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HAROGEINE NO12

(HAROGEINE NO12)
ベッドの下に小さな子供が寝転がっただけなのに、尋常ではない大きな声でジーナは叫んだ。何故ランディがこんな狭いベットの下に潜っていったのかは解らない、ベットの下は約10センチという狭さで、大人ではとても入る事が出来ない幅である。各方面には長く白いシーツが垂れ下がりフローリングの床にまで下りている。ジーナは逆さまになりながらもそのシーツをかき揚げ、必死になってベットの下に手を伸ばしランディを捕まえようとしていたが、俺は彼女自身にも落ち着きを取り戻して欲しく、ジーナの腹を抱え上げ一旦ベットの上に彼女の体を起こし上げた。
すると・・・一瞬時間が止まったかと思った瞬間に・・・
確かに聞こえたんだ!
コオロギが鳴く音を・・・
そして、俺に抱えられているジーナは呟く様に言った。
「ルカ・・・エイティーン・・・」(ルカによる福音書十八章)と・・・。
その瞬間にベッドの下からは赤い光りが広がり、部屋中を包んだかと思うと、二人を乗せた大きなダブルベッドが宙に浮き出した。
俺達の顔は血が引き、体が言う事を聞かず、そのままの態勢で赤く染まった部屋を見つめ
「ジーナこれはなんなんだ?今度は何が起きるんだ!」
と質問を投げ交わした。
しかし、彼女からの大事な解答を聞く前に部屋の扉が開いた。俺達の部屋の様子を半年間も観察してきたFBIのメンバー達が勝手に扉を蹴り壊し、部屋の中に勢い良く入り込んで来たのだ。全てのメンバーが防弾着を身につけ、袖からは筋肉で固められた太い腕を覗かせ、その鍛えられた腕と胸の間には散弾銃がしっかりと固定されている。誰を目の前にしても即座に撃ち込める態勢にある。前の事件がこの緊張感を演出してくれているのだろうか、拳銃なんて小さな物を持っている人間は一人もいなかった。しかし、部屋の中に入って来た瞬間にこの様な重装備にも関わらず、5〜6人のメンバーがベッドの下に吸い込まれ、何処に行ったのかわからない。もちろんランディの姿は見る影もない。一番始めに吸い込まれた事は間違いがないだろう。部屋の中に設置された小型モニターにより吸い込まれたメンバーの姿を確認したFBIの連中は不用意に部屋の中に入る指示が出来なくなり、それ以外の人間は部屋の外で散弾銃を構えながら中に入るタイミングを伺っている。
お隣りのペルッツェ一家の寝室にも散弾銃の他に壁を破る為の砲弾を抱えた20人ばかりの人間が一気に侵入していった。彼等は寝室に入ってくるや否やコールとジーナが居る寝室の方角の壁に耳を当て、無線から伝わる部屋の中の様子の他に、肌で感じ取れる部屋の中の様子を嗅に分けていた。彼等にとってペルッツェ一家の事など眼中にはなく、ベットの上でおじさんとおばさんが顔合わせて何も言えなくなっている。
俺は不思議な体験を何度もして来た性か、直ぐにその状況を冷静に見つめる事が出来るようになっていた。まず
「おい!ジーナ!どういう事なのか説明してくれないか?
また・・・何が始まるって言うんだ。
黙っていれば何も解決していかないんだぞ!
ランディは何処にいったんだ?それだけでもいいからしっかりとした解答をしろ!いいか・・・・お前の会話の中にはいつも謎が潜んでいる”アルファ””ゾロアスター””ガリレオ””俺達の子供”お前が知っている不思議な現象に対して黙って聞き逃す事は、もう、出来ない。現実に起きている事に対して解らない事が多すぎる。こんなに幸せな一日を創る事が出来るのに、何で隠し事を増やそうとするんだ。」
両肩をしっかり掴みジーナの目を見つめながら、俺はジーナに怒鳴り散らした。
ジーナは始めて見せる俺の姿に驚いたのか、一呼吸置いてから至って落ち着いた雰囲気の中で返答をしてきた。

HAROGEINE NO11

(HAROGEINE NO11)

