ここから本文です
某・軍事専門家曰く。
沖縄の那覇基地にあるF15戦闘機が、尖閣諸島上空の防空に当たっています。
 しかし、到達までに30分かかります。
 燃料の搭載量には限界があり、1時間強ほどしか防空任務に就けません。
 往復1時間かかるとなると、実際の戦闘時間は極めて短いわけです。
 戦闘時には燃料を最大限に使うので、5〜10分しかもちません。
 そこで、戦闘機を載せたいずもが、尖閣付近にまで近づくというわけです


少なくとも、大きな間違いが二つあります。

F15が尖閣上空で5〜10分しか滞空できないのは、明らかに間違いです。
F15の戦闘行動半径は1900kmに対して、那覇から尖閣諸島まで400km余りです。片道1450km分、往復2900km分の燃料が余るので、これだけでも軽く30分以上の戦闘飛行ができるはずです。
F35Bの戦闘行動半径は830km程なので、尖閣諸島の現地から飛び立ったF35Bよりも、那覇から尖閣諸島まで飛んだF15の方が燃料に余裕が残る計算です。

那覇からの400km余りの距離を問題にしているので、『いずも』を尖閣諸島の至近に寄せることを想定しているのでしょうが、戦闘機を載せた『いずも』を尖閣諸島に近付けるとは、あり得ない戦術です。

また、『いずも』からの離艦では、F35Bは弾薬と燃料を充分には搭載できません。
陸上からなら満載で発進できるので、航続時間と携行弾薬量のどちらで見ても、F35Bに分があるとは思えません。
F15Jにステルス性がないことを問題にするなら、F35Aで比較しましょう。
F35Aは、戦闘行動半径でF35Bより260km長いので、『いずも』を尖閣諸島から150km以内まで近付けないと、戦闘飛行時間の有意性が得られません。
更に、自重が重いF35Bは、武器搭載余力でもF35Aの6割程度の留まります。
『いずも』に搭載可能な戦闘機は、F35Bしか存在しません。しかし、『いずも』に戦闘機を搭載する理由は、見当たりません。

F35Bの開発目的は、F15やF35A等の代替ではなく、離島防衛や奪還の際の陸上戦を支援することだったはずです。その場合も、制空権と制海権が確保されていることが条件になります。
制海権を確保するためには、『いずも』のへり空母としての機能が有効であり、F35Bを搭載することは逆行にあたります。

『いずも』を尖閣諸島に近付けてF35Bを発進させる戦い方を想定するような人物が自衛隊を指揮するようなことがあれば、あるいは政府がそのような戦い方を強要することがあれば、日本は滅びの道を進むことになります。



別の専門家は、F35Bは『いずも』から満載で離艦できると主張しています。
別の情報では、F35Bは最大離陸重量でも70kt(130km/h)で離陸できるとしています。
F35Bの大きな翼面荷重を考えると、失速速度はフルフラップで120kt以上だろうと考えられます。
70ktで得られる揚力は9tに満たないはずで、リフト(18.5t)と合わせるとギリギリ最大離陸重量(27t)になります。しかし、これはノズルを真下に向けた場合で、この状態では推進力がないので、速度が落ちて揚力を失ってしまいます。
フラップの効果は大仰角の失速を防ぐことですが、F35Bのリフト・モードでは、大仰角はファンの推力が減速方向に働くので、仰角を大きく取れません。
70ktでの離陸は机上の空論のように思えます。

また、70ktに達するまでの滑走距離が168mとしていました。
この距離で70ktに加速するには、0.4Gの加速度が必要になります。
これは、ノズルを真後ろに向けて滑走を開始し離陸直前で真下に変えた場合と、推定されます。
艦上で行う場合、V1(離陸決心速度)を越えた後でノズルの転換を行うことになりそうで、ノズルの転換機能が故障していれば、確実に墜落することになります。
艦上で行う場合は、最初からノズルを斜め下に向けた状態でスタートすることになると思います。
その場合の加速度は、0.2G程度になるので、70ktに達するまで20秒弱、400m近い滑走距離が必要です。
『いずも』の最大速力は30ktです。
外洋でこの速力を出せる保証はありませんが、30ktで航行できるとして計算してみると、甲板上での滑走距離は110m程です。
75ktまで加速する場合は約135mになります。
F35Bが、自走して艦尾でUターンして滑走・離艦する場合、実質の滑走距離は150mが限度だろうと思います。
右舷側は、離艦を待つ機体(F35B)が並んでいるので、右舷に沿って滑走することになります。(なので、艦首のCIWSは邪魔にはならないはずです)

総合的に考えると、F35Bは満載で『いずも』から発進することは難しいように思います。



さて、問題は、メディアにもあるように思います。

某防衛専門家が、『いずも』の空母化についてブログに書いていました。
同じ人物が、某誌に書いていたのですが、内容がまるで逆方向なのです。
御本人の個人ブログの内容は、妥当な(私が同意すると言う意味ではない!)説明が書かれていましたから、某誌が解釈を変えて掲載した可能性があります。
このような記事は、取材相手に対して失礼であると共に、正しくを伝えられない、あるいは自社(または記者)の主観を押し付けることになり、大問題です。



『いずも』の空母化は、専守防衛の日本には無駄以外の何ものでもありません。
空母化を進めるなら、その目的は、以下の2点と考えるべきです。

・アメリカとの貿易摩擦の解消
・海外派兵のアイテム

対米貿易はともかく、海外派兵は完全に憲法違反です。
『いずも』の空母化は、その利用目的を考えると憲法違反に繋がります。
だからこそ、正確な報道が望まれるのです。
間違った内容は取捨選択されなければなりませんし、メディアは主観を捨て、正確な報道に心掛けなければなりません。
メディアの基本的な立場が右派であれ、左派であれ、主観を交えない報道ができないなら、戦時中の大本営発表と同レベルであることを自ら証明することになります。

今日は、終戦記念日。

報道に関わる人々は、真実のみを伝えることに誓いを新たにしてほしいものです。

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事