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一体ここはどこだろう。死を求めて、女は歩く。
 ここは一体どこなんだ。生を求めて、男は歩く。
 暗い暗い夜の闇、行く当ても分からず二人は歩く。通り過ぎる者はなく、通り過ぎる物は沈黙を守り続ける。誰も、何も、二人に気づきはしない。
 死ぬって一体なんだろう? 女は自問し自答する。死ぬということは生きていないということ。生きていないということは何もしないということ。何もしなくていい、何もできないということ。なんて素晴らしいんだろう自答して女はますます死に憧れる。周囲に求められるままに全てをこなし、できないことは何もなかった。自分のことより他人を優先し何でもした。もう疲れた。休みたかった。何でもできるから色々頼られる、だから何もできないってことが素晴らしいと思った。
 生きるって一体なんだろう? 男は悩み苦悩する。生きているということは決して生命活動が行われていることと等号ではない。目的がなければ生きていても意味はないのではないだろうか。何も感じない、何も考えないのは死んでいるのとどう違うというのだろうか。分からない。解らない。人は生きると言うことが、生きているということがとても素晴らしいという。だからそう思っていない自分は生きていないのだろう。素晴らしいって何だろう? 素晴らしいって何だろう? 男は初めて望みができた。生きるって気分を味わいたい、と。
 女は歩く。男も歩く。目的は違えど、同じ月夜の下同じ大地を歩いていく。そして、
「・・・。」
「・・・・・・。」
 二人は出会ってしまった。直感で理解した。この人は、こいつは、自分にないものを持っていると。
 死にたいよ。
 生きたいです。
 もはや挨拶すら必要なかった。二人はそっと手を伸ばした。今までどんなに手を伸ばしても、どんなに望んでも手に入らなかったものを持つものが目の前にいる。ただ感じる。故に言葉はいらない。伸ばした手は少しずつ距離を埋めていき、そして、、、ついに互いの希望に辿り着いた。ただ手だけが触れ合い、そのまま二人は動かない。何をするわけでもなくただ掌の温もりに集中する。


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