即興実験学校

即興実験学校の情報ブログです。

高尾隆の即興哲学

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即興実験学校・主宰カタワレ高尾隆(どみんご)の即興哲学です。
2001年〜2006年まで、即興実験学校のメールマガジンにて連載していました。
こちらの掲載は、第31回〜第40回の分が抜けております。申し訳ありません。

全100回をまとめて読みたい方は、こちらのpdfファイルをご覧ください。
http://improlabo.org/file/domi-improv-phlsphy100.pdf
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自分のインプロのグループを持つこと。海外でインプロを学ぶこと。投稿した論文が審査に通ること。すごい人と一緒に仕事をすること。大学でインプロを教えること。博士になること。大学の教員になること。本を書いて出版すること。インプロを教えにいろいろな土地に行くこと。英語でコミュニケーションすること。インプロの公演をすること。芸術に関わる仕事で食べていくこと。などなど。

これらは私が20代の時に持っていた夢です。そしてその夢の大半は叶いました。まだ残っている夢の多くも叶う目処がついてきました。そんなふうに人生を送れる人はほとんどいないと思います。夢を実現させてくれたのは多くの人達との出会いでした。本当に本当に感謝しています。

先日、ソートン・ワイルダー作の演劇『わが街』の国立市バージョンを観ました。『わが街』のラスト、亡くなった主人公は、生きていた頃の自分を見るためにあの世からこの世に少しの間だけ戻ることを許されます。特に何もなかった一日を見て、そして気付きます。何でもない一日が、いかに懐かしく、いかに輝いて見えるかということを。私もそう思って何てことのない一日を振り返ると、まだ生きているにもかかわらず、すごく懐かしく輝いて見えます。腰の痛さも、松屋の牛丼の味も、授業のプリントを取りに来た学生とのやりとりも、キャンパス内の銀杏の絨毯も、夜大学に残ってやっている論文書きも。なんと幸せなことかと思います。

多くの夢が叶った今、人生において一区切りの時です。これからどうしていこうかなと考えます。まだまだ欲求も夢もあります。でも、これからの欲求や夢はたとえ叶わなくても不幸ではないと思います。ただ毎日やりたいことがあって、やらなければいけないこともあって、ご飯を食べて、人と会って、本を読んで、何か書いて、夜はお酒を飲んで、少し考えて、ストレッチして、寝て。そうやって生きている今、それこそが夢なんじゃないか。そんなことを思います。

あらためて言うのも何ですが、みなさんどうもありがとう。今まで生きてきてあまりに多くのものをもらってきたので、これからは少しずつでもお返しできるように、でもがんばらないで生きていきます。これからもどうぞよろしくお願いします。

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今回の即興哲学が99回目です。この即興哲学、100回までで一度区切りを付けたいなと思っています。そして残り2回、私が今抱いている夢を書いてみたいと思います。今回は即興実験学校編。私が今、個人的に即興実験学校に対して持っている夢を書いてみます。

即興実験学校は7年目になりました。その時、その時、ただ進んできたので、振り返ってみてその長い時間にびっくりしました。その間、教えることの経験、さまざまなインプロの試行錯誤、いろいろな場所への出張と出会い、海外からの講師の招聘、一緒に学ぶ仲間づくりと多くのことが実現しました。

そしてこれからかなえたい夢の大きなものは、自分達のインプロを公演という形でお客さんの前で試していくということです。近いうちに定期的な公演を始める。そして将来的には、小さい劇場でいいから自分達の劇場を持つ。そこでワークショップをしたり、さまざまな公演を試みる。何もなくてもそこを居場所にして過ごしたり。さまざまな人達が出入りをして、そこでさまざまな人達と出会う。そして金銭的にもうまく回る!そんなふうな未来になったら本当に理想的だなぁと思います。

ただ、とにもかくにも、無理しないで楽しみながら続けていけることが一番の夢です。ひろみと最初に相談して決めた「がんばらないで続けることを第一にする」という方針。これは本当に正解だったと思います。頂上に到達するための山登りというよりは、山道にあるいろいろなものを見つけ楽しむ山登りができればうれしいなと思います。

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今回はいきなり大きなテーマから入ります。インプロに正しいインプロと間違ったインプロはあるのでしょうか?もしあるとするならば、それはどのようにして決まるのでしょうか?

