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私は渡辺いっこう。フリープロデューサーである。
2月も7日過ぎあたりになると、男女の間で一種緊張感が漂うようになる。
そう、バレンタイン・デーが迫っているのである。
女性が愛する男性にチョコレートを贈る、愛してないが好意をもつ男にも贈る、全然愛してないし好意もそれほど持っていない組織の同僚にも贈る・・・
ふうむ、うまく仕掛けているなあ。「義理チョコ」なんて定着してしまった。いまや女性が女性の友だちに贈る「友チョコ」まで登場している。「バレンタイン・イブ」なんて言葉もある。かててくわえて、ホワイト・デー&3倍返しだと(怒)。
日本はこうまでしないと組織内のコミュニケーション、人間関係を円滑にできないのか。
「ただいまー。あれっ、所長、なに不機嫌そうな顔してるんですか?」
アシスタントの片桐くんだ。
「おっ、どこに行ってたの?」
「ちょっとデパートまで」
ギクッ。
「な、何してたのかなー」
「バレンタイン・チョコの下見してたんです」
オー・マイ・ゴット。彼女の顔がなにか強気そうに見えるのは気のせいか。
聖バレンタイン・デーに、恋人同士がプレゼントを交換するという風習は古くからあったようだ。
ただ、女性が愛する男性にチョコレートを贈るのは日本独自のもの。
これを創始したのは、メリーチョコレートカムパニーの現社長・原邦生氏だ。
まだ学生の頃、ヨーロッパの友人から一枚の絵葉書が送られてきて、そこに「・・・ヨーロッパでは聖バレンタインの日に恋人同士がチョコレートを送ったりしている」という内容がサラッと書いてあったそうだ。
そこで閃いた原氏が、父親の創業社長を口説いて新宿の伊勢丹でバレンタインセールを行った。
1958年(昭和33年)2月のことである。
このときは3日間で板チョコ3枚、カードを含め計170円しか売れなかった。
しかし、次の年には、鉄ペンで名前を彫り込むサービスを付加して成功。それから各社しのぎを削るようになり、大きく飛躍した。
現在国内のチョコレート市場は、およそ4,000億円。2月の消費は、そのうちの25%にのぼるそうだ。
この辺の事情については以下を参照されたい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%BC
原社長は柔軟な発想の方で、アイデアが次から次へと泉の如く湧き出てくる。
まだ若造だった私を面白いやつと思われたのか、酒やカラオケをご一緒させていただいたり、ずいぶん可愛がっていただいた。
社長と同年生まれの帝国ホテル顧問(元宮内庁)の中島宝城さん、元京王百貨店社長の川村六郎さんとをコーディネートをさせていただいたが、ほんと楽しい時間だったなあ。
この2、3年ご無沙汰してしまっていて恐縮だが、今年は「50年目のバレンタイン」と銘打ち、新聞に全段広告を出されるなど、ますますお元気のようだ。
http://www.mary.co.jp/
「所長にもチョコあげますからねー」
な、なんだかホッとするような、うれしいような。
やっぱ、チョコレートって人間関係を豊かにするよねー、うん。
「最近、ちょっとした親切を勘違いする男の人っているんですよねー。ストーカーになったりしちゃったら恐いよねーって友だちと話しているんですよ」
ん?
「所長と私って、歳が20も離れているんですよねー」
おい、バリアーかい!
今日も精進の日々である。
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