞こえた、とか。 

 
 

 

当の本人は、最後の拍手を受けながら、感無量のなか、実は焦っていました。

 
 

思った以上にうけてしまった。

 

来年は、何をしようかなぁ。

ハードルがあがってしまった・・・

 

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コンサート終了 1

先週末オルガンコンサートが無事終了しました。
 
当日は、天候にも恵まれ、絶好の外出日和。
西南学院大学チャペル修道院生活(毎日チャペルにこもり、鍵盤上で独り迷走・・もとい瞑想)に入って、早2週間。今日で修道生活ともおわかれ。
 
午後4時に開演なので、午前中にゆっくりして、10時過ぎにチャペルに向いました。オルガンビルダーの奮闘のおかげで、オルガンのカプラーも調子を取り戻し、あとはリード管を調律するのみ。
90分ゆっくりと最後の指ならしをし、ひとり昼食をとったころに、リコーダー奏者の大坪由香さんがご到着。本番用のスポットライトを確認して、早速合わせてみます。これで彼女とのリハーサルは全部で4回目。《恋するうぐいす》は相変わらずの切れ味で、一瞬でも気を抜くと僕も聴き惚れて、弾くのを忘れてしまう程です。


そのあと、中村先生とアシスタント二人がいらして、「化身」の最後の通し練習。前回は部分ごと、止まりながらの演奏だったので、作曲家の中村先生も実際に完全な形での演奏を聴くのはこれが初めてでした。演奏後、先生からテンポとアーティキュレーションについて、3点ほど修正点が出て、その場で修正しました。きっと彼も、自分の作品としてもっといろいろ言いたいことがあったと思うのですが、「演奏家」へのリスペクトもお持ちの方で、見事な距離感をもって修正点を示して下さいました。そのご配慮に心から感謝です。
 
すべての準備を終えたので、部屋にかえって着替えて一休み、とおもい開演70分まえの1450にチャペルの出口へ。
すると、
 
すでにいらっしゃった!伊万里から14名!!
 
「あづみせんせ〜!」

・・・とものすごいテンション。

これは頑張らねば!!
 
後に、西南のある教授から伺ったところ、待ち時間の間、彼女たちが一番賑やかだったそうです。たまにはいいですね〜〜

行列の様子

イメージ 1

 
開演15分前に控室に行くと、大坪さんはすでにスタンバイ。真っ赤なドレスがとってもお似合いで、まさに、《恋するうぐいす》にぴったりの衣装でした。
開演5分前、スタッフから、「本日、乳幼児が25名ほどはいりました」と報告が。
 
おお、それはすごくうれしい。
 
というのも、先日、西南の舞鶴幼稚園に仕事に行ったとき、僕は、お母さんたちに直接、次のようなことをお話ししたからです。
 
・ぼくは良い音楽をみなさんにも、そしてお子さんにも聴いてほしい。だから子どもさんを、是非連れてきてください。
・でもコンサートは公の音空間。静寂は音楽に必要。(映画館が暗くないと困りますよね)
・子どもは泣いてあたりまえ。でも、泣いた子どもを外であやすのもあたりまえ。
・西南大学チャペルで、大人から乳幼児まで共に音楽に耳を傾け楽しめる時間と空間を作ることが、僕の願い。
・そのため、お互い少しずつ配慮して、そんな「場」を作っていきたい。協力して下さい。
 
もしも、余りに子供たちが走り回って「運動会」をするようだったら、以上の内容をもう一度、曲間に語る覚悟があったのですが、その必要はまったくありませんでした。後でアンケートを見たら、確かに幼稚園関係者が沢山きてくれていて、うれしかったです。
 
会場はすでにほぼ満席に近く、736名もの方が来場したとのこと。熱気もすごく、オルガンのある二階もすでに暑い!→リード管がくるう!!→暖房を切る!!!と一連の動作をこなし、一曲目へ。
 
指もよく動く。気も音楽もよく練れている。聴衆の「聴く力」もすごく力強い。二曲目との間にMCを自分で入れて、リコーダーの大坪さんが登場。冒頭ブクステフーデの少しお堅い音楽から一転、恋するうぐいすは、まさに聴衆を魅了したようです。(僕も魅了された・・)


