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サッカー 関西リーグ1部 第13節 @紀三井寺
アルテリーヴォ和歌山 vs 奈良クラブ
   1   -   3

≪得点≫和歌山:芝崎純平、奈良:瀬里康和2、堤隆裕
≪観客≫1,428名

関西リーグも残り2節。KSL公式サイトで、ライブ配信していたので、ネット観戦。ややカクカクしている。
今節開始時点で、3位アルテリーヴォ和歌山と、首位の奈良クラブの対戦。
2位FC大阪、4位バンディオンセ加古川が既に勝利を収めており、勝ち点を落とすと逆転を許すことになる。
奈良クラブは勝ち点3を奪い、首位をキープしたいところ。
一方、ホームのアルテリーヴォは永井雄一郎がスタメン。ホームでの勝利で知名度アップを図りたい。

序盤は一進一退。共に、攻守の切り替えが早く、フリーでボールを持たせない。
しばらくすると、高い位置から厳しくプレスをかけていたアルテリーヴォの圧力に、奈良クラブが押され始める。
13分、和歌山、右サイド深くまで入った選手が2人かわして、ペナ内に進入するが、CKに。
16分、和歌山、左からクロス。大西佑亮が落とし、走り込んだ芝崎がシュートを放つが、枠外。
18分、和歌山、DFの裏に抜け出した永井がシュート。やや強引な体勢で、枠外。
20分、和歌山、選手が抜け出しフリーになるが、戻ったDFがスライディングでシュートコースに入り、CKへ。
21分、和歌山、右CK。ファーで大西が合わせるが、枠外。190cmの長身FWは地域リーグでは大きな武器だ。
30分頃から奈良クラブが相手ゴールに迫り始める。
33分、奈良、野本泰崇の左CK。ファーの堤が折り返し、中央で瀬里がヘディングシュート。0-1。
ほとんどシュートを打てなかった奈良クラブが先制。
前半の公式記録では、シュート数がアルテリーヴォ和歌山4本、奈良クラブ2本。

4分、奈良、高い位置でボールを奪うと素早くカウンター。浮き球で抜け出しシュートを放つが、枠外。
10分、奈良、相手ボールに激しくプレスをかけると、GK吉田泰順がキックミス。
そのボールを遠い位置から、堤がダイレクトで無人のゴールに流し込んだ。0-2。
16分、奈良、右サイドでのキープからマイナスに入れたボールをダイレクトでシュートするが、枠外。
17分、和歌山、高瀬龍舞⇒大北啓介。21分、和歌山、永井⇒保井隆志。
21分、和歌山、相手GKシュナイダー潤之介のクリアが小さくなったところをカット。
右からクロスを送るとペナ内でファールがあったとしてPKに。
大西のキックはGKシュナイダーがファインセーブで防ぎ、再度のシュートもDFがブロックし、CKへ。
27分、和歌山、縦パスで抜け出したFWを相手DFが倒し、再度PKを獲得。
29分、和歌山、芝崎のキックはまたもやGKシュナイダーに止められるが、こぼれを芝崎が蹴り込み、1点返す。
29分、奈良、野本⇒橋垣戸光一。負傷交代。32分、奈良、堤⇒桜井直哉。35分、和歌山、赤木俊秀⇒西山佳孝。
この時間帯、和歌山が右サイドからチャンスを作っている。
39分、奈良、高い位置で相手のパスを奪った小野祐輔が鶴見聡貴とのパス交換で、ペナ内に進入。
相手DFが倒し、PKに。
40分、奈良、小野⇒岡山一成。
40分、奈良、瀬里がPKを決め、1-3と再度突き放す。

試合はそのまま終了。奈良クラブが上位対決を制した。
次節の最終戦で最下位・阪南大クラブに勝利すれば、優勝が決まる。
チームの戦力、サポーターの盛り上がりなど、地域リーグ所属にしておくにはもったいない。
地域決勝大会で好成績を残し、JFLに昇格してほしいところだ。
サッカー 関西リーグ1部 第11節
FC大阪 vs 奈良クラブ
 2  -  6