カリフォルニアでのキースのワークショップでの、夕食時のことです。私が日本の舞台では上手と下手があってそれがステータスを表すことがあるという話をしました。ある人がイギリスにもそういうのがあるらしいと言い、それならキースに聞いてみようとなりました。するとキースはこう言いました。「確かにイギリスの伝統的な舞台理論にそういうものがある。そこで、自分でやってみたけど、自分はそうは思わなかった。だからその理論は現代では意味がないと思う。」そして続けてこう言いました。

「大学には2種類の人間がいる。知識を守ろうとする多くの教授達と、知識を壊そうとする少数の教授達だ。前者は宗教であり、後者は科学である。たとえこれが正しいと伝統的に言われていたとしても、もしうまくいかないのなら何かを変えるべきなのだ。」また、キースは「自分が提案したことが嫌だったら言ってほしい。すぐに別の提案をするから。」とも言います。

大御所のキースがいいと言うから正しいインプロなのではない。そこにいる人達がいいと思え、いい時間を過ごせるから正しいインプロなのである、ということなんだと思います。そしてキースのすごさは、場を共にする人達に合わせて自分のインプロを壊し、作り替えながら、50年近く「正しいインプロ」を生み出し続けていることなんだと思います。

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第97回 misbehavior

先月、今月とLoose MooseのShawn Kinley氏が来日しました。即興実験学校でのワークショップもすばらしいものでした!

今回、私がShawnから学んだ中でもっとも大きかったものはmisbehaviorです。これは、mischiefともplayfulnessとも言い換えられる概念で、日本語だと、「茶目っ気」とか「いたずらっ子」とか「いらんことしい(方言)」となるかと思います。いたずら心と純真さを持って、何か仕掛けてやろうとワクワクしているような状態です。適度なmisbehaviorがある時には、舞台上にはオファーが溢れ活気が出てきます。一方、misbehaviorがなくなると、役者はいい子になってしまい、いいことをしようと考え過ぎて慎重になり、リスクを取って行動することができなくなってしまいます。舞台上がピンチになっていても、とりあえず何かしてやろうと舞台に出ることはなく、舞台袖でどうしようどうしようと見ているだけになってしまいます。私は自分のやっているインプロには、このmisbehaviorが欠けているなぁとずっと思っていました。

Shawnはmisbehaviorを多くします。彼は常に自由だし、迷い無くオファーをし、ピンチの時にも舞台に出て必ず仲間を救います。そこで彼にmisbehaviorについて教えてもらいました。そこでわかったことは、misbehaviorは個人の特性や行動のことではなく、関係に関わることだということでした。個人の力だけでmisbehaviorをしようとしても難しい。misbehaviorには何を仕掛けても大丈夫だし、やり過ぎた時には止めてくれるという仲間への信頼が必要だということです。信頼できる絶対的に強い存在がそばにある時に、人はよくならなきゃという足かせを外して、自由になることができるんだなと発見しました。

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第96回 囲碁

最近、囲碁をやっています。といっても、コンピューターが出す囲碁の問題を解いているだけなのですが。本因坊秀策という江戸時代の碁の名人を特集したテレビ番組を観て、興味を持ちました。

私は囲碁の中でも序盤が好きです。広い碁盤の要所要所に石を打ち、大きな戦略を決めていく段階です。布石という言い方を日常でもしますが、これから必要になるところ、ここに打っておくと後で展開しやすいだろうなというところを判断して打っていきます。頭の使い方がワークショップのファシリテートをする時と似ています。

インプロの基礎・発展・応用は、簡単・普通・難しいと捉えるよりも、囲碁や将棋で言う序盤・中盤・終盤と捉えた方が正確なのかなと思います。インプロの基礎でやっていることは、物語のつくり方やアイデアの生み出し方、インプロヴァイザーとしてのいい状態のつくり方の要所を押さえていくことなんだと思います。序盤・中盤・終盤は、違いがあるだけで、どれが簡単でどれが難しいということはありません。それと同様に、基礎は簡単なわけではなく、むしろ大局的に見ていかなければならない面白さと難しさがあるんだと思います。

そして私は囲碁で序盤が好きなのと同様に、即興実験学校でも基礎ばかりやっているのかなぁと、ふと考えました。

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