話題満載 池ちゃんの 『破常識』で行こう!

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オリジナル ショート・ショート

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ショートショートとは、アイディアやオチの面白さが要となる、原稿用紙1枚から7・8枚で書かれた短い小説。尚、この書庫にある作品は、私が今から20年ほど前に書いたオリジナルです。

このシリーズも55回目、残る作品もあと僅かです。
第1回から実際に掲載された作品を取り上げて来ましたが、ここまで来るとボツもボツ「おハズカシ作」しかもう残っておりません。
しかしまあ記録ですから、恥を忍んでアップいたしましょう。

<ダイヤモンド>

「早いなぁ、もう四月か。そう言えば、四月の誕生石って何だったっけ?」
「な、何だったかしら……」
 私は夫の言葉に心臓が飛び出そうだった。
 やはりバレていたのだ。でなければ、宝石に詳しいはずの夫の口から、こんな言葉が出てくるわけがない。

 一昨日の事だ。下の子が小学校に上がった記念と称して、私は気晴らしに大枚を叩いてダイヤのリングを買ってしまった。
 ところが、ついうっかりそれをドレッサーに置いたままシャワーを浴びてしまい、またその日に限って夫が普段より早く帰って来たものだから、恐らくその時に見られてしまったに違いないのだ。

「何だったかなぁ、四月は」
「忘れたわ…」
「そうか? 確か、物凄く人気のある代表的な石だと思ったけどなぁ」
 夫は窓の外に目を移した。しかし、その細い指は何かを言いたくて仕方が無いとばかりにカタカタとテーブルを叩いている。
「もう沢山だわ。随分回りくどい言い方じゃない。あなた、ダイヤのリングの事を言いたいんでしょ?」

 夫が驚いた顔をしている。何を今さら驚く必要があるのだ? 私はそんな夫にますます苛立ちが募った。
「そんなもの、贅沢でも何でも無いわ。ダイヤのリングのひとつぐらい買ったからって何よ! ペンダントも合わせるくらいじゃないとサマにならないんだから」

「………面白くない!」
 夫は完全に機嫌を損ね、煙草を神経質にもみ消した。
「俺の気持ちも考えずに、よくもそんな事が言えたな」
「何よ。開き直るつもり?」
「大体、君って女は……」
「あんたの方こそ、男のくせに陰でコソコソして!」
「気付かない振りをするのが礼儀ってもんだろうが」
「えっ???」
「いい、もうたくさんだ!」
 バシッ!
 夫はポケットから小さな箱を取り出し、テーブルに叩きつけた。
「何よ、これ……」
「ダイヤの指輪だけで悪かったな! くそーっ、今日が十回目の結婚記念日だから密かに準備したっていうのに」


私はこの作品を「相手も同じような事をしている」という事から「ミラーリング法」と呼んで分類しています。
今までの作品にもこの手法を使ったものが沢山出てきましたよね。

発想は、当時「10年目のプレゼントに『スウィート・テン・ダイヤモンド』」というTV−CMが流れていて、それを見てのものです。
まあ現実には、10年目ともなると子供にお金がかかってそれどころではありませんが。
宝石業界も大変です。
ショートショートとは、アイディアやオチの面白さが要となる、原稿用紙1枚から7・8枚で書かれた短い小説。尚、この書庫にある作品は、私が今から20年ほど前に書いたオリジナルです。

さて、今回はサラリとは参りません。結構ドロドロしています。
実はこのショートショート、ある問題を抱えています。そのことは作品の後で解説いたしましょう。

<血は水よりも濃く>


 私はこの春、憧れの高校に合格して毎日が大忙し。
「涼子は悩みが無くていいわよね!」
 なーんて皆によく言われますが、私には、家族で食事をしていてもいつも頭から離れる事の無い、誰にも言えない悩みがあるのです。
 私は四人兄弟の末っ子なのですが、実は私以外の兄弟は、父とも母とも血が繋がってはおりません。