≪得点≫大阪:川西誠、岩本知幸、奈良:池田昌広、小野祐輔、鶴見聡貴、堤隆裕2、オウンゴール
≪観客≫1,200名

関西リーグの首位攻防戦。首位FC大阪が2位奈良クラブを迎え撃つ。
共に元Jリーガーを多数抱え、Jリーグ入りをめざしている。
JFL、J3へとつなげるためにも、勝利が欲しい一戦。
ホーム・FC大阪は気合が入っているのか、スタジアムMCを芸人・ミサイルマンの西代が務めていた。
関西サッカーリーグのサイトで中継をしており、ネットで観戦することにした。

序盤はホームのFC大阪がやや押し気味か。
10分、奈良、右からの野本泰崇のクロスがファーに抜け、池田が左足ダイレクトシュート。ネットを揺らす。
やや押されていた奈良クラブが初シュート(たぶん)で先制。
17分、奈良、池田→堤。先制ゴールの池田が接触プレーで負傷退場。
18分、大阪、グスターヴォ→川西。FC大阪も早々に負傷でメンバー交代。元ガンバ川西翔太の弟らしい。
両チーム重要な試合で気持ちが入っているのか激しいプレーが多く、選手が倒れ、試合が途切れる。
26分、奈良、鶴見が抜け出し決定的なシーンを作るが、GKとDFが身体を張ってブロック。
最後はサイドネットに引っかかる。
35分、奈良、カウンターから右サイドの小野が強烈なシュートを放つが、枠外。
37分、奈良、鶴見が左サイドを突破、深い位置まで進入し、ニアへグラウンダーのパス。
瀬里康和のシュートはGKがセーブするが、こぼれを小野が蹴り込み、0-2。
43分、奈良、野本からDFラインの裏へロングボールが出る。鶴見が抜け出し、GKとの1対1を沈め、0-3。
47分、奈良、堤が追加点。回線が乱れていて、得点シーンが見れず。
回線が復帰したら、喜んでいるところだった。
FC大阪はDFラインが高く、裏の広大なスペースを徹底的に使われていて、
奈良クラブのカウンターがことごとく決まっている。
前半でまさかの0-4。後半、FC大阪は修正できるのか。元ガンバ大阪の森岡茂監督の手腕にも注目が集まる。

ハーフタイムに、大阪、塚田卓→御給匠、清水孝太→フィリピーニョ。
56分、奈良、右からの野本のグラウンダークロスにFC大阪の選手がオウンゴール。0-5。
61分、奈良、右からのクロスのこぼれを堤が蹴り込み、0-6。
奈良クラブがカウンターで攻め込んだ時はほぼ得点に結びついている印象。
66分、大阪、右からのクロスに最後は川西がヘッドで押し込み、1点を返す。1-6。
75分、大阪、右からのFK、高橋周也のキックに、岩本が鮮やかなヘッドでネットを揺らす。2-6。
FKの前にも、FC大阪のシュートを奈良クラブの選手がゴールライン上でヘッドでクリアしたシーンがあった。
80分、奈良、堤→塚本翔平。左サイドからやられていたため、手当てをした模様。
84分、奈良、瀬里がGKと1対1のシーンを作るが、シュートはGKがキャッチ。
86分、奈良、瀬里→橋垣戸光一。ガンバユース出身の瀬里に代えて、守備力のある元ガンバ橋垣戸を投入。

試合は2-6で終了。2位・奈良クラブが1位・FC大阪を勝ち点2差で逆転し、首位に躍り出た。
関西リーグは残り3試合。このまま奈良クラブが逃げるか。それともFC大阪が再逆転を果たすのか。
また、公式発表の観客が1,200名。5部リーグで1,000名越えは凄い。少しずつ認知されてきたんでしょうね。
第94回 天皇杯 1回戦 @ 橿原
奈良クラブ【奈良・関西1部】 vs 福島ユナイテッドFC【福島・J3】
  3  -  1