いらした方はお気づきでしょうが、《恋するうぐいす》を大坪さんは、オルガンから離れた二階の角から吹きました。少し間接的で、夜空に鳴くナイチンゲールが想像できたのではないでしょうか。実はあのポジションに落ち着くまで、大坪さんには三階後方や、二階と三階の間などチャペルのありとあらゆる場所に行ってもらい、吹き比べたのです。大坪さん同様、僕自身、ドイツのさまざまな教会で空間と音響について、いろいろ経験があるため、立ち位置によって、響きの印象がまったく変わることをよく知っています。ちなみに響きが最高によかった組み合わせは、リコーダーが一般には入れない三階の後ろ(プロジェクターの置いてある場所)から吹いて、それを二階席の側面、中ほどで聴いたものでした。しかし、聴衆を全員二階にあげるわけにもいかず、二番目によかったあの角位置を選択した次第でした。

次はカッコウのカプリッチョ。本来オルガンソロ曲ですが、ぼくが適当に割り振って、半分くらいの「カッコウ」をリコーダーにお願いして、「オルガンとリコーダーのおしゃべり」を実現しました。


大坪さんが、のっけからやってくれました。今までのリハーサルではやったこともないテンポとアーティキュレーションで、「かっこ・・」とぶっきらぼうにお始めになった。当然、こちらも無愛想にお答えする。すると少し色気を交えて返してきたので、こっちも調子にのって、答えてみた・・・そんな感じで始まったカッコウのカプリッチョは、お互い次の手を読みあい、裏をかく形でヒートアップして、あっという間に終了。演奏している本人が最も楽しんだ一曲でした。
 
中村滋延先生の「化身」がいよいよ初演を迎えます。先生のお話は熱を帯び、分かりやすく、しかし、その間に二人のアシスタントの緊張感はマックスに・・・!!
 
ちなみに譜めくりやストップ操作のアシスタント作業は演奏者以上に緊張するもので、お一人の方は「夢にまで出てきた」そうです。僕も昔散々アシスタントをしたのですが、今でも緊張します。お二人に感謝!!(本番はノーミスでした。ブラボー!)
 
先生の説明が終わるのをまって演奏を開始。最初の難所は見事にクリアー。次の難関は若干指が転んでしまった。止まっちゃいけない、と先に行き、難しいテンポ設定を無事にクリアーして、物語を先に進めます。弾きながらいろんな情景が音楽から浮かんでき、とても楽しく演奏しました。それにしても、700人もの(子どもを含めた)お客さんの集中力は素晴らしかった。それに助けられて、それなりに納得のいく初演となったと思います。

初演の場合、演奏技術上、苦労が多いことがあるのですが、中村先生の「化身」は音楽的に面白く、弾き手のこと、聴き手のことを十分考慮に入れたうえでの作品に仕上がっています。もしも出版されるようなことがあったら、是非ご覧ください。
 
後半に続く。

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いよいよオルガンコンサートが明日に迫ってきました。
本当は今日追い込み練習の予定でしたが、
一転ゆっくり過ごす羽目になりそうです。

前回お伝えしたように、
この度のプログラムは、新曲があり、また即興もロマンチックなスタイルがあります。
ですから、バロック専門で、敏感鋭敏でシャープなきれが売りの西南の辻オルガンで弾くには、
楽器、演奏者ともに、ちょっと無理がかかります。


ところで
オルガンには、カプラーという機能があります。これは、主鍵盤を弾くと同時に違う鍵盤のキーを一緒に下げてくれる装置です。
カプラーのおかげでオルガニストは、一つの鍵盤を弾きながらも、他の鍵盤の為のパイプをも一緒に鳴らすことが出来るのです。
大きな音量や、さまざまな音色を必要とする作品には、欠かせません。
カプラーにはいろいろな種類があります。もちろん構造が単純であればある程、丈夫でこわれにくいのですが、
西南のオルガンのカプラーは、僕には複雑怪奇・・・・・
よく調整されていると、一対一できちっと反応してくれるのですが、
今回のような、パワー重視のプログラムにすると、練習の度に、各関節や可動部分に無理がかかってしまいます。

