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The rolling Jack16

(The rolling Jack16)
何度確かめてもその光景が変わる事は無かった。
両手が大きく降られて膝が高く上げられている。まるでオリンピックの100メートル走選手を彷彿させられるような美しいフォームで走っている。
「BooShit!」
アクセスを踏み直し更なるスピードを求めたがそれ以上速くならない。
「GO!GO!GO!GO!GO!GO!」
ハンドルに鞭を打ち、急ぐ気持ちにとは別に一向に変わらない車のスピードに苛立っている。上半身は裸、下半身は汚いボロを纏い、よく見ると首がついていない。肌の色は薄いピンク色で皮を剥がされたような色をしている。ジャックは体の血が引いていくのを感じていた。あのクィーンズでの恐ろしい惨事が自分自身に降りかかろうとしている。どんな凶悪な犯人でさえもなかなか動じる事の無いジャックだが、抑えることの出来ない焦りを徐々に表情に映し出していた。やがて、その苛立ちはアクセルを踏む足にまで伝わり、子供に追い掛け回される蛙の様な気持ちを肌で実感していたのだった。
もう一度振り返ると既に謎の物体が車の後ろにいて、後部座席の窓には怪物の大きなふくらはぎが映し出されていた。首から滴る血と筋肉の動きが一つ一つはっきりと見て取れた。
こんなに天気の良い日に平走しているお友達が首なしの化け物とは、決して誰もが想像もしたくないハプニングだ。
しかし、更に速いスピードで俺達の間を一台のBMWが駆け向けて行った。化け物は大きなエサを見つけた魚の様に直ぐに進路を変更し、噛み付くようにそのBMWを追い始めた。突然進路を変更してきた”化け物”に対して真紅のBMWが更にスピード上げる!
2車線しかない一本道に化け物を待ち構えるように一気に急ブレーキをかけ、車のドアが開けられた瞬間に転がるように出てきたボロキレが両手の指先を広げると、黒いダークパワーを一気に放出し、それは稲妻の様に化け物の全身を覆った。ジャックも踏みつづけていたアクセルの足を一気にブレーキに変え、何とかエルラルドを傷付ける事無く無事に止める事が出来た。直ぐに彼も車から降りて胸にぶら下げていた拳銃を化け物に向けたが一発も撃つ事が出来ないまま、必死に権勢をしながらその場を見つけることしか出来なかった。
傍目から見ればその光景は
「悪を包み込む悪のパワー」
としか、感じる事が出来ないが、何も出来ないジャックでさえも相手の力の大小を感じさせるくらい明らかに大きな力が化け物を覆いその素早い動きを一瞬にして止めたのだ。

The rolling Jack15

(The rolling Jack15)
ジャックは直ぐにラスベガスを出た。まだ日が高いとはいえデスバレーまでは七時間はかかる140マイルの猛スピードだと言うのにも関わらず、日が暮れるか暮れないかという頃合の時刻に到着する事は予想できた。
ラスベガスを離れるにしたがって、ラジオの電波は悪くなっていき、道は真っ直ぐに延びるように続き、周りには小さいが這いつくばりながら生きる木々が所々に這いつくばっていた。遠くを見ると砂漠の向こうには雪をのせたロッキー山脈の山々が連なっている。砂漠と雪を一度に確認できるこの大自然の偉大さを感じ撮りながらジャックはアクセルを踏み続けた。人は自然の存在を肌で感じ取ると、全ての事がちっぽけな物に感じてしまう。ニューヨークの高層ビルもラスベガスのきらびやかなネオンも自由に走るエルラルドも愛用のマルボロも、そして、何よりも自分自身がとても小さなつまらない存在に感じてきて、つまらない悩みはもちろんコールとジーナの事もどうでも良く感じて来ている。しばらく、彼は暖かい風に髪を靡かせて、何も考えずにひたすらアクセルを踏み続けた。ジャックは途切れ途切れに聞こえるオールディズを止めるとコンビニエンスで買ったレナード=スキャナーズのカセットテープを取り出した。初めから”Sweet Home Arabama”が流れ出し、ジャックの奥深くに眠る世代の血を躍らせた。
そんなジャックだが、どんな時でも周りを見渡している彼はバックミラーに何か黒い影を確認した。
始めは後続車が続いているのかと思い、この何も無い世界に連れが出来た事を喜びに感じていたが、FBIの連れかもしれないと考えるとそんなに喜べるような話ではなかった。2〜3分してからもう一度バックミラーを見直すと、どうやら車ではないらしい、人の形にも見えた。
ジャックはガンガンに輝く太陽に台地が打たれ、俺に八つ当たりをし下らない幻覚を見せているのに違いない。などとくだらない事を考え笑みを零し、目の前に敷かれている道にもう一度視線を置いて大きなあくびを一つ掻き、何も考えずにひたすらアクセルを踏む事しか出来ない状況だった。しかし、、シートの座り心地が悪かったのか、腰に違和感を感じ取ったので、軽く腰を動かそうと試み一旦左に2〜3度ゆっくりと弾みを付け、軽く勢いをつけてから、その腰を往復させ右に曲げた時の事だった。ジャックの目が車の後ろを直に捕らえた。今度はバックミラーを使わずに目視だったので疑う物がなにもない、彼の目が確実に捕らえた物は蜃気楼ではなく物凄い勢いで追いかけてくる人だったからだ。
流石にジャックも自分自身の目を疑り、目を擦り、買って置いたアイスコーヒーをクーラーボックスから取り出し、大きく一口で飲んだが、通ってきたばかりの一本道を誰かが走ってくると言う事実は変わらず、140マイルで走っている車エルラルドまでの距離を確実に縮めていたのだった。ジャックは冷えたアイスコーヒーのペットボトルをこめかみに当て、暑さにやられた脳味噌を少しでも回復させようと冷たい部分を探しながら必死で頭を冷やし、思考回路の回復を図ろうとした。