≪得点≫奈良:鶴見聡貴、瀬里康和、馬場悠、福島:久野純弥
≪観客≫649名

例年より2ヵ月早く、天皇杯1回戦が開幕。
奈良県代表vs福島県代表の一戦は、勝った方がJ1・ベガルタ仙台への挑戦権を獲得する。

過去2年はスタジアムで奈良クラブの天皇杯を観戦したが、今年はJFA-TVのインターネットライブで観戦。

5分、奈良、右からの野本泰崇のクロスに、鶴見がダイビングヘッドで合わせ、開始早々奈良が先制。
9分、奈良、高い位置で相手ボールを奪うと、瀬里がシュートを放つが、枠外。
13分、奈良、遠めからのFKを直接狙うが、枠外。
14分、奈良、右からのクロスを稲森睦がダイレクトで合わせるが、ミートせず。チャンスを逃す。
序盤、奈良が試合を支配していたが、15分頃から福島がボールを回し始める。
19分、奈良、ボールを拾いミドル。枠を大きく外す。
29分、福島、右からのクロスに久野が合わせ、同点に追いつく。
34分、奈良、左遠めから馬場のFK。ゴールから少し遠い位置で、瀬里がヘッドで合わせ、勝ち越す。
クロスバーに当たって、吸い込まれた。
39分、奈良、馬場がミドルを放つ。GKの手前でワンバウンド。
イレギュラーな跳ね方をしたが、GKが外に弾き出し、CK。CKは得点ならず。
44分、福島、味方の落としを受け、ミドル。強烈な弾道がゴールを襲うが、わずかに枠外。
前半は風上の奈良クラブがリズムをつかんでいた。後半福島ユナイテッドは巻き返すことができるか。

後半開始から、福島、内山俊彦⇒岡田亮太。
6分、奈良、馬場の左CKは直接ゴールに向かう。GKが触れず、あわやというシーンだったが、ゴールならず。
14分、福島、惜しいシーンを作るが、得点ならず。
後半は膠着状態だったが、徐々に福島が押し込み始める。
23分、奈良、桜井直哉⇒塚本翔平。
24分、奈良、馬場のペナ外正面やや左からのFK。右足で弧を描いたボールは、GKごとゴールに入った。3-1。
自ら倒されて得たFKをきっちり沈める。
27分、福島、石堂和人⇒鴨志田誉。
28分、福島、ペナ内に進入し、ゴールに迫るが、CKに逃げられる。そのCKは得点ならず。
35分、福島、野田明弘⇒村岡拓哉。
36分、奈良、カウンターからゴールに迫るが、シュートはDFがブロック。
40分、奈良、小野祐輔⇒岡山一成。お祭り男が投入される。44分、奈良、瀬里⇒小林映登。
終盤の福島の猛攻、アディショナルタイム5分を凌ぎ、
5部リーグの奈良クラブが3部リーグの福島ユナイテッドに勝つジャイアントキリングを達成。

奈良クラブのメンバー1人1人はJリーグでプレー経験のある選手ばかり。
その選手たちが高い集中力で丁寧にプレーしていた。
チームのカテゴリーに差はあるが、この勝利は必然かもしれない。
次戦は、ベガルタ仙台。GKシュナイダー潤之介、岡山一成にとっては古巣。恩返しをしたいところだ。
地域リーグの奈良クラブがJ1の川崎フロンターレと提携するようだ。
スタジアムの問題などで来春からのJ3入りが実現しなかった奈良クラブだが、
次のステップに向けて歩みを進めている。

