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明夷:利艱貞
明:日と月。下卦の{離}は八卦系統には太陽をさす。
夷:低くて平たい。上卦の「坤」は八卦系統には平地をさす。
明夷:太陽が低平の方向に落ちている。衰頽の時世、またこの時世にいる末代君主のことをたとえる。
利艱貞:艱難な時勢(時代)に辛抱努力を考えてすれば利ろし。
初九。明夷于飛、垂其翼、君子于行、三日不食、有攸往、主人有言
于:助詞、無意味。
于飛:鳥が空中に飛んでいること。
注:『詩経』には、「燕燕于飛」、「鴻雁于飛」、「雄雉于飛」、「黄鳥于飛」などには頻出してある。
明夷于飛:「明夷」この鳥が空に飛んでいる。衰頽時世の末代君主はまだ上にいる。
按:明夷を鳥に譬えるのは、日の中に「足+俊の右部分」鳥(三足の烏)有るということである。(『淮南子・精神訓』)
『周易』には、鳥に関する言葉は、およそ中央政府政権とつながる。とくに殷国政権のことをさす。
『詩経・商頌・玄鳥』:天命玄鳥、降而生商。
垂其翼:高く飛べなくて、翼をたらして下へと滑走するしかえない。
于行:「于飛」と文法同じ。去ってゆく。
君子于行:道徳知恵がある君子は乱国を去る。
三日不食:三日間(逃れる数日間)に食事もせず。時間緊迫、事態緊急、生死にかかわる。
有攸往:いくところある。目的方針ある。
主人:目的地の主人。君子を留め置くところの権力者をさす。
主人有言:君子は「主人」と情報・建議・計画などを話し合う。
六二。明夷、夷于左股、用拯馬壯、吉
左:ひだり。古代中国の地図には東の方角である。主の位。
六二は内卦の下層中堅である。
股:ももとしり。下半身の主要有力な部位。股肱の臣。
明夷、夷于左股:明夷の時世に、股肱の臣は下層重要な位置にいて、勢力を持つ。
拯:下のものを上に引っ張って救う。
拯馬:救援に使う軍馬。消防団のたぐいの救援部隊、政権を守る軍隊など。
用拯馬壯、吉:下の股肱の臣は強大な軍事力を用いて、政権の危難を救う、またみずから守るのはいいことだ。
九三。明夷、于南狩、得其大首、不可疾貞
南:南方。臣の位。
南狩:南地方に狩りをする。
巻き狩りは大勢な人馬を遣い、軍事戦争と同じ。
明夷、于南狩:明夷の末代君主は南地方の諸侯国(叛乱した臣下)を征伐する。
大首:大きな頭。人間の首謀、軍の統帥をさす。
得其大首:その大首領を捕って得る。
疾:やまい。不正常な状態(もの)。
不可疾貞:不正常な状態(衰頽の時世)に「南狩得首」の仕方をうらなう(考えてする)べからず。
武力鎮圧は一時的な手当てで、体制国運の根本的問題が解決できない。
六四。入于左腹、獲明夷之心、于出門庭
腹:上体の腹心。上方の内部重要位置。
入于左腹:中央内部高層に入って、要職に就く。
心:要害部位、ふつう左の腹中にある。
獲明夷之心:明夷(末代君主)の腹心の臣を仲間に引き入れる。
明夷の重臣らもその君主に叛く。
注:『史記・殷本紀』剖比干、観其心。
門庭:ふた開きの大門とにわ。権勢ある家をさす。
{節}卦には、「不出門庭」。
于出門庭:そして、時機に応じて家を出て天下の大事業をする。
周の武王は二度と諸侯を集めて、殷の紂王を征伐しに出兵。
六五。箕子之明夷、利貞
箕子:紂王の伯父(兄説もある)、名は胥餘。何回も紂王を諌めたが、聞き入れずに。そして、気が狂ったように装って避けたが、やはり奴隷まで処された。『史記・宋微子世家』に伝がある。
之:に。と。
箕子之明夷、利貞:箕子が明夷の時世とその君主(紂王)にあった事を鑑として、そのやり方を考えてすれば利ろし。
上六。不明、晦、初登于天、後入于地
不明:太陽がやっと完全に消えてしまった。光明(陽)が尽きる。
晦:月末には月が出ない。陰もなくなった。
不明晦:陰陽ともに消えて、運命の最後、徹底的に滅亡。
初登于天、後入于地:最初は天にのぼってあった、最後は地下に落ち入る。
日月はこのようで、天運も同じく。
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