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年末年始。
会社は休みになる。年明けにすぐに納品
という事が無い限り、会社に人はやってこない。
テトという猫は会社で飼われていた。
会社が住み家になっていたという事である。
会社に誰もやってこない、という状況は
会社が住み家のテトにとって死活問題であった。
約1週間、食事にありつけないのである。
では、どうやってその危機を乗り切るのか?
実は養父であった私が差し上げていた。
年始に一度、様子を見に行っていたのである。
仕事納めの夜。
いつもの3〜4倍の量を餌入れに出しておく。
「た〜〜〜んとお食べ」
という意味ではない。これで年明けまで
持たせていただくのである。
ところが。
餌は2日ぐらいで消えてしまっていたらしい。
猫に計画性という概念は無いらしい。
年明け、1月2日ぐらいに会社に
様子を見に行く事が、当時の私の恒例行事となっていた。
今はもう無い大きな鉄扉を開けると、
テトが飛び出してくる。
これも恒例行事であった。
その目は血走っていた。殺気立っているのだ。
「ニャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
という声は怪獣に近い。
2階に上がり、空の餌入れを洗う。
その間、テトは私の足の周りをグルグル回っている。
缶詰を1缶丸まる入れて出す。
約5分で全部食べてしまうのも、
これまた恒例行事であった。
この時に普段あまり食べたがらない餌を出す。
きれいに平らげてくれるので在庫処分も兼ねていたりした。
テトが餌を食べている間、私は会社に配達された
年賀状を仕分けする。
食べ終わると、テトは大抵そのまま爆睡してしまった。
私は餌入れを洗い、水入れの水を取り替える。
そのまま帰るのも空しいので、
休み時間に作っている趣味の模型などを作ったりする。
テトは延々と、ひたすら眠り続けている。
夕方、仕事始めまでの日数を考え、
再度、餌入れを山盛りにしてから帰宅するのである。
私が帰ろうとした時に、
その山盛りの餌をテトが見にきた事がある。
「・・・」
テトは餌入れを見て私の方をみた。
「ちゃんと計画的に食べるんだぞ」
頭をなでながらテトにそう言った。
するとテトは餌入れのそばまで行くと
いきなり砂を掛けるまねをして、そのまま外に出てしまった。
嫌いなマグロの山盛りはお気に召さなかったらしい。
が、仕事始めの日には全くなくなっていた。
計画的に食べたのか、それは今も分からない。
ま、そんな事はございませんな。
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