話題満載 池ちゃんの 『破常識』で行こう!

古い記事にこそコメントをどうぞ♪新旧の無い『本』の様なブログです。、

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2からの続き・・・。
さあ、では初稿から行ってみましょう。

初稿「12の練習曲」第4番 S.136(サール番号)

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リストがこの曲を書いたのは15才。
ツェルニーの影響の濃いこの曲ですが、実は一番大きい発見はこの曲(原曲)でした。
まだエンターテイメント性も無く、純粋に音楽だけを追っている曲なのですが、どうでしょう。何か気が付きませんか?
勿論、導入部の和音も音のカーテンもありませんが、そういう事ではありません。
譜面を見てください。
何と、次の稿から強く打ち鳴らされる「テーマ(メロディ)」が抑えられています。つまり、元々2と4で弾かれる三段譜の中段部分を聴かせる曲だったのです。
これで私がこの曲を聴く姿勢は180度変わってしまいました。クライバーンの演奏を流すのに後ろ髪を引かれるのはそのためです。

それにしても美しい曲ではないですか。改訂を繰り返し、変わってしまった中段の譜面よりずっとずっと美しいです。
今で言う「中三」の若きリスト、やはり素晴らしいです。

第2稿「24の大練習曲」第4番「マゼッパ」S.137(サール番号)

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導入部はまだありませんが、オクターブのテーマが追加されて強い個性が現れました。これでこの曲の骨子が出来上がったと言えるでしょう。
最終版に比べて洗練されていませんが、その分テクニックは最終版よりも難しいものとなっています。
クラウディオ・アラウやベルリオーズが「『24の大練習曲集』は、リスト以外には演奏不可能」と言うくらいですから。

第2稿より「マゼッパ」のみ改訂 S.138(サール番号)

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導入部に不穏な和音が付きました。さらに最終稿に近づいてきましたね。
この頃はリストも次々にイマジネーションが湧き、ピアノの曲をオケに編曲したり、その際にまたアイディアが湧いて元のピアノ曲に手を入れたりと、自分でもその湧き上がるものを形にするだけで大変だったのでしょうね。
精神的には一番乗っている頃なのかも知れません。

第3稿「超絶技巧練習曲集」第4番『マゼッパ』S.139(サール番号)

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いよいよ最終稿、普段見聞きする「マゼッパ」です。
ここまで来ると、この導入部の和音も音のカーテンも、曲の魅力に大きく貢献しているのがお分かりだと思います。曲中の手直しより、この導入部の完成が一番大きかったのではないでしょうか。

ここまで聴いてきて、色々思うところはありますが、やはりこの最終稿は素晴らしいです。出来上がった作品に手を入れる人、入れない人といますが、リストはその後者の代表。完璧主義である以上に、作品への思い入れが強いのでしょうが、その仕事は全く無駄になってはいません。


それにしても、何故リストは「24の練習曲」に拘ったのでしょう。それには「ショパン」が大きく関わってきます。

まずリストが初稿を書いたのが1826年。
ショパンが「練習曲作品10」(全12曲)を書いたのが、その3年後の1829年から30年。そしてリストに献呈します。
続けてショパンが「作品25の練習曲」(全12曲)を書いたのが1832年から36年。今度はリストの恋人「マリー・ダグー」に献呈します。
リストのエチュード第2稿は翌年の1837年ですので、きっとリストはショパンに触発されたのでしょう。タイトルを「24の〜」としたのも頷けます。

「マゼッパ」自体は、音楽的にショパンの影響はほとんど受けていないと思いますが、ショパンから続けざまに献呈されたので、より高い完成度を目指して「エチュード」に手を加えたのでしょう。
しかし、それ以上にリストを駆り立てたのは「自尊心」だったのだろうと思います。
実は、リストはそれまで、どんな曲でも初見で弾きこなすことが出来ました。そんな「ピアノの魔術師」リストが、生涯唯一、初見で弾けなかった曲こそが、ショパンの「エチュード作品10」だったのです。
リストは余程悔しかったのでしょう。そのために雲隠れして練習し、数週間後にショパンの前で全曲を完璧に弾きました。ショパンがリストにこの曲を献呈したのは、その時の感動からだったのです。
リストが触発されるには充分過ぎるエピソードですよね。

※尚、この記事は史実を元に、私が想像している部分が含まれています。

<あとがき>
確かにこの曲は、ヴィルトーゾとしてヨーロッパ中を風靡しました。勿論、非常に高度な演奏技巧を要するものなのですが、本来の目的はそこではありません。
そもそも原題の「transcendante」には宗教的な意味があり、「超絶」ではなく「超越」と訳されます。
つまり、「肉体・精神・魂の全てを超越する(練習曲)」というニュアンスであり、「超絶技巧」は本来ふさわしくない。
これはリストが示す、キリスト教への宗教心の表れ。リスト自身、晩年には司祭も務めていたのですから。

しかし、残念ながら世の「天才」達には、その上を行く「超天才」リストが示すものまでは見えて来ません。その卓越した技巧のステージに目を奪われ、その上にある精神性にまで到達できません。
技巧だけで精一杯なのですから、当然感じるのは「技巧」ばかりでしょう。