The rolling Jack14

(The rolling Jack14)
「このラスベガスにはレンタカーのショップがいくつあるんだ?」
「雑魚も合わせて90はあるは・・・。」
「一般的に幅広く知られているレンタカーショップの名前を教えてくれないか?」
「そりゃ”エンタープライズ”に決っているわ!空港の看板から電話帳までアソコの名前でいっぱいよ!まぁ大型チェーンだし、何処にでもあるから貴方も知っているでしょ?乗りたい車などなしにどんな車でも良いお客様にはあのお店を勧めているわ。安いしメンテナンスもしっかりと行き届いているし、若いカップルや学生の旅行・会社の出張などにはアソコの店がピッタリよ!特にここは砂漠に囲まれている所よ、もしも、車が壊れてでもしたら大変だし私たちも下手な所は決して紹介しないわ。でも、このラスベガスで普通の車を貸すなんて・・・何のエンターテイメント性もないと思いませんか?そんなつまらないショップ私には耐えられないわ!!」
ポリスのジャックにしてはありがたい次第だ。質問した事に対してここまで素早く的を得た事を話してくれると、問題を解決するために次に何を調べればよいのか明確になってくる。
「ちなみに助手席にはクラーボックスが置いているから、近くのコンビニエンスで何かを買っていくといいわ。」
「ありがとう。それでは大事なエルラルドを借りていくよ。」
といい、ジャックは軽く笑顔を作ったかと思うと、いきなりアクセルを全開にしてマリリン=ヒップを出て行った。フレンチは凄いスピードで出ていくジャックに唖然としていたが、車が見えなくなると直ぐにお客の接待へと戻っていった。
ジャックは街を出る前に冷たい物を仕入れるためにコンビニエンスに寄り、サンドイッチ、スナック菓子、ミネラルウォーター、アイス珈琲、コーラ、カセットテープにマルボルを1カートンを買い込み車に戻ると、携帯電話を取り出し電話をかけ始めた。
「ジャックだ、久しぶりだな!ピーター!」
「・・・ジャック・・・まさか、お前から連絡があるとは思わなかったが、どんな要件で電話してきたんだ?」
「いや、単刀直入にいうがコール=トリクルとジーナ=アキィエの情報を共有したくて電話をかけたのだが迷惑だったか?」
「当たり前だ!いくらお前と古い付き合いだからいっても、こんな大きな事件の情報を個人的にお前とやり取り出きる訳がないだろう。そんな事はお前が一番知っているはずだ!マスメディアには公表していないが、この事件はリリー=ダルファという平凡な家庭の優しい妻が殺されたと言うだけの簡単な事件ではない。多くの警官、SWATが殺された!しかも・・・”化け物”にな!”未知の生物”にだぞ!もし、お前が知っている事があるのなら、そいつを丸ごと俺達に提供するんだ。まぁ、俺達はお前とコール=トリクルの出会いから何から何まで調べ尽くしたが、お前が今いるラスベガスで、これから何をしようとFBIの監視からの目は避けられないだろう。ジャック!」
「あぁ、そうかい・・・久々の電話だって言うのに、相変わらずむかつく野郎だ。とりあえず俺が握っていても確認の出来ない情報なので伝えておくが、一年前に彼等は”エンタープライズ”というレンタカーショップで車を借りた可能性がある。コールに確認してから、借りた車を何処で返したのか確認をする必要はあるだろう。つまり、俺達は彼等に何が起きたのかを調べる為西海岸で旅行した彼等のルートを調べる必要がある。俺はコールに何を話しても答えられない事がほとんどだと睨んでいるが・・・どうだ?なぜなら彼は意識も無く半年間も入院生活を送っていたんだからな。どう考えても鍵を握っているのがジーナ=アキィエということになって来るが、彼女は既にこの世にはいない。ならば、ルートを調べ何が起こったのかを調べる必要がある。コールが怪我をしたのもこの旅行でだ!ジーナが何故死を選んだのか・・・どうだ、ピーター・・・コールに質問するのはいいが、答えられない事の方が多いのではないか?これは経験上の話であるが彼は何かを隠すような人間でもないし、嘘をつくような人間でもない、結局本当に解決したいと言う気持ちがあればラスベガスに来るのは当然の話だが、お前はまだニューヨークにいるつもりなのか・・・?偉くなったのはいいが・・・捜査に必要な感覚的なものまで失ったんじゃないのか?」
ジャックは自分自身で電話をかけたにも関わらず、なんの挨拶もなしに勝手に携帯を切ると、その携帯を助手席に軽く投げ、再びアクセルを踏みラスベガスを後にした。
その時、コールはFBIのとある狭い一室で、ベッドに横になりながら目を閉じ全ての事を無理やり思い出すようにジーナとの日々を振り返っていた。しかし、ジーナが散弾銃に撃たれるシーンが繰り返され、良き思い出が一向に頭に思い浮かんでこない。コールはこんなやりきれない気持ちにいつまでも思い悩ませられていた。

