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2008/10/12
それぞれの「一握の砂」〜番外編
まぐまぐ!「啄木の歌とともに」
http://archive.mag2.com/0000133102/index.html
啄木
あ こ が れ
荒 磯
行きかへり砂這ふ波(はみ)の
ほの白きけはひ追ひつつ、
日は落ちて、暗湧き寄する
あら磯の枯葉を踏めば、
(あめつちの愁ひか、あらぬ、)
雲の裾ながうなびきて、
老松の古葉(ふるば)音もなく、
仰ぎ見る幹からびたり。
海原を鶻(みさご)かすめて
その羽音波に碎けぬ。
うちまろび、大地に呼べば、
大水に足を浸して、
黝(くろ)ずめる空を望みて、
ささがにの小さき瞳と
魂更に胸にすくむよ。
秋路行く雲の疾影(とかげ)の
日を掩ひて地を射る如く、
ああ運命(さだめ)下りて鋭斧(とをの)と
胸の門割りし身なれば、
月負ふに瘠(や)せたるむくろ、
姿こそ濱蘆(はまあし)に似て、
うちそよぐ愁ひを砂の
冷たきに印し行くかな。
(癸卯十二月三日夜)
あなたが
荒海の向こうの
大きな島へ渡ったのは
なぜだったのでしょう
そしてもうその島からも
あなたは旅立ってしまいました
あなたはたしか東京の人でした
あなたがこだわっていたお店の外壁の蔦
それは空襲で焼けてしまった東京の
蔦でおおわれた小学校の校舎への
郷愁だったのですね
そしてその店の名
東京から遠く離れた島で
あなたは誰を待っていたのでしょう
誰との再会を望んでいたのでしょう
青春の日々を共に学んだ仲間でしょうか
あなたの文章が好きでした
雪割り草が好きで蔦にこだわるあなたが好きでした
蛍という名前が好きでした
きっと無口で不器用な人だったのではないでしょうか
心ひそかに兄と慕った人でした
そのあなたのあなたのブログが
八月のある日から更新されなくなりました
そして一ヶ月後
あなたの友人からのメールが届きました
あなたの突然の死を知らされました
いろんなHPやブログを訪問しても
コメントせずに素通りすることがほとんどです
縁あってあなたのHPを訪れてからなぜか気になり
あまり書き込みのない掲示板に居候することにしました
掲示板の書き込みが多かったら居候はしませんでした
あなたが亡くなって
あなたのHPもなくなりました
でもあなたのブログと掲示板はまだ生きています
あなたとの縁をつないでおこうと居候していた掲示板
いまも居候を続けています
あなたの掲示板に花言葉を書いていました
一年ほど経って
新しい年が始めるのをきっかけに
啄木の歌集「一握の砂」を読み始めました
読んだ歌に私の歌を添えて掲示板に書き込むことにしました
一日一首の掲示板の書き込みを続けて四ヶ月目
毎日続けていく自信が出来たので
それを日刊のメルマガにしました
それが今これを書いているメルマガです
あなたが亡くなったのはその年の八月のことです
曲がりなりにも自分の言葉で
自分の思うことをこうして綴っています
そのきっかけの場になったのがあなたの掲示板でした
あなたの掲示板を私物化していた私に
あなたはなにも言いませんでした
あなたが亡くなってから四年目の秋を迎えています
私はまだあなたの掲示板に居候しています
あなたの掲示板が削除されるまで
まだまだ居候するつもりです
もう誰も見ることのない掲示板かもしれませんが
[ 一郎 ]
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