注型室 別宅

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シリコンの話

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ここでシリコンの硬化機構について述べていきたい。
 
そのシリコンとは、あくまで「造型で使用される型取り剤として」
という事で話を進めていく。

本題に入る前に一つ余談を挟みたい。
「シリコン」と「シリコーン」の違いについて、である。

普段、我々は「シリコンで・・・」「シリコンだから・・・」
という言い方をする。

この「シリコン」、実は「型取り剤としてのシリコン」の
事ではない。「シリコン」と表記される限り、
それは単純に元素である「珪素(けいそ)」を指す。

その「シリコン」―アルファベット表記ではSilicon である。
石や砂はこの珪素の酸化物だ。
ちなみにこの珪素、酸素についで2番目に多い元素である。
 
この「シリコン Silicon」を原材料とし、
化合物として作られたものが「シリコーン」である。
アルファベット表記ではSilicone と変化する。

「シリコーン Silicone」が型取りに使用される
「シリコン」の事なのである。
高分子化合物といわれる化学化合物の仲間だ。
 
もし、手近にシリコンの缶があるならご覧頂くと分かる。
どのメーカーでも商品名は「○○シリコーン」と
なっているはずだ。「シリコン」ではないのである。
 
以上、余談。

そのシリコンには2つの種類がある。外観上では
中々区別できない。
硬化の仕方の違い―硬化機構という―で区別される。
この硬化機構によるシリコンの区別が非常に重要な意味を
持つのである。
 
「型取り用の半透明シリコン」とここまで述べてきたシリコン。
「KE−1310−ST」という名前(型番)の
シリコンである。信越化学の製品だ。
弊社が真空注型機を導入して以来、現在も使い続けている
シリコンである。

この型取り用シリコンを、「成形素材」に転用しようとしている。
そこに「硬化機構」が密接に関わってくるのである。 続く。

私は考えを巡らした。
「ない事はないですが・・・」 私は答えた。

「型を3つ起こします。その場合はシリコン型になります」
「一つの型から、一つだけ?」
「そう、一つだけ」 M君に答えた。

その方法とは次のようなやり方である。
まず、原型となるダニの原型をシリコン型を起こす。

その型でダニをウレタン樹脂で2個複製する。
その複製したダニを原型にしてもう一度型を起こす。
これでシリコン型が3つ出来る事になる。

この型に離型処理―流すシリコンと喰付かない様にするため―を
施し、シリコンを流し成型品を得る。これがその方法である。
 
一つの型から複製する事に「型取り、成型」の意味がある。
が、この方法は3つの型で3つの物を作る事になる。
当然、予算と時間の問題も絡んでくくる。
果たして、これで許可が下りるのか?

「それが一番確実な方法?」 Y部長は私に問う。
「と、思います」
「ならば、それでいこう」

「KE−12で型を起こす?」 そう言うM君に私は答えた。
「いや、KE−1310−STだね。付加反応があるから」 続く

私はその不安を2人に伝えた。

「あまりにも繊細なディテールは型に欠損が生じやすくなります。
型取り用のシリコンを使うわけですから、ゴムといっても
それなりの強度や硬度になります。脱型作業(型から成型品を取り出す事)が難しくなります」

「無理やり引き抜く事になるから?」 
「そうです。型に損傷を与えるかもしれませんし、
場合によっては、シリコン側に影響が出るかもしれません」

Y部長の問いに私は答えた。

「軟質素材ですから、脱型した時点で見つかる『欠けや気泡』の
 修正が出来ません。型から出した物がそのまま完成となります」
 
ゴム素材は硬質の素材―プラスチックのように―パテ材などを
使っての修正、加工は事実上出来ない。出来上がった物が
そのまま完成品となる。
 
とはいえ、「ある程度作りこむ―マンガっぽさを失わず」という
条件は、我々に課された条件である。それはクリアしなくては
ならない。

もちろん、技術上―時間、コストなども含め―発生する問題や
不可能な事はクライアントに提示する必要はある。
が、全て「不可能・出来ない」と言い続けるわけにもいかない。
 