The rolling Jack13

(The rolling Jack13)
「何故・・・俺が先に呼ばれたんだ・・・?」
「簡単な答えさ!俺達がみんなでフーバーダム行く事を店員も知っているから、一台でもメンテナンスに時間が懸かっていれば皆呼ばれない訳さ!」
一つ間を置いて答えた。
「俺はジャックだ。」
「俺はデレクだ!気をつけて楽しい旅行を!」
二人が熱い握手を交わすと、ジャックはゆっくりと出口の方向へ向かった。
「なるほどな・・・出口だけに・・・ケツの絵がかかれている訳だ。」
ドアの取っ手には振り向き様のマリリンが、そっと胸を置かせている。憧れの女性の胸に手を伸ばすような感覚に襲われるのか、彼は少し躊躇しながらその胸に手を伸ばした。すると
「悪い女にはひっかかるなよ!」
「”上に向かう”なんて、凄いじゃないか。」
「パンクしたらお前さんのその汚いケツを出してヒッチハイクしろ!」
「事故っちまえ!」
「上なんか辞めて、一緒にフーバーダムに行こうぜ!」
「気をつけてな!」
優しい言葉をかける人間などこの場にほとんどいないが、人間の温かさを感じ取ったジャックは仕事など忘れてフーバーダムに向かいたかった。しかし、その気持ちを押し殺してマリリンの胸を引き寄せそのドアをゆっくりと開けた。
一目ぼれしたばかりのエルラルドが目の目の前にあった。
運転席の中からはCRAZYなフレンチが出てきて
「ジャック様!こちらが貴方のキーです。気をつけて、安全な旅をお楽しみください。」
彼はキャデラック・エルラルドのキーを渡してくれた。早速、ジャックは車の運転席へと乗り込み、エルラルドのキーを差し込んだ。どうやら、窓は電動式変えられていた。その窓を開けるとマフラーからの爆音が流れ込み、その重低音のサウンドがパーツの隅々にまで響き渡り、ハンドルを通してジャックの体にまで伝わっていく。彼は快感の余り自然とマルボロを取り出しその先に火を点けた。その時、フレンチが顔を覗かせた。
「ちなみに・・・このエルラルドはチョットばかりエンジンに手を加えてますので、くれぐれもスピードには気をつけて!」
パトランプを点けた瞬間スピードなんて気にすることの無い彼にとってスピードの事を言われても考える頭を持っていない。案の定その会話には触れずにジャックが話を進めた。
「今回こんな素晴らしいレンタルショップを見つけることが出来て本当に嬉しいよ!そして、こんなにセンスの良い車をチョイスしてくれたお前さんには本当に感謝しているよ。ちなみに一つ聞きたい事があるんだが、このレンタカーには俺達と同じ年代の人間しか来ないのか?」
ジャックは軽い”褒め言葉”と素晴らしい車を貸してくれた事に対する”挨拶”をすると、調子の良いフレンチは案の定ジャックの話に乗りに乗って答えてきた。
「そうなのよ!でも、特に私達の方でこの年齢層をターゲットとした宣伝をしているわけではないのよ!だけど、私達のこの店はある程度お金にも困らず、しっかりとしたプランを組みながら休暇を過ごしに来る40〜50代のお客様に慕われております。私達としてはお客様のプランがしっかりしていると、返却日のズレが無くなる利点など、仕事をスムーズに行うにあたって非常に助かっています。それに、なんと言ってもこの年代の方々は乱暴に車を扱う様な事をしないので、メンテナンスに懸かる費用が回りのショップよりも格段に低く、それでいてお客様にはしっかりとした車を提供する事ができる。今の店の流れは非常に良い状態だと考えているわ!」
「と言う事は、この店にレンタカーを借りに来る若者はほとんどいないといっていいのだな。」
「そうなの・・・今の若者は金銭感覚がないので、欲しい車があったら借りるなんて事をしないで直ぐに買ってしまう子達が多いのよ。そうして、ほとんどの子達がやりくりに失敗をしてその車を手放してしまうの。我が社はその車を安く買い取り、お金の管理を確立させているいい年の人間に貸す。世の中上手く行っているとおもいませんか?」