その夜の事だった。
子供特有の運を実感させられながらも俺達はボードゲームを楽しみ、
ランディと俺は一緒に風呂で体を流し合い、
三人で一緒にベッドに入り、
普通の家族の様にほのぼのとした時間が過ぎていく一日を過ごしていた。
ベッドの上では新しい環境に興奮して眠れないランディがいる。
そんなランディを思いやり、母親の様に接しているジーナがいる。
その光景は土色とは言えない俺の心の土壌に、小さな四つ葉のクローバーをひよっこりと咲かせる様な些細な喜びを感じさせてくれた。例え小さくとも、いつの間にかその喜びが胸の奥底でジワジワと平安をもたらしてくれることがある、満たされる思いとはこう言った喜びの事を言うのであろう、俺の胸の奥底が自然と安らいだ事を明確に覚えている。
そんな幸せを感じる一場面の中でジーナは「シンデレラ」の話を始めだした。すると、ランディは「僕はママが話してくれるシンデレラのお話が大好きなんだ!」といって、可愛いらしい丸い目を輝かせ彼女の世界に包まれて行った。10分もしない内にランディの眼差しが徐々に重くなっていくのを感じてきた。そのまま素直に眠れば良いのにも関わらず、話を聞きたいと言う純粋な好奇心と眠りの世界から聞こえる羊達の鳴き声に誘われて瞼が開いたり閉じたりしている。襲ってくる眠気に対して必死に打ち勝とうとするランディの姿に可愛らしさを感じ取ったのか、ジーナは笑いながらシンデレラの話を進めていた。”世界の中で一番安全な声を見つけ、その声に包まれていく感覚”なのだろうか?ランディはありとあらゆる面からジーナを受け入れる態勢だ。この気持ちは人間が成長する過程で、心の中に豊かな土壌を敷いて行くのかコンクリートの様な土台を造って行くのか人生の分かれ道となるのだろう。俺は2〜3分前に小さなクローバーが生えたばかりだ。人間としての優しい芽が生える年齢というのは個人差がある事は間違いない。しかし、俺とジーナはこの子の心の中に寂しい土台を造って欲しくはないという親の様な気持ちを目と目だけで確認し伝え合っていた。そうして、ランディは安らかで可愛いらしい寝顔を俺達に提供してくれた。
今、この部屋に聞こえる音はジーナの囁きの他に目覚まし時計から流れてくる秒針の音だけだ。いつもは窓を射す風の音も今日はない。青白い月灯りが部屋の床に流れ込み、天使が降り立つ前の道を造っている様だ。
とても・・・とても・・・静かな空気がこの部屋には流れている。
ベットの横にあるランプからはオレンジ色の明かりが優しく照らされ、彼女の髪の毛を美しく輝かせている。
ジーナはこの子を眠りの世界に誘ったにも関わらず話を途中では辞めずに、ランディが眠ってからも尚「シンデレラ」の話を続けていた。俺もその声を聞きながら自然と夢の世界に入り込んでしまった。元気いっぱいに走り回り、笑顔に満ち溢れている子供に連れ回される事はかなりの疲れを感じる。俺は自らの意思とは全く関係のない、勝手に流れていく”ただ合わせ、身を任せていくのみ”という立場に置かれていた”今日”という日が、「幸せを感じる事の出来る一日なんだな」と改めて感じていた。そんな幸せな一日が過ぎ去り、静かな暗闇の中でゆっくりと休んでいる三人だが、ランディが夜中に起きて、トイレに行こうとした時には「最悪」という名の鐘が鳴り響いていたんだ。
そう、部屋に広がる秒針の音はそれまでの時を俺達に伝えてくれていたのかもしれない。
この子が起きた時、ランディは寝ぼけてながら俺の事を踏み、ベットを降りてトイレに向かったので、俺は起き
「ランディ・・・トイレか?・・・大丈夫一人でいけるか・・・?」
と半分寝ながら問い掛けると、ランディは何の返事もなくトイレへと向って行った。
すぐに部屋を出た所の壁にある廊下のスイッチを押す音が聞こえてきた。そうして、トイレの電気を点ける音・・・。用を足すと水が流れる音と共に、ヒタヒタというフローリングの床を鳴らす小さな足音が戻って来たので、俺は起きる事なく目を閉じたまま二度目の眠りを試みようとしていた所だった。
しかし、戻って来た足音がベッドの上に上がってこない。おかしいと思いながらも夢の世界に入り込もうとしたその時だった。ジーナが突然起き上がり、ベッドの下に首を下ろすと
「ランディ!今直ぐそこから出なさい!このベッドは同じ扉じゃないのよ!今!直ぐにそこから出なさい!」
たかがベッドの下に寝転がっただけなのに、尋常ではない大きな声でジーナが叫んだ。

