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コーヒーについて追加で書かせて頂きます。 江戸時代、オランダ人によって日本にコーヒーが持ち込まれたそうです。 江戸後期の狂歌師にして食通・蜀山人(本名:大田南畝・おおたなんぽ)は著書の中で 「焦げくさくして味ふるに堪ず」 と、コーヒーの感想を述べています。 これが当時のコーヒーに対する 日本人の最大公約数的な意見だったのではないかと思われます。 大正期になるとコーヒーに砂糖を加えた「コーヒーシロップ」なるものが販売され、 それをさらに水や牛乳で希釈して、という方法が知られるようになったことで コーヒーが庶民に浸透していったようです。 このような飲みやすい方法を浸透させた仕掛け人は、 「キーコーヒー」というコーヒーメーカーと、 「カフェーパウリスタ」という喫茶店だったということです。 「キーコーヒー」は現在でも最も有名なコーヒー豆販売業を営む会社ですが、 「カフェーパウリスタ」というのは、全く知りません。 「カフェーパウリスタ」とは何なのでしょう。 そして今はどうなっているのでしょうか。 「カフェーパウリスタ」について調べてみました。 明治43年に「カフェーパウリスタ」は設立され、 翌年、銀座で喫茶店をオープンします。 喫茶店という形態の店は明治の初め頃から始まったようですが、 他の店は「カフェーパウリスタ」ほどには成功しなかったようです。 カフェーパウリスタの給仕は海軍士官の正装を模し、 肩章をつけた純白の上着に黒ズボンで 15歳未満の清潔感のある少年達でした。(→文献1) な、な、なんと、 日本の喫茶店の事実上のルーツともいえる「カフェーパウリスタ」は、 扮装カフェ、美少年カフェ、今でいうメイドカフェだったのです。 今も秋葉原地方ではメイドカフェが大流行。 日本人のDNAは100年経っても変わらないようです。 新聞社が近い銀座という土地柄、ここには、 菊池寛、徳田秋声、芥川龍之介、獅子文六 といったそうそうたる小説家達が通ったようです。 彼らの目当てはコーヒーだったのか、 はたまた別のものだったのかは知るよしもありません。 そんな「カフェーパウリスタ」ですが、関東大震災を期に閉店してしまいます。 しかし、会社は「日東珈琲」という名で存続しており、 満を持して昭和45年に「カフェーパウリスタ」を再開します。 そして、現在でも営業しているということです。 これは行かないわけにはいかないでしょう。 現在の「カフェーパウリスタ」も銀座にありました。 久しぶりの銀座。緊張します。 ドレスコードも厳しそうなので、燕尾服にシルクハットで身を包み、いざ出陣です。 「カフェーパウリスタ」が近づくにつれ、 右手と右足が同時に前に出るという妙な歩き方になってしまいました。 じっとり汗を掻いた手で重厚なドアを開きます。 高級感あふれる内装。昔の喫茶店はこうだったのでしょう。 メイドさん、いや、ウエイトレスさんに フカフカのソファーの席に案内されます。 せっかくここまで来たのだから、コーヒーとそれに合うお菓子を食べなければいけません。 渡されたメニューを見ましたが何がお菓子なのかよく分かりません。 コーヒーは「パウリスタオールド」を選択、 お菓子?には「キッシュ ロレーヌ」などという 訳の分からぬものを、顔を赤らめながら注文してしまいました。 少しアガッていたのに違いありません。 注文も終わり、少し冷静さを取り戻して店内を見回すと、 現在のウエイトレスさんは扮装もせずごく普通の格好です。 レジ脇には客に読ませるスポーツ紙がマガジンラックに収められていました。 意外と普通の喫茶店のようです。 燕尾服にシルクハットという自分の姿が周りから浮きまくっており、 今度は恥ずかしさに顔を赤らめました。 コーヒーが運ばれてきました。 「パウリスタオールド」は創業時の味であり、 あのジョン・レノンも愛したという逸品です。 一口すすります。 うーん、苦み走った味、芳醇なアロマ。 「違いがわかる男の、ゴールドブレンド」って感じです。 カップ&ソーサーには印象的な「カフェーパウリスタ」の紋章が記されています。 いいですね。こだわってますね。 そして、問題の「キッシュ」がやってきました。 小さいピザみたいに見えます。一口ぱくり。 べらんめぇ、ベーコンとクリームの入った卵焼きじゃねぇか。(なぜか江戸弁) ほとんど味がねぇじゃねぇか。(正直美味くない!) タバスコをドバドバ掛けて何とか食べました。 おいらが食べたかったお菓子はもっと、 こう、チョコレートケーキのような甘いヤツなんだよぅ。 キッシュを食べ終え、コーヒーも飲み終えたとき、 メイドさん、いや、ウエイトレスさんがやってきて言ました。 「デザートがつきます。コーヒーお代わりしますか?」 シルクハットが落ちないように、手で押さえて、コクリと頷きました。 運ばれてきたのは、 お代わりのコーヒーと、チョコレートケーキでした。 これが食べたかったんだよぅ。一口ぱくり。 めっちゃ、美味いやないか。(なぜか関西弁) ワシが欲してたんはこれや。 意図せず、コーヒーに合うお菓子は「キッシュ(フランスの料理)」ではなくて、 「チョコレートケーキ」であることの確認ができてしまったのです。 コーヒーが美味しかったので、思わず買ってしまいました。 「パウリスタオールド」の豆です。 これで、燕尾服とシルクハットを着用することなく、 そして妙に緊張することなく、ゆっくりと自宅でコーヒーを味わえます。 というわけで、 「カフェーパウリスタ」は昔の味を守りつつ 今でもしっかり営業していたのでした。 最後に一言。 もし、あなたが「カフェーパウリスタ」に行くようなことがあれば、 そして、あなたがフランス人でなければ、 キッシュ以外のお菓子(料理)を注文することを強くお勧めします。 ★文献1:カフェーパウリスタ店内に置かれているチラシ「カフェーパウリスタ物語」
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2012年02月19日
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