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「プルプルするダニですか?」
「そう、端のほう持って振るとさ、プルプルするやつ」
はっきりと内容は覚えていないが、確かそんな箸にも棒にも
引っかからない、会話をした記憶だけはある。
「何で作るのが一番いいかな?」と聞くY部長に
「シリコンかウレタンゴムしかないと思います。」と答えた。
ちなみに。
現在、同じような物を、と請われても
「シリコンかウレタンゴム」の2種類しかないのは同じである。
合成ゴムや塩ビはダメなのか?と思われるかもしれない。
答えから言えば×なのである。
合成ゴムや塩ビ、ポリプロピレンなど、比較的柔らかい素材は
「熱可塑性樹脂」という。原材料を熱で溶かしながら、
型に流し込む。100度以上の温度で流すのである。
これには高温に耐えられる物が型材でなければならない。
金属で出来た「金型」と呼ばれる型が必要になる。
これはプラモデルと同じ。
「インジェクションキット」と同じ方法だ。
造型会社ではこの金型を製作することが出来ない。
いや、外部の専門業者にお願いすれば可能ではあるが、
膨大な時間とお金に羽が生えて飛んでいく。
一週間から10日、長くても一ヶ月単位で回っていく
CM関係の仕事には利用出来ないという現実がある。
そこで金型を使用しないでも成形できる軟質素材、となると
「シリコンとウレタンゴム」になってくるのである。
これらは2つの液体を混ぜて型に流せば、
一定時間で硬化物となる。こういった金型を必要とせずに
扱う事ができる素材を「熱硬化性樹脂」と言う。
我々を含め、日本の造型会社、造型に関わる人達の大部分は、
この「熱硬化性樹脂」を使用していることになる。
最近はデジタル技術、光造型といった新しい分野が
広がっているが、軟質樹脂については、まだ全てに代替となる
素材は出てきてはいない。
実際は存在するのかもしれないが、コスト・時間などで
まだまだ手軽には利用できないと思われる。
「いやいや、いいのありますよ」と言う方がいらしたら、
ご一報を。
「どっちがいい?シリコンと、ウレタンと?」と、
さらに問うY部長に「大きさや厚みは分かりますか?」と聞く。
「厚みはね、10mmぐらい。10cm×15cmぐらいの 大きさで、ダニの形。
本物みたいにリアルにはしないで、 マンガっぽくしてほしいらしいよ」
頭の中で、想像を働かせ私は答えた。
「シリコンがいいと思います」 続く。
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