「でも、形状的な事は多分変えられないよ、そんな難しい事は
 要求されてないからね・・・」
「そうですね・・・」

「でも他に方法ない?」Y部長は言った。
「他の方法ですか・・・・?」 続く。

Y部長と原型製作のM君との打ち合わせの場。

「体の節や関節を深くする形で作る必要がある」Y部長は言う。
「かなり、ディテール付きます?」 M君は聞く。
「作りこむ必要はあるね」  

(あまり深くなるとまずいな・・・) 私は思った。
 
板の上にダニが置かれているとする。板の縁に沿って枠を作る。
そこへ石膏を流す。出来た石膏型にシリコンを流し、
硬化後に取り出し完成。それが私の頭の中にあった作業手順だ。
 
ここで石膏型について述べたい。

ご存知の方も多いと思うが、石膏は最初粉状である。
水を加えた石膏を作りたい物へ―つまり原型にかけていく。

硬化すれば基本的にこれで型が出来るが、石膏のみで作る事は
意外と少ない。石膏は確かに硬い材料ではあるが衝撃に弱い。
高いところから誤って床に落としてしまえば、場合によってはバラバラになってしまう。

そこでスタッフ、サイザルと呼ばれる繊維状の麻材で補強する。
これで欠けにくくなり、また落としてバラバラになるような事は
避けられるのである。
 
まず、原型に石膏のみを薄くかける。
全体が見えなくなる程度である。この状態で15〜20分待つ。
表面が半乾きになったところでさらに石膏を溶く。

その石膏に麻材を浸しそれをのせていく。
これを数回繰り返す。これで硬化させると丈夫な型が出来る。
多少欠けたりしても麻材が入っているため、
バラバラにはなりにくい。
 
だが、あまり原型に起伏が激しい部分が出ると
麻材が効きにくくなる。原型と型は凸と凹の関係だ。
原型で出っ張る部分は、型では引っ込む形になる。
逆に引っ込んでいる部分は型では出っ張ってくることになる。

もしダニの原型で深く掘り込まれるような部分が出てくれば、
型の方で出っ張る部分が多くなる。

原型と接する部分、つまり最初にかける石膏には、
麻材の補強がかからない。一層目に麻材を混ぜてしまうと、
正確に原型のディテールを再現できなくなるからだ。
つまり凹凸の差が大きいと欠け易くなるのである。
 
これに流し込むシリコンの硬度が関わる。
シリコンという素材はゴム材としては低硬度の部類に入る。
しかし、この時使用を考えていたシリコン―実際に使用した―は、型取り用であった。

型取り用である以上グニャグニャになる様では困る。
一定の硬度は必要になる。(そういうシリコンもあるが、それはひとまず置いておく)

このシリコンはゴム材としては比較的低硬度ではあるが、
型取り材としては高硬度という素材なのだ。

原型の凹凸が激しいと麻材の補強が効かなくなる事。
使用するシリコンが高硬度である事。

「石膏型が複数回の使用に耐えられないのでないか?」
これらの理由から私はそう考えた。 続く。

「乳白色・・・ですか?」
「そう、透明感のある乳白。塗装はいらない」Y部長は答えた。
 
「裏面はフラットで、表だけを作る形だ」という。
これは図鑑などに見られるような、ダニを真上から見たときの
状態で作り、その裏側、つまりお腹側は作らず真っ平ら。
つまりブローチのように作るということだ。
 
「数は? 一つあればいいのですか?」
「3つ必要らしい。どちらを使う?シリコンかウレタンゴムか」

「型取り用の半透明のシリコンがあります。
その条件であればシリコンで対応したいと思います」

私はそう答えた。

「専用トナー(顔料)の白を若干混ぜれば乳白色に出来ます。
強度的にも撮影に十分耐えられるはずです。ただし、問題が一つ。
成形の型剤に何を使うか、ということについてです」

シリコンで成型品を作る場合に重要な項目として、
「型材に何を使用するか」ということがある。
これには、原型の形状やディテールが密接に関わってくるからだ。

「ダニはどんな形になりそうですか?」
「マンガっぽいけれど、それなりに作りこむ必要はありそうだ。
原型はM君に担当してもらう予定でいるから、一度打ち合わせを
する必要があるね」
 
条件は決まった。

Y部長、原型担当のM君と打ち合わせをする事になるが、
最初の段階で、完成状態から逆算し手順を考えなくてはならない。
今回は軟質材料への置き換えである。

慎重にならざるを得ない理由があるのだ。 続く。

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