picture nishijima ichiro
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| 「ただいまっ!」 |
| クリスマスに備えて父のアドルフが生きた七面鳥を買ってきたのは一昨日の夜だった。とっても大きな、マルマルと太った、おとなしい七面鳥で、玄関まで迎えに来た母のリリーは驚きの叫びをあげていた。 |
| 彼女が生きたままの七面鳥を見るのは初めてだった。もちろん、ランディも七面鳥を見るのが初めてなので驚いてしまい、子供心に「怖い生き物」と言う選択しかあげられずリリーの脚にしがみ付き泣いてしまった。二人はそんな子供の仕草を楽しむ様に笑っていた。まさに、理想的な家族の喜怒哀楽がここにはある! |
| そして、リリーは脚にくっついているお邪魔虫のランディを抱きかかえると精一杯の愛を込めて旦那に「お帰り」のキスをし、夕食の準備に取り掛かるためキッチンへと向かった。母に連れてかれるランディの「目」には、黙って七面鳥とニラメッコする父親の姿が焼きついていた。 |
| 動物の中で自分の死を受け入れられる唯一の生き物の様に思われるのは何故なのか?この時期にイキイキとした目をしている七面鳥なんて見たことがない! |
| 明後日、この七面鳥を絞めてもらうおうと知り合いの料理人に頼んでいるが、それまでどこに置くかは未だに悩んでいた。始めは家の倉庫に入れておこうかと考えていたが、七面鳥の「目」と向き合っていると「かわいそう」な気持ちが芽生へてき始め、一週間後の食卓には丸焼きの「こいつ」がおいしそうな匂いと共にイブの話題を更に盛り上げてくれるなんて想像がつかなかった。しかし、アドルフはどうしようもないこの現実を七面鳥に受け止めさせるように「お前は食べられるんだ!」と訴えかけると家の倉庫へと足を運んだ。最後の優しさをホンノ少しばかりでも感じてもらおうと優しく倉庫の隅へと七面鳥を置くと、アドルフはすぐにその場を立ち去り家の中へと入って行った。 |
| アドルフが家の中に入ると、玄関にいたリリーがなにやら目を輝かせている。食事の準備も中途半端にしながら嬉しそうにアドルフの方を見て腕を組んでいるので、最初はアドルフもリリーの目付きに疑問を抱いていたがすぐにその答えが解り、深いウィンクをリリーに送り夫婦だけの見えない掲示板に回答を書き込んだ。 |
| その掲示板には、更に一週間前の夜の出来事が書かれている。 |
| それは、深夜のクィーンズを消防車がけたたましく駆けて行き家の近場で突然サイレンの音が消えた時の事だった。寝ていたはずのリリーに心のサイレンが鳴り響いた。リリーは素早く起き上がりランディの部屋に駆けて行く・・・ |
| 母親の本能だろうか?子供を守るために「危険な音」を察知して過剰反応してしまうのは・・・。 |
| 隣で眠っていたアドルフを踏みつけて行ったので、たまらずアドルフも起きてしまった。彼が寝ぼけながらランディの部屋に駆け寄った時にはしっかりと我が子を抱きしめている母の姿がそこにはあった!アドルフは嬉しかった! |
| リリーがここまで母親になっているという実感が沸いたのは始めての事だった・・・しかし、彼女がにやにやしているアドルフを見つけると、リリーはアドルフに強い視線を投げつけた!彼は「父親の情けなさ」も初めて実感したのだろうか?彼はそそくさと寝室に戻っていった。 |
| しかし、アドルフが寝室に戻っても彼女はしばらく戻ってこなかったのです。ランディが眠りにつくまではそばから離れたくない気持ちが彼女にはある。彼はこの母親の行動を予期していた!だから、すぐに寝室へと戻っていったのです。 |
| 母親が子供の眠りを確認する間は妻である事を忘れ、一母親として旦那の存在をこの世から消し去っている事を真近では見たくなかったのだろう。そんな自分を「大馬鹿野郎」だと思いながら、ただ時間はゆっくり過ぎていく・・・「子供に嫉妬なんてありえない!」と自分を責め立てる時間がこくこくと動いていく!リリーは20分ほどしてから部屋に戻ってきた。 |
| 彼女が夫の眠りを妨げないようにドアを開け、そっとベッドに近づくと、アドルフがベッドに横になりながら目を開けている事が解った。彼は頭を抱えながら天井を見つめているだけで・・・父親らしい素振りすら見せなかったアドルフに対してリリーは少しあきれた様にベッドの中に入ろうとすると、突然!彼がリリーの腰をつかみ片手でベッドに押し倒すと熱いディープキスをし始めた。 |
| いつも襲われているリリーだが、なんらかの期待感を持たせる熱いキスにより・・・リリーが旦那に襲われる体勢は万全だ! |
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| 寂しがり屋が多いから? |
| うそつきが多いから? |
| どんなに考えても都合の良い方向にしか物事を考えない、「人間」というこの世で一番恐ろしい生き物に対する美的センスが止まらない・・・。 |
| 自らが恐ろしい格好を身につけ「おまえらの心の中はもっと恐ろしいんだぞ!」 |
| と、心の中で笑っている・・・。 |
| 世の中へのさりげない気配りを重低音のサウンドに表現しているが、5才のランディにはその気配りが通用しないんだ・・・。 |
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