前小笠原村議会議員 一木重夫の政治日記

第5回&10回マニフェスト大賞受賞・令和元年7月の村長選挙に向けて準備中!

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10月31日、小笠原海運の社長が村長宛におが丸運賃の値上げを通知してきました。
来年4月からで、旅客で13.5%、貨物で9%の値上げです。
2等は片道22570円から25620円(夏期:28490円)、1等は片道45140円から51240円(夏期:56970円)になる予定です。
値上げの理由は原油の高騰で、値上げは原油の価格に合わせて値上げ幅が変動する、「燃料油価格変動調整金」を海運独自の試算で設定しています。

当初私は、「原油も高騰しているし、仕方ないかな」と思いつつも、海運が試算した調整金の設定根拠や他のフェリー会社の調整金の設定根拠を確かめてから、政治的な結論を出そうと考えてました。
早速、おが丸の調整金の設定根拠や他社の調整金を分析してみると、どうしても納得のいかない箇所が3つありました。

1.便乗値上げか?〜燃料高騰分は観光客の増加で補われている〜
村役場はおが丸の運賃値上げを止まらせるために、集客事業に力を入れてきました。結果的に平成17年度から観光客数は増加に転じており、平成17年度から18年度で観光客は2701人増加して、おが丸の旅客・貨物収入も1億900万円増加しました。
燃料費も高騰しているので、ちょうど1億円増加しました。
平成18年度から19年度の観光客数も3257人の増加で、旅客・貨物収入も7400万円増加の見込みです。
一方、燃料費は高騰しているにも関わらず、増加分は6000万円の見込みです。
つまり、燃料費が高騰しているにも関わらず、観光客増加による収入がそれを上回っているので、「旅客・貨物収入ー燃料費」は、平成17年度から18年度にかけては900万円、平成18年度から19年度にかけては1000万円という黒字になるのです。
海運からの通告文では、
「貴村との共同作業である集客事業も来島客が増加しているとはいえ、残念ながら目標には届かず、燃料高騰には到底追いつかない状況にあります。」
と述べています。
しかし、旅客・貨物収入の増加は燃料の高騰分を上回っているのは事実です。
(旅客増によって必要経費も増えると思いますが、必要経費の増加分については資料がないので、加味していません。しかし、乗客が倍に増えても乗組員も倍に増やしているとは思えませんが。。。また、旅客増によって船内窓口や自販機の販売収入も増加していると思いますが、これも加味していませんし、旅客・貨物収入に含まれているのかどうかもわかりません。)
そのため、海運の言い分である「燃料高騰には到底追いつかない状況」というのは到底理解できません。
そもそも調整金とは、燃料が高騰して内部の自助努力では高騰分を穴埋めできない状況になってはじめて、燃料の高騰分にのみ設定されるものです。
村役場と海運の共同作業で観光客誘致の自助努力し、燃料高騰分以上の収益増加を得ているのにも関わらず、「原油が高騰しているから」という理由で調整金を導入するのは、「便乗値上げ」ではないでしょうか?