昨晩から、三段鍵盤へのかかりが悪く、
トランペット管がうまくならず、半音の半分ぐらい低い音で、あのプーという強力な音が鳴ってしまっています。
そうすると、たとえば
バッハの前奏曲とフーガ ホ短調(15分もかかる超大作)などは、
そもそも受難色の強い作品なのですが、
延々と微分音とのBITONAL(二重調性)になってしまい、

これでは、弾く僕も聴くみなさんも、まさに受難。


というわけで、いまオルガンビルダーがオルガンの裏を全部開けて、調整中です。

というわけで、僕はいま練習ができず、ほっと一息(・・・してていいのかっ!?)


明日までには、直るようですが、こんな時何もできない自分が歯がゆい。
在独中に、なんとかオルガン工房で研修を受けたかったのですが、
それができず、今になって悔やまれます。


明日は、演奏者の右側からハンドカメラで演奏者の映像をとり、ステージのテレビに映します。
演奏者の両脇にいくつも水平に飛び出しているノブが確認できると思いますが、
これをストップといいます。
ストップを手前に引っ張ると、押された鍵盤に対してそれぞれに決められた音色のパイプが鳴る仕組みです。
ストップを二つ引っ張っておけば鍵盤一つに対して違った音色(あるいは違った音程)のパイプが計二本同時に鳴ることになります。
どこで、どのストップをつかうのか、即ち「音色決め」は多くの場合、演奏者に任されます。
曲間にかえることは問題ないのですが、演奏中にどんどん音色を変えなければならないことも多く、
ストップ操作そのものが、演奏以上に大変になることもあります。

冒頭の作品、ブクステフーデのマニフィカートは、
小さな作品が連続して並んでいるような、いわばパッチワークのような作品です。
つまり、10回近く演奏の流れの中で音を変えなければならないのです。
ちゃんと熟考の末、計算して練習してありますが、このストップ操作は、見ていて、結構楽しいです。
お見逃しなく。
(アンケートをよむと、演奏より、このストップ操作のほうが受けが良かったりします。ちょっと複雑な気分)

前半の最後の曲(中村先生の新曲)は、
とてもブクステフーデのようにはいきません。
両手両足で和音を押さえているときに、ff→デクレッッシェンド→ppなどの指定があります。
ストップの組み合わせをまえもっていくつも記憶させて、それがボタン一つで自動的に呼び出せて、
ストップ操作を機械に自動でやらせる機能の付いていない西南オルガンには、不可能です。
(この機能の付いているオルガンは、別に珍しくありません)
ですので、アシスタントを左右にはべらせ、総勢3人で「演奏」します。
もちろん弾いているのは僕だけ。あと二人はストップ操作に集中してもらいます。
アシスタント一人でも可能ですが、西南の楽器はストップが演奏者の左右に分割されており、
しかも、演奏者の後ろを通り抜けられないので、
二人必要なのです。
(演奏奏者が見える楽器の場合、一人のアシスタントが、
さながら蝶のように、左右に飛び回る光景も目にすることもあります。)

もちろんすでに何回も一緒に練習をして、
ストップ操作を体で覚えてもらい、僕の演奏とタイミングを合わせてもらいました。
アシスタントの良しあしは演奏の出来不出来に大きくかかわります。
ですからアシスタントにかかる精神的負担も半端ではありません。
お二人には本当に感謝です。



即興におけるストップチェンジは基本的に演奏者一人でやります。
(変更を書き込む「譜面」がそもそもありませんから!)
音を弾くのと同じぐらい大切な作業です。
実際即興をしていると、半分ぐらいストップのことを考えていたりします。
今回では、プログラム最後の即興「ふるさと」のフィナーレが、面白い実例でしょう。
オルガニストの肉体労働をぜひご堪能ください。

では

オルガンの無事を祈って、あ〜〜めん。

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