|
私は渡辺いっこう。フリープロデューサーである。 「5月12日って、織田信長の誕生日なんですよ。所長、知ってました?」 いきなりのクエスチョンはアシスタントの片桐くんだ。 最近なんか歴史好きな女性が多いんだってね。 「歴女」とかいうらしい。 たしかに、天文3年5月12日(1534年6月23日)の生まれだ。 小説、TV、映画等々で語り尽くされてきたので、いまさらここで説明はしない。 鳴かぬなら殺してしまえホトトギス これは江戸時代に見られるもので、信長の時代のものではないが、なかなか巧みな寸評かと思う。 大軍を率いて入京し、古の木曽義仲のような野蛮な略奪があるのではと恐れられる中、連歌師の里村紹巴が二本の扇を信長に差し出し、「二本(日本)手に入る今日のよろこび」と述べたところ、「舞い遊ぶ千世万代の扇にて」と返し、民衆に教養のある人物だと感嘆されたいう。 これはヤラセくさい。 人間五十年 下天のうちをくらぶれば 夢幻の如くなり ひとたび生を享け 滅せぬもののあるべきか 幸若舞「敦盛」の一節。 本能寺に襲われ、最期の瞬間、やはりこれを口ずさんだのだろうか。 生き急いだんだね。 「人間五十年。所長は少し生き急がないといけないんじゃないですか」 グサッ。 「そうそう、この間、神田小川町の『時代屋』さんで所長を見かけましたよ。ミニスカの女性たちを見つめていたような。イヤらしいです」 ち、ちが〜う。 て、敵は本能にあり!? 今日も精進の日々である。 注:掲図は、狩野永徳作「織田信長像」(大徳寺蔵)
|
全体表示
[ リスト ]