2.便乗値上げか?〜調整金の基準設定が平成16年度なのはなぜ??〜
先ほども書きましたが、調整金とは、燃料が高騰して内部の自助努力では高騰分を穴埋めできない状況になってはじめて、燃料の高騰分にのみ設定されるものです。
先ほども述べたように、今年度までは観光客の増加によって燃料高騰分は十分に補われています。
「現在も原油価格は上昇しており、来年度はこれ以上の観光客の増加は見込めないから、調整金を導入したい」
という理由なら、社会情勢から判断しても理解されると思います。
そのため、私は来年度からの調整金の導入には反対していません。
しかし、どうにも納得いかないのは、今回海運から提案された調整金は、平成16年度の原油価格を基準にしているのです。
平成16年度の原油価格は24810円/1000Lであり、原油価格が鰻登りになる以前の価格です。
http://www.jogmec.go.jp/data/data_2_1.html
(04年が平成16年)
この基準価格が低いと、おが丸運賃値上げの幅が大きくなります。
平成16年度の原油価格と現在の原油価格(52788円/1000L)は、2倍以上の差があります。
例えば基準価格が20000円/1000Lで、原油価格が50000円/1000Lだとしたら、50000円-30000円=20000円/1000Lの増加分を乗客が負担するということです。
例えば基準価格が50000円/1000Lで、原油価格が50000円/1000Lだとしたら、50000円-50000円=0円となり、乗客の負担はないということです。
つまり海運は「平成16年度からの2倍以上の差を来年4月から穴埋めしたい」と通告してきたのです。
そうすると、これまでの観光客増加の自助努力で穴埋めしていた分を全く無視することになります。
また、平成16年度の基準を採用するということは、原油高騰に対応する海運の経営努力は平成16年度までで、それ以降の高騰分は乗客が負担せよという話です。
自助努力で穴埋めした分だけでなく、それ以上の便乗値上げで海運全体の経営状態を良くしようとしているのです。
調整金は原油高騰の分を乗客が穴埋めするものであって、海運全体の経営状況を良くするために導入するものではありません。
つまり、原油高騰以外に起因する赤字の補填に(例えばTSL騒動による経費など)、調整金を導入してはいけないのです。
来年度から調整金を導入したいのなら、今年度の原油価格(52788円/1000L)を基準にすべきです。
大阪と別府を結ぶダイアモンドフェリーという会社は、平成18年4月から調整金を導入し、その基準価格は40100円です。実質的な値上げは原油価格が44100円/1000L以上になってから適用され、それ以上値上げした分を運賃に上乗せしています。
平成17年度の原油平均価格が約40000円/1000Lなので、その当時の原油価格を基準にしたと思われます。
http://www.diamond-ferry.co.jp/news.jsp?id=27
その他にも調整金の基準価格が3万円台のフェリー会社は複数あります。
なぜ、海運の提示する調整金の基準価格は、平成16年度という高騰前の原油価格にするのでしょうか?
私は、平成16年度の基準価格を持ってくることは、原油価格高騰で沸き立っている日本人の石油価格に対する甘い判断を利用した、便乗値上げだと考えています。

3.運賃を値下げしなかったのはなぜ?
原油価格が高騰していますが、実は今から約25年前にも船の燃料であるC重油が高騰したときがあります。
昭和57年にはC重油の価格が現在と同じ程度の50000円/1000Lでした。
昭和54年当時のおが丸2等片道運賃は17300円(消費税換算すると18165円)、昭和58年には現在の価格21500円(消費税換算すると22575円)まで値上げしました。
C重油の値上げに伴い、おが丸はその3年間で4200円の値上げをしてきました。
その後、C重油は昭和61年に暴落して、それ以降20000円/1000L前後を推移しています。
しかし、その間おが丸の運賃は値下げしていません。
21年前の昭和61年といえば私が中学生3年生のとき。
昭和61年から現在まで全体的に物価や人件費が大きく上昇したとは思えません。
C重油の暴落から再び高騰するまでの約20年間、原油価格が50000円/1000Lに合わせた運賃設定のまま、値下げもせずに黒字会社を続けてきたのです。
社会情勢や船が変わるなどの変化もありましたが、それにしても値下げをせずに儲け続け、再び原油価格が50000円/1000L以上になったら、さらに値上げをするというのは、一体どういうことでしょうか?
私は公共交通機関が便乗値上げをすることが理解できません。


私の分析にはまだまだ甘いところがあるかもしれません。
細かいことをつつかれれば、ぼろがでるかもしれませんが、私が指摘した3つの指摘は本質的に正しいと思っています。
海上運送法第8条2項には
「社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、利用者の利益を阻害するおそれがあるものであるとき、国土交通大臣は・・・期限を定めてその運賃又は料金を変更すべきことを命ずることができる。」
と定めています。
今後、海運にこれらの疑問点に対して質問し、議会の総務委員会などでこの問題を取り上げ、他の議員と議論していく中でこの内容を精査し、村民に情報公開をしながら、海運、国土交通省、公正取引委員会、東京都などに働きかけていきたいと思います。


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