The rolling Jack12

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(The rolling Jack12)
「お前さんも最高の女を借りたじゃないか!当時あの車をかっ飛ばし、クラス1の女性の前に乗り付けてパーティー会場にまで乗りつける夢を何度見たか解からない!俺はハマーあんたはエルラルド!今思えば車さへ買えなかったこの俺に付いてきてくれた今の上さんは最高の女かもしれないな!今はあんなだが昔のあいつを見た瞬間、空高く輝くこの満天の星が俺の心の中にあるポップコーンが弾け飛んで出来た物じゃないかと勘違いしたくなる程の衝撃を受けた思いがある。あの熱く燃え上がる心を一時でも取り戻す事ができたらベラジオの噴水前でもう一度告白するのさ!”ありがとう”ってな!」
素直な感情表現の仕方がなんとも気持ちの良い男だ。
「肝心の上さんはどうしたんだ?」
ジャックが笑いながら答えると
「彼女は今日ベッド=ミドラーのコンサートに聞くので、今頃は着ていくドレスを選ぶために、ラスベガスに住んでいる彼女の友人とショッピングでもしているはずさ!俺は俺で以前から計画していたドライブでハマーとの共演が待っている。今日と明日はお互いのリフレッシュの為に別々の行動を考えていたんだ。ちなみに俺は今からフーバーダムに向かってのんびりとくつろいでから明日ここに戻って来るつもりだ、あんたの計画はどうなんだ?」
「俺はデスバレーに向かうつもりだ。」
ジャックは軽い笑顔で答えたが、聞かれた事しか答えなかった
「あんな何もない所に何をしに行くんだ?」
何もないといえばフーバーダムだって同じだろ?確かに有名な観光地だがでっかいダムがあるだけだ。そんなに驚くような事じゃない」
「確かにあんたの言う通りだよ。でも、ここで車をレンタルしに来る奴等はみんなフーバーダムに向かう連中がほとんどさ!いくら憧れの車に乗れるからと言っても3〜4時間以上の運転をするのは体にもこたえる。憧れの車と言っても体が耐えられなくてはどうしようもないよ!それにフーバーダムへの道はそれなりに交通量もある。もし、何か問題が起きても上の道よりは遥かに解決しやすい道のりだ。歳をとると後先の事を考えて楽しむ物だが、”上に向かう者”を見ると人間として羨ましく思うよ。やっぱり”上に向かう事”は人として大切な事だからな」
ジャックは目の前に座る人物がFBIの人間ではないかと始め警戒をしていたが、この軽くも温身のあるトークにその警戒心を解き、お互いに笑いながら話をしていると、
「ミスタージャック!ジャック=ミルズ車の用意が出来たのでマリリンのケツが書かれたドアから表に出てちょうだい!」
イカレタ店員の声が待合室に響き渡る。
15分ばかりが経過して先に呼ばれたのがジャックだった。

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