≪スポーツニッポン 2013年10月30日付記事≫
他クラブとは初!川崎F 関西リーグ1部の奈良クラブと提携

川崎Fが地域リーグの関西リーグ1部で活動する奈良クラブと、アドバイザリークラブとして提携することになった。他クラブとの提携は初。

02年から3年間川崎Fに所属した岡山が現在、奈良クラブでプレーしている縁で実現。地域密着型クラブとして地元商店街などと良好な関係を築いてきたノウハウを伝授する。今後はスタッフらが現地に出向き、クラブを通じた街づくりやプロモーション面の講演などを行う。クラブ関係者は「共存共栄が大事。お互いにいい部分を取り入れられれば」と話した。
地域サッカーへの造詣深い宇都宮徹壱氏のコラムがアップされていた。
氏は今回、最近急激に注目を浴びる奈良クラブをピックアップ。


奈良クラブの熱さを体現する岡山一成
天皇杯2回戦 神戸対奈良クラブ
宇都宮徹壱 2013年9月9日付 サッカーナビ


クルピ監督をも魅了した奈良のユニホーム

 ジャック・ロゲIOC(国際オリンピック委員会)会長の「トキヨ!」の発声を私が耳にしたのは、投宿していた神戸のホテルであった。6日に大阪・長居で行われた日本代表の試合を取材後、そのまま関西方面での天皇杯2回戦を取材するため、東京には戻らなかったからである。2020年の夏季五輪開催地が東京に決まったこの週末、関西方面で行われるのは4試合。万博記念競技場のガンバ大阪対FC今治、キンチョウスタジアムのセレッソ大阪対関西大学、三木総合防災公園陸上競技場のヴィッセル神戸対奈良クラブ、そして西京極スタジアムの京都サンガF.C.対佐川印刷SCである。

 万博でG大阪と対戦する今治は、四国リーグ所属ながら昨年の2回戦でJ1優勝チームであるサンフレッチェ広島を破るアップセットを演じ、大いに注目された。今治市のゆるキャラ「バリィさん」が、エンブレムに描かれていることも個人的には好感が持てる。だが、それ以上に気になるのが、三木陸で神戸と対戦する奈良であった。NHK朝の連ドラ「あまちゃん」に登場する、松尾スズキ演じる喫茶店のマスター風に言うと、「奈良クラブ、熱いよね」――。では、奈良の何が熱いのか。理由は2つ。一つは、ユニホームのデザインが極めてユニークであること、もう一つは、前コンサドーレ札幌の岡山一成がこのほど加入したこと。それぞれ詳しく述べたい。

 まず、ユニホームについて。このクラブは2011年シーズンより、日本の伝統文様を取り入れたユニホームを毎回リリースしている。11年は風呂敷のような唐草模様。12年は大小様々な水玉が入った霰小紋(あられこもん)。このユニホームは、昨年の天皇杯2回戦で対戦したセレッソ大阪のレヴィー・クルピ監督が「ぜひ私にも一枚わけてほしい」とねだったところ、試合後にユニホーム交換が実現。一見するとパジャマのようなユニホームは、クルピが経営するブラジルのレストランに展示されているという。

 そして今年は、縁起物とされる生き物(ヤタガラス、鹿、うさぎ、跳ね鯛、鶴など)を小さくあしらった大和蹴球吉祥文を発表。トラディショナルでありながらポップなデザインは、インターネット上で一気に話題となり、発表直後にクラブの公式サイトがダウンするというアクシデントまで発生している。それにしてもなぜ奈良は、これほどユニホームのデザインにこだわるのだろうか。GM兼監督の矢部次郎氏は「やっぱりウチは地域リーグのクラブですから、奈良クラブの存在を県外にも知ってもらうためには、こういった話題性は必要だと思います」と説明する。同氏によれば、あまりの斬新さに最初は抵抗感を示していた選手たちも、今では「今年はどんな感じ?」とむしろ楽しみにしているそうだ。

岡山はなぜ関西1部の奈良に加入したのか?