 父は母とが三度目の結婚で、最初の奥さんは子供を産めないのが分かり、養子を迎えた一年後に病気で他界。それが和彦兄さん。
 二度目の奥さんは、だんなさんを亡くして二人の子供を抱え、パートとして父の会社で働いたのがきっかけで、同情から愛に変わって子連れ同士で結婚。しかし、それからわずか半年後に、今度は事故で他界。
 父は、何と和彦兄さん、彰一兄さん、幸江姉さんという、全く血の繋がりの無い三人の子を持つ父となったのです。
 そして二年後、父の会社に入社したばかりの母は、そんな優しい父に一目で惹かれて子供を宿し、周囲の猛反対を押し切って父と結婚。そう、その時の子供が私です。
 と、ここまで話すと、まるで美談のように聞こえてしまうのでしょうが、私の悩みはここからなのです。

 兄さんも姉さんも、あんなに優しい父に育てられた筈なのに、和彦兄さんは度重なる窃盗で服役中。彰一兄さんは、暴走族から極道になり絶縁。幸江姉さんは『有名になる』と言って、いかがわしいビデオに数本出たきり音信不通。
 父のショックは目も当てられぬ程で、
「涼子だけはまっとうに育ってくれ。お前は私の血を分けた、たった一人の子供なのだから」
 と、今までは決して口にする事の無かった禁句さえ出て来る様になったのです。私は父が可哀相でなりません。私だけはこんな父を絶対裏切らない。良い娘であり続けたいと思っています。

 ……と言いたいところなのですが、実は私は大変な大嘘付きなのです。中学の頃から部活にだってまともに行った事がありません。
 いつも先輩や友達と一緒に、万引きや恐喝は勿論、悪い事は何でもやりました。援交の相手も、多い時には同時に四人もいました。大抵は父より年上です。
 でも、父にとって私はたった一人の血を分けた娘なのですから、母と手を取り合って父を励まそうと思っています。今まで通りに秘密がバレない様に気をつけながら……。

「お母さん。お醤油ちょうだい?」
「自分で取りなさい。もう高校生でしょ? お父さんも、何か言ってやって下さいよ!」
(神様、どうか秘密のままでいさせて下さい。私が主人と出会った時には、もう既に涼子がお腹にいた事だけは……)
「おい涼子。いつまでもそんなだと、彼氏が見つからないぞ」
(このままで良いのか? 妻も娘もだまし続ける事で、かえって苦しめてはいないだろうか? いや、やはり話すべきでは無い。私が妻と出会う前にパイプカットしていた事は)


今読むと、想像だけで書く大胆さと短絡さの両方が読みとれますね。実際に高校生の娘を持つと、さすがに表現が変わってきます。こうは書きません。
時代も感じます。
その当時なので「いかがわしいビデオ」と書きましたが今はDVDの時代、「いかがわしいDVD」と表現されるのでしょうか? 分かりません(^^)

ところで冒頭に書いた「ある問題」、それは「視点」です。
この作品の書き出しは「独白」「告白」で始まっていますから一人称「自分の視点」です。
ところが、その流れで行くと最後の両親の心の声が描けず行き詰まってしまいます。
強引に書いてしまいましたが、ここが最大のウィークポイントです。

そもそも初めの着想が映像で浮かんでいました。
何気ない食卓の風景。そこに娘から母、そして父の心の声がナレーションで被ります。
「さて、これをどう文字にするか・・・」
独白を手紙や日記にして三人称「神の視点」にする方法もあります。
しかし、やはり書き出しは変えたくない。三人称では客観的になりすぎます。
結局着地点が見つけられぬままに放置され、今こうしてアップすることになって、当時の問題にまたぶつかったというわけです。

内容は私の十八番「裏」の多用。
この視点の問題をクリアし、もう少し最後の親の声がスッキリと精査されると、読んで楽しい作品として仕上がったと言えるでしょう。このままでは「楽しめる」とは少々言えませんから。
このモチーフで別のプロットでいくつか書き直し、一番ふさわしいものを採用する。
この作業が必要と言えるでしょう。
ショートショートとは、アイディアやオチの面白さが要となる、原稿用紙1枚から7・8枚で書かれた短い小説。尚、この書庫にある作品は、私が今から20年ほど前に書いたオリジナルです。