HAROGEINE NO10

(HAROGEINE NO10)

俺はジャックの車が消えていく事を確認して、部屋の方に戻って行った。ランディが後2〜3日居るということで父親が捕まった事とは別に喜んでいる俺がいた。急いで部屋に戻ると二人がキョトンとした顔で玄関に並んでいた。不思議に思った俺は
「どうした?何かあったのか?」
と尋ねたら
「パン屋のおじさんの声がしかんだ」
といわれても、ここにはジャックしか来ていない
「何処に行っていたの?」
と聞かれても
「ちょっと・・・コンビニまで」
と嘘を付き
「あっそういえば、お父さんから連絡があって、仕事で戻れない用事が出来たから2〜3日ランディを置かせてくれないかって電話があったんだ」
ランディが不安気な顔で聞いて来た。
「何て答えたの?」
俺はランディの顔をマジマジ見つめながら、少しばかりの間を置いて答えた。
「もちろん!」
と、ランディは今までも父親の都合によって家で一人になったことがあるのか。凄く喜んでいたが・・・
「あとで、しっかり話てね!」」
ジーナには嘘がバレバレだ・・・。
部屋に入っていくとテーブルには、カレーライスが三つ並んでいた。俺が食べた事を伝え様としたときにはタイミングを逃し、ジーナが先手を切って来た。
「ねぇランディ!ご飯はみんなで食べないと!イケナイ子になっちゃうわよ!」
「大丈夫だよ!僕はしないよ!そんな事は絶対に!」
俺はどうする事も出来なくなり、二皿目に突入することになったが・・・半年ぶりの事件の展開に父親の安否を気遣い、犯人でない事を祈る気持ちで一杯であった。
もちろん、この事はジーナに伝えランディが家族の一員として迎えられたのは言うまでもない。

HAROGEINE NO9

(HAROGEINE NO9)

4時頃には家に着き、ジーナは早速買い物袋を開き、卵に牛乳それとハチミツを掻き混ぜフレンチ=トーストを作り始めた。俺はジャガイモの皮を剥いている。
ちなみに今日の夕飯はカレーライスになっているので、カレーライスが出来るまでの間、お腹の空いたランディにはフレンチ=トーストで待ってもらうつもりだ。
そういえば、この夕飯のメニュー選択では少しあった。ランディが好き嫌いなく食べられる様にカレーライスを選択したが、実際ランディに聞いてみると、どうやらカレーライスは嫌いらしい。俺達は材料を買う前に好き嫌いを聞いておくべきだった。しかも、もし食べるとしたら辛口のカレーライスの方が食べやすいとの事である。あまり子供を意識した料理は作る必要がないらしい。多分、父親と二人きりの生活を送っていくうちに、男が作る料理の味を覚えていったのだろう。そのようなランディの日々の生活条件を考えていくと、確か普段食卓に並ぶ料理の割合として、切って入れて煮込むだけのカレーの割合が多くなるのは当然の事である。そんな中ランディはソファの上で逆さまになりながらも、嬉しそうにフレンチ=トーストが出来るのを待っていた。
カレーを煮込み始めて20分が経過した所で病院から一本の電話があった。
「アドルフ=ダルファに君達の住所を教えたので、19時にはランディを迎えに行くと思う」
この時点でランディは既に眠ってしまっていた。ソファの上に可愛い寝顔を置き、すぐ隣りからジーナに見つめられている。女性というのは子供の寝顔に対して最高の幸せを感じる生き物らしく、彼女の顔も幸せの笑みに包まれていた。
結局、二人とも寝てしまい、俺は一人でカレーライスを食べていたが、大好きな「シンプソンズ」のアニメを見ながら食事をしていたので、俺も笑みに包まれながら美味しい夕飯で腹を満たす事が出来た。
食事を終えて20分が経過したころだろうか、二人が眠るソファの横に腰を下ろし、何も考えずに目を閉じながらゆっくりくつろいでいると部屋のチャイムが鳴った。
俺は二人を起こさない様にソファからそっと腰を上げて、玄関へと素早く向かうと、そこに立っていたのは・・・なんとジャックだった。彼は軽く頭を下げ俺に会釈をすると、
「少し話があるから、下まで付き合え!」
と、小さな声で誘って来たので、俺は釣られるように部屋を出て、ジャックと二人でアパートの入り口まで降りて行った。
すると、何の余興もなしにジャックが俺に話しかけて来た。
「つい先程、お前のアパートの前でアドルフ=ダルファを殺人の容疑で逮捕した。あるから、家をしらべても他の人間の指紋が見つからず、あの不思議な事件との関連性を見出だす事が出来なかった。しかし、今日の朝方ストロベリー=フィールズの中に血の付いた斧が置かれてあり、そこを通り掛かった者から通報があった!調べて診ると”殺された母親の血”とその血から採取された指紋の跡は”父親の指紋”だった。早速、置かれてあった斧について事情聴取を始めるつもりだが、まだ犯人として確定したわけでらはない!彼の子供には内緒にしてもらいたい。そして、2〜3日彼の子供を預かって欲しいのだが・・・了承してもらえるか?」
俺は即答した。
「ランディならいつまで居たって構わないが、父親の状況だけは教えて欲しい」
「助かる」
と言い残して、目の前に留めてあったジャックの車に乗り込むと足速にその場を去っていった。