ブログを見てもリストをけなす意見、「曲芸」だなんだと揶揄するのをよく見ます。本を読んでも然りです。
そういう意見を見聞きするたび、超天才を非難したがる「やっかみ」にも似た人間の醜さが見え隠れします。常人を超えた存在を否定することで自分の優位性を確認する。いやですね、そういうのは。

<無駄書き>
久しぶりに超力作記事です。
今までの経験上、こういう記事こそコメントゼロなんですよね(^^;)

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あ゜〜(屮ΘДΘ)屮
譜読みだけでも目がまわるぅ〜〜!!
くるくるくるくる・・・・

リストって演奏マシーンよね、まるで^^A
4の指が異様にながかったといいうからこういうのができたのかなぁ〜とも思っちゃったりもするよ。

2010/11/28(日) 午後 6:22 まきまき 返信する

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まきまきさん。
あなたまで「マシーン」なんて言わないでくださいよ(^^)
指に関してはラフマニノフもそうですが、他人と違っていても基本的に関係ありません。ミュータントではないのですから。
それに、リストの弟子達は完璧に弾きこなしていたようです。努力とほんの少しの才能があれば大丈夫なのですよ、きっと。

2010/11/29(月) 午前 8:53 池ちゃん 返信する

はじめまして。
大好きなリスト。しかもまきまきさんとこから覗いて記事がリストのマゼッパだったのでびっくりしました。
大変興味ぶかかったです。もしかしてリストはかなり優柔不断なんでしょうか?^‐^;
いろんな曲で改訂しまくってますね。
現在の楽譜にいたるまで、大変参考になりました。

この曲オーケストラもたしかありますよね〜

2010/12/6(月) 午後 7:49 ウルフオルフェノク疾走態 返信する

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ウルフ・オルフェノフさん。はじめまして。
まきまきさんの所からようこそいらっしゃいました(^^)
嬉しいですね。もうコメントも入らないと思っておりましたから・・・。

そうですね〜。優柔不断と言うより、次々に新しいアイディアが浮かんで仕方なかったのではないでしょうか。
ピアノもどんどん進化し、その度にそれに合わせた改訂をしないと気が済まなかったのだと思います。
何年経っても一つの作品の究極の形を追い求める姿、私は大好きです。
その結果、「マゼッパ」にしても「ラ・カンパネラ」にしても、今でも弾き継がれる偉大な作品に昇華されたのですから。
もし改訂を続けなければ、どちらの作品も弾かれることのない、いや誰も弾けない曲で終わっていたのですから。

2010/12/7(火) 午前 3:46 池ちゃん 返信する

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もう一つ。
オーケストラ編曲もしていますよね。
実は、この「マゼッパ」と「メフィストワルツ第一番」に多くの共通点を感じています。
やはりメフィストもオケ編曲していますから、リスト自身それを意識していたのではないか、と勝手に思っております。
想像の旅は楽しいですね(^^)

2010/12/7(火) 午前 3:49 池ちゃん 返信する

あ、登録ありがとうございます。オルフェノクですんでお間違えのないように^^;難しいならコピーペーストでかまいませんよ^^;

オーケストラは交響詩というジャンル造ったひとですよね^^

2010/12/7(火) 午前 5:57 ウルフオルフェノク疾走態 返信する

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オルフェノクさん。ロシア人にしてしまい、申し訳ありませんでした(^^)
さすがにリストがお好きなだけあって、お詳しいですね。
そうです。交響詩のパイオニアでもありますよね。
自分のピアノ曲をオーケストレーションするにあたり、ふさわしい形式が無かったのだと思いますが、結婚式の立会人をつとめてくれた「ベルリオーズ」の影響も大きいのだと思います。

2010/12/7(火) 午前 7:42 池ちゃん 返信する

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wa,wakarann・・・・・・・・
tairyoku kaifuku site kitakara yonnde mitaga
oidonn niha wakarann sekai datta・・・・

2010/12/9(木) 午後 8:54 旅人 返信する

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旅人さん。
クラシック音楽ネタですが、今後このブログに投稿するのを控えてみようと思っています。
どのネタにも言えることですが、少々マニアックに過ぎるので、読みやすいブログを目指してジャンルを絞ってみますね。

2010/12/10(金) 午後 7:13 池ちゃん 返信する

えー?なんでですか?
がっかりです...
これから楽しみにしてたのに。楽しみがなくなりました。

2010/12/11(土) 午前 8:16 ウルフオルフェノク疾走態 返信する

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やめなくていいのに・・・。
これだけ音楽の記事かけるんだから
その才能もったいないと思います。

ぼちぼちでいいと思います。
僕は楽しみにしてます
僕も音楽レビューは以前ほどは書いてないです^^;
たまにしかやってないので^^;
気がむいたらまたやってくださいね^^

すいません 僕なんかが期待して^^;

2010/12/11(土) 午前 10:04 ウルフオルフェノク疾走態 返信する

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ウルフさん。
最近、「いつ訪問しても好きな記事で溢れている」ブログを考えるようになりました。
とある方からの進言なのですが、雑多だと嫌いな記事も載るのでトラブルの元であると・・・。
実際にそのようなことも経験しています。

例えば別に立ち上げるとか、あるいは記事の本数を減らして充実度を増すなど、色々な方法があるでしょう。
それをただいま検討中なのであります。

2010/12/11(土) 午前 11:43 池ちゃん 返信する

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