 そして、岡山の加入について。岡山といえば、試合後に独特のマイクパフォーマンスでゴール裏のサポーターと一緒に盛り上がる「岡山劇場」でつとに有名な、Jリーグ屈指のエンターテイナーである。96年に練習生から当時の横浜マリノス(現F・マリノス)でプロとなって以降、J1・J2のさまざまなクラブを渡り歩き、「昇格請負人」として4チームのJ1昇格に貢献。その間、Kリーグの浦項スティーラーズの一員として09年のクラブワールドカップ(W杯)にも出場し、3位決定戦ではゲームキャプテンも務めている。

 日本代表経験こそないものの、Jクラブの練習生からクラブW杯の晴れ舞台まで、非常に起伏の激しいキャリアを送ってきた岡山も、今年で35歳になった。そんな彼が先月、関西1部の奈良にアマチュアで契約したことに、少なからぬサッカーファンが驚いた。この電撃加入で決定的な役割を果たしたのが、前出の矢部氏である。来季のJ3入りを目指す奈良としては、やはりユニホーム以外にもインパクトがほしい。そこで思い浮かんだのが、岡山の豊富な選手経験と、ゴール裏もスタンドも「劇場」にしてしまう特殊技能であった。

 矢部氏は岡山に、こう説得したという。「奈良を(川崎)フロンターレのようなクラブにしたい。そのためには、お前の力が必要だ」。02年から04年までJ2時代の川崎でプレーしていた岡山にとり、この言葉は決定打となった。かくして川崎時代と同じ背番号32を与えられ、アマチュア選手兼クラブ職員という形で、岡山は奈良を10番目の(そしておそらく最後の)クラブに選んだ。ちなみに職員としての彼の役職は「奈良劇場総支配人」。もちろん岡山のために、新たに作られたポストである。

 そんな奈良を迎え撃つヴィッセル神戸。7シーズンぶりにJ2降格となった今季、唯一にして最大の目標は、1年でのJ1復帰である。J2では規格外と言える、ポテンシャルと経験値の高い選手をそろえ、第32節時点で首位のG大阪に勝ち点2差の2位。安達亮監督は、この試合を「次節の(V・ファーレン)長崎戦に向けた一戦」と言い切る。この日はケガ明けの河本裕之、北本久仁衛、相馬崇人を久々にスタメンで起用し、さらに控えGKの植草裕樹とU−18から昇格したばかりの和田倫季を右サイドバックで試すことを決断。相手との戦力差を考慮した、冷静なラインナップと言えよう。


「かえって、あいつの闘争心に火を点けてしまった」

 前半は神戸のペースに終始した。奈良は岡山を中心とした3バックで対抗するものの、両サイドも守備に回る時間が多く、実質的には5バックとなっている。それでも相手の攻撃を辛くもはじき返していたが、いかんせん中盤に人数が足りていないのでプレッシャーがかからない。神戸の先制点が決まったのは前半30分。左に展開した三原雅俊のパスに田代有三がクサビに入り、後方から吉田孝行がフリーの状態から右足でネットを揺らす。その4分後、今度は相手クリアボールを拾って、和田が左からクロスを入れ、これに北本が右足ボレーで反応。奈良としては、前半を0−0でしのいで後半から巻き返すプランだったようだが、やはり相手との戦力差はいかんともし難いものがあった。

 後半、奈良は岡山をFWにコンバートする。「前半は相手をリスペクトしすぎた。後半はもっと、こっちから主体的にやろうということで、岡山を前線に入れました」(矢部監督)。もともと岡山はFWの選手であり、チーム一の長身(185センチ)というのも魅力だ。しかし後半2分、再び吉田にゴールを決められて、点差は3点に広がる。こうなるとワンサイドゲームの気配が漂ってくるが、その後は何度か決定的な場面を作られるものの、なかなか神戸に4点目が決まらない。その理由について安達監督は「蒸し暑くてプレーの精度が落ちたこと」と「3点を取ったことで、あえて難易度の高いコンビネーションからのゴールを意識したこと」を挙げていた。