HAROGEINE NO8

(HAROGEINE NO8)

ランディの答えは子供特有の興味本意が誘った事により、俺の質問に対する返事としては全く異なった返答が帰ってきたが、その突飛押しもない返事は俺の心にある”秘密”というキーワードを突いて来た。

「アルファって!ベットの下からやってくるんだよ!僕のベットの下には秘密の扉が付いているんだ!でもね・・・これはパパに内緒だよ!だって、アルファのお迎えを待つために、僕がベットの下で寝ているとお父さんがいつも怒るんだ!
”しっかりとベットの上で寝なさい!”って、
僕がベットの下に潜る理由について、お父さんは大切な宝物を守るために隠れると思っているけれども、違うんだ!アルファが迎えに来てくれるのが嬉しくて、ベットの下にいるんだ!このことは絶対にパパには内緒だよ」
ランディはこの秘密をバラシされたら、”アルファが会ってくれなくなる”と言った目付きで見つめて来るので、俺はしっかりと子供の心の中をフォローし、そのまま質問を続けた。
「ああ、約束するよ。俺を信じてくれ。君のお父さんには内緒にしておくよ。しかし、”秘密の扉”ねぇ・・・。その扉の向こうには”お母さん”が待っていてくれるのかな?」
もちろん、違う現場で母親の首が見つかった事を彼はしらない。なぜなら、事件の時にモニター画面を見ていた人間の他は知らないトップシークレット事項となっているからだ。
「うん!ママがいつも待っていてくれるんだ!」
俺は母親の首を思い出していた。

「ママもいて、美味しいフレンチ=トーストも食べられる訳だな!いいなぁ!ランディはとっても楽しい世界にいけて!」
褒められたランディは自慢気たっぷりの気持ちを自由に表現できなくて、照れている反応の方が大きく現れていたが、とっても可愛いらしかった。
ジーナは可愛いランディを見ていたが、微笑みながら感情からもれた言葉が口にでた。
「私も行ってみたいわ・・・。”美味しい世界”に・・・」
いつもだったら”聞き流す”俺だが、今回は待っていたかのようにジーナの言葉に質問を浴びせた。
「ジーナ・・・お前も行った事があるのか?その世界に・・・。」
彼女は素直に答えてくれた。
「あるわょ・・・でも、私はこの世界の方が好き。アルファも現実の世界の方が大好きなはずよ。私は行けなくなってしまったけれども、もう一度あのフレンチトーストを食べてみたいわ。」
「なんで、お前は行けなくなったんだ?」
「もうすぐにわかるわ、それが私なのだから・・・」
と答えると、彼女は再び夏の景色に視線を置き、その空間に身を預けていた。
俺達はランディと楽しい時間を過ごしてから、
「僕!フレンチ=トーストが食べたい!」
というランディの声と共にパンとハチミツと卵に牛乳、その他夕飯の食材を買って、家に帰る事にした

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