これも初期の作品です。
細かいことはさておき、まずは作品をどうぞ。

<女のプライド>

 ギューッ!
「痛てててて、危ねえなぁ。事故っちまうじゃないか!」
「ウフフ。あなた、私に嘘ついてない?」
 深夜のドライブ。私は二股を掛けている余裕からか、この“ナンバー2”の男をからかってみたのだった。
「そんなもの。……ある訳無いじゃないか」
「本当? 絶対掛けるなって言われてたけど、私、あなたの会社に電話してみたのよ?」
 軽い冗談のつもりだった。しかし、彼は急に真顔になって黙ってしまい、そのあと予期せぬ言葉が……。
「そうか、ついにバレちゃったか。そうだよ。M社に勤めてるなんてデタラメさ」
 意外な事実にも、私は不思議に腹が立たなかった。それどころか、もっとカマを掛けてみようと思った。
「まあ、それは許すとして。あなた、それよりもっと大事なこと隠してるでしょ。卑怯じゃない! 分かってるのよ?」
「ごめん。騙すつもりは無かったんだ。ただ、結婚して子供がいるなんて言ったら、君と付き合えないと思って、つい」
「…………」
「…………」
「もう終わりね。私達、別れましょう。その方がお互いスッキリするわ」
 少しコメカミにピクリと来たが、どうせこの男はナンバー2だと思えば、たとえその口から何が飛び出そうと、さほど気にはならない。
「そうだね。そうしよう。この際だから白状しちゃうけど、君に一目惚れしたっていうのも、実は嘘だったんだ」
「ふ〜ん」
「愛してるっていうのも、結婚したいなんて言ったのも全部嘘。それに、君にあげた指輪やネックレスも、本当は全部イミテーション」
「そう……」
「女房には内緒だけど、君の他にも不倫相手が二人いる。つまり三股掛けててさ」
「頑張ってね……」
 何故、こんなにも心が穏やかでいられるのだろう。もしかすると、私はマリア様ではないのかしら……と、半分本気で思いながら煙草に火を付けた。
「大丈夫! 君だって、すぐにいい男が見つかるさ。世の中の男がみんな、揃いも揃って面食いばかりとは限らな……」
 バシッ!
 私は反射的に男の頬を張り倒した。ミラーに映ったその表情は、まるで憎悪むき出しの般若の面のようであった。


ショートショートを書き始めた頃は、とにかくたくさん書くことを目標としました。
深いオチ、浅いオチ。劇画タッチ、4コマ漫画風。会話調、ナレーション形式。

今読むとツッコミ所満載ですが、まあ良いでしょう。
色々書いて行く内に段々手慣れて行き、成熟したものが書ける様になります。そこまで行く過程としての若々しい作品。
書いても書いても次々にアイディアが湧いてくる、とても懐かしい時代です。
ショートショートとは、アイディアやオチの面白さが要となる、原稿用紙1枚から7・8枚で書かれた短い小説。尚、この書庫にある作品は、私が今から20年ほど前に書いたオリジナルです。

お色気物? が好評につき(^^) ついでにもう一つ参りましょう。
これも「お子ちゃま御遠慮作品」です。

<行きずりの恋>

『あーん、いやーん。感じちゃう〜ん』
『ウッ! 俺、もうイキそう……』
『イヤ・・・・・・・・・・ン』
 あらイヤだわ。私としたことが、はしたない……。
でも、こうして初めて会った男と平気でHしちゃってる私も私だけど、いつもこんな事してるってわけじゃないのよ? 私にだって一応理由はあるの。
 そもそも、今日は朝からとっても良い天気でポッカポカ。こんな日は誰だって家になんか居たくないじゃない? だから、ちょっとオシャレしてお出掛けしたの。そうしたら、偶然すれ違ったのよ……彼と。
 彼は同じ町内で、スッゴイ豪邸に住んでるの。広いお庭に芝生なんか敷いちゃってて、いつもお出掛けは高級外車だもの。私の家なんか思い出すだけで、もうガッカリ。
 それにルックスも最高で、色白で端正な顔立ちが、何かこう……気品と言うか、育ちの良さがパーッと輝いてるのよねぇ。ああ、憧れちゃう。
 そんな彼がしなやかに歩いて来て、私がそれとなく見つめたら、彼も私を見てるじゃない。そして、ニッコリ微笑んで足を止めるじゃない。『お早よう!』って言うじゃない。嬉しくって舞い上がっちゃって……ねえ、ねえ、そうじゃない?
 こんなチャンス、逃す方がおかしいわ。だから、私の方から強引に誘っちゃったの。恥ずかしいとか何だとか、そんな呑気な事言っていられないもの。
 そして、彼との甘〜いひととき。今、こうして家に帰ってソファーで横になりながらも、もう頭の中は彼の事で一杯。
 でもねぇ私、いくら彼が好きでも子供を産めないのよ。だって、去年避妊手術されちゃったんですもの。
 あっ、食事だわ。あらヤだ、またオカカご飯? でも、一応喜ぶ真似くらいはしておかないとね。
「ミャ〜」