 いずれにせよ、点差が3点に広がったことで、神戸の勢いは止まった。逆に奈良は、前線からの積極的なプレッシングで、前半はほとんどなかったシュートチャンスを得るようになる。後半9分には野本泰崇が、28分には途中出場の安藤大介が、いずれも惜しいミドルシュートを放つものの、いずれもGK植草がファインセーブ。一方、パワープレー要員の岡山は、たびたびゴール前での空中戦に挑むも、センターバックの河本と北本との競り合いになかなか勝ち切れない。そうこうするうちに後半30分を過ぎると、岡山の運動量はめっきり落ちてしまう。無理もない。昨年9月の天皇杯以来、彼は一度も90分間プレーしていなかったのだから。

 後半87分と89分、神戸ベンチは守備固めとしてDFのキム・ソンギと林桂祐を投入。身長190センチのキムは、すでにへばっている岡山を抑えこむための、ダメ押しの起用であった。ところが「かえって、あいつの闘争心に火を点けてしまった」(安達監督)。終了間際の後半45分、稲盛睦の右からのクロスに岡山がキムに競り勝ち、見事なヘディングシュートを決めてみせた。次の瞬間、決めた岡山はゴール裏のサポーターの下に駆け寄ろうとしたものの、途中で思いとどまって自陣に引き返す。まだ、アディショナルタイムが4分あったからだ。その後も奈良は貪欲に追加点を狙ったが、神戸は相手の追撃を巧みにかわして3−1でタイムアップ。かくして、今年の奈良クラブの冒険は終わった。


「奈良劇場総支配人」の仕事はまだ続く

 「吉田選手に2点、北本選手に1点取られましたが、彼らも奈良出身なので今日は奈良のゲームだったかなと思います(笑)。とはいえ、北本に関しては、自分の高校(奈良育英)の後輩でもあるので、あとで注意しておきます(笑)」

 試合後の会見。奈良の矢部監督の言葉からは、悔しさと清々しさが半分ずつ感じられた。奈良が天皇杯でJクラブと対戦するのは今回が3回目だが、格上の相手からゴールを挙げたのは今回が初めて。その意味では敗れたとはいえ、それなりに手応えは感じられたのではないか。一方、クラブの歴史に残るゴールを挙げた岡山は、ゴール直後の状況をこのように説明した。

 「(得点してゴール裏まで行かなかったのは)チームメートに止められたからです。『オカさん、まだ終わってない!』って(笑)。自分としては、0−3で終わるのではなく、1点返して一矢報いればいいかなと思っていたんだけど、みんなは残りの時間であと2点を取ろうと必死だったんですよね。だから、喜ぶ時間も惜しいと。いや、当たり前の話なんですけど、ベテランの僕があいつらに教えられた、そういう試合でしたね」

 かくして、劇的な幕切れで「奈良劇場総支配人」の天皇杯での仕事は終わった。しかし岡山からは「ぜひ、これだけは言わせてください!」とメッセージを預かったので、ここで皆さんにお伝えすることにしたい。

 「さっき、サポーターにあいさつしたときに知ったんですが、ウチはまだ関西1部の残留が決まっていないんですよね(現在8チーム中5位)。なので、9月15日の鴻ノ池陸上競技場でのアイン食品戦(14時キックオフ)、ぜひ来てくださいね! 3000人集めて奈良劇場やりますから。みなさんも絶対に、取材に来てくださいよ!」

 その日は別の取材が入っているので、残念ながら私は鴻ノ池には行けない。けれども関西在住の方で「岡山劇場のその後」に興味がある方は、ぜひとも会場まで足を運んでほしい。奈良の今季最後のホームゲームで、「いいものを見せてもらった」という何かを、きっと岡山は見せてくれるはずだ。何といっても今の彼は、名実ともに「奈良劇場総支配人」なのだから。

奈良クラブがプロチームとして活動するには、越えなければならない壁がたくさんある。
経営基盤、スタジアム、サポーターなど、ありとあらゆる事柄だ。

ただ、奈良クラブにはスタッフ、サポーターの情熱と、斬新なアイディアがある。
おもしろいクラブですので、ぜひご注目を♪

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