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ここで軟質樹脂の内部着色と塗装について述べたい。
軟質樹脂はこの場合ウレタンゴムを例として上げる。
内部着色とは、顔料・染料といった塗料を樹脂に混合し、
硬化後に任意の色を作る作業の事を指す。我々が使用する樹脂の
ほとんどが2液または3液混合のタイプだから、
そのうちの一つに塗料を混ぜ硬化させるという形になる。
通常は主剤に色を付ける。これにはいくつか理由があるが、
最大の理由は「硬化剤は湿気に弱い」事だ。
顔料などを硬化剤側に混ぜ、さらに主剤と混合すると
硬化するときの熱で発泡してしまうのである。
ところが例に挙げた軟質ウレタン樹脂―ウレタンゴム―だけは
硬化剤に混合する。主剤に塗料を混ぜると化学反応を起こし
硬化してしまう。ゲル化してしまうのである。
ところが、当時「ゴムに含まれる顔料の割合」に問題があった。
この頃、ウレタンゴムの内部着色は事実上不可能だったのである。
ゴムを100とすると混ぜる事が出来る顔料はその2%が
限界であった。これを超えると完全硬化せず、いつまでも
ベタベタして永久に固まらなかったのである。
ウレタンゴムに内着する事は、自らの首を絞めることと同じで
あった。現在はウレタンゴムの特性が変わった為、
相当量の塗料を混ぜても完全硬化してくれる。
その代わり着色は可能となる。「アクリル系」「エマルジョン系」と呼ばれる塗料なら可能だ。
塗装後、乾いてゴム状の塗膜になる 塗料ならウレタンゴムに定着してくれる。
シリコンはその逆になる。内部着色が可能で塗装が不可能だった。
内部着色にはシリコン顔料と呼ばれる専用の物を使う。
顔料を主剤に直接混ぜる事も可能ではあるが、2液性樹脂と違い
シリコンは粘性の高い素材である。
「シリコンシンナー」と呼ばれるシリコン専用の溶剤がある。
これに顔料を溶解し「シリコン着色液」を作りシリコンへ
混ぜていく方法を取るのである。
その「シリコンシンナー」は100%シリコンの溶液で
溶剤の類は含まれていないので揮発するような事はない。
しかし混合する量が多くなると「オイルブリード」という現象を
引き起こす。いずれ後述する。
シリコンは表面で定着する塗料がなかったため、
当時は塗装が全く不可能であった。先に述べたように
現在は解消されている。それについてもいずれ後述したい。
つまり、シリコンとウレタンゴムの成型に関する特徴は
相反関係にあるのだ。もし内着だけでいいのなら
シリコンでもいい。だが、塗装が必要になればウレタンゴムへ
変更しなくてはいけない。
だがウレタンゴムの場合もう一つネックとなる事がある。
対象物があまりにも大きいと、型材であるシリコン型の中で
うまく樹脂が流れなくなるという現象だ。
今回の「10cm×15cm、厚みが10mm」はその対象になってくる。
場合によってはどちらも使用不可という事になり得るのである。 続く。
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