この作品は初期のもの。
「実は人ではなかった」という定番のパターンで、私はこの手法を「擬人もの」と呼んでいます。
これは非常にバリエーションが豊富なので、ショートショートを書く人間が一度は通る道です。
コンテストでも「動物」「トランプ」「ロボット」等々、それはもう昔から沢山書かれていますが、逆の言い方をすれば、「オチに意外性は無いが、魅力を出せれば入選出来る」ということ。

とにかく、少し読み慣れた人なら「ああ、このパターンね」と数行で分かってしまいますから、よほどプロットや筋立て、あるいはキャラクターなど「何か」に魅力が無ければ「ありきたり」で切り捨てられてしまいます。
とは言え、有名な作家もこの手法の作品を残しているのは事実。やはりアイディアと「筆力」が物を言います。

私もこの手の駄作を沢山書いていました。
何とか奥行きを持たせようと「実は」の奥にもう一つ仕掛けを作りもしましたが(「多分人じゃ無いな」と思わせておいて別のパターンで落とす)、今度は分かりにくくなったりキレが無くなったりと弊害が出てしまいます。
ショートショートは簡潔さとキレが命。複合技は難しいですね。

ちなみにこの作品。細かい事ですが、実際音として聞こえる声を「」、聞こえない猫語を『』書きで表記しています。これなら矛盾は無いはずです。
人として読んでも猫として読んでも楽しいものになっていれば良いのですが・・・。
ショートショートとは、アイディアやオチの面白さが要となる、原稿用紙1枚から7・8枚で書かれた短い小説。尚、この書庫にある作品は、私が今から20年ほど前に書いたオリジナルです。

重いテーマが続いているのでお口直しに一遍。
これは女人禁制なのでしょうか? いや、逆に婦人雑誌向けなのでしょうか(^^)
う〜ん。とりあえず、お子ちゃまにはご遠慮願いましょう。それと、池ちゃんが堅物だと思っている方もご遠慮ください。


<真昼の秘め事>

「えーっ、うそっ! お昼休みに?」
「大丈夫よ。別に泊まろうって訳じゃ無いんだからさ! 裕子も彼氏誘って、四人で一緒に行こうよ」
 これには、さすがの裕子も驚いた。同僚の美智子の奔放さには慣れているつもりだったが、まさか会社を抜け出してホテルに行こうと誘われようとは、夢にも思わなかったのである。
「パパッと済ませて出て来りゃいいのよ。あとは会社に戻って、銀行にでも行って来たように涼しい顔してれば、誰も気が付きゃしないって」
「でも……」
「それに、週刊誌で読んだんだけどさ、アレは美人になる秘訣らしいわよ? ゴクンて飲んじゃう人もいるんだって。ああ、何だか今からワクワクして来たわ。四人で一緒だなんて」
「えっ! 一緒って、まさか」
「や……やだエッチねぇ、何考えてるのよ。中で別れるに決まってるじゃない! じゃあ裕子、明日いいわね?」
「う、うん……」

「あーダメ、気持ちイイ最高! 体が溶けちゃうーん。たまんないわ。病み付きになっちゃいそう……。ねっ、裕子?」
「うん。でも、やっぱり気が引けちゃうな。昼間から温泉なんて」


イメージは、女性雑誌の温泉特集にチョコンと載る感じで書きました。
書き始めはもっとエゲツなかったのですが、そこそこ毒を残しつつ、下品になりすぎない程度にまとめたのですが(^^)

でも、携帯が普通にある今の時代では通用しない内容ですよね。呼出がかかってきたら大変ですから。
本当に時代と共に書く内容も変わって行くものです。

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