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今春、最後の大きな来日公演です。
初日は誰あろう廃Jinが来場したせいで雨が降りました…orz
しかし、彼のいない今宵は雨は降らず。
やはり日頃の行いが物を言うようです(笑)。
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
管弦楽:フランクフルト放送響
ピアノ:エレーヌ・グリモー
ソプラノ:森麻季
【6/3@サントリーホール】
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
[アンコール]
・ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番
・ブルックナー:交響曲第7番
[アンコール]
・ステンハンマル:カンタータ「歌」より間奏曲
【6/4@サントリーホール】
・R.シュトラウス:4つの最後の歌
・マーラー:交響曲第9番
さて、禿げと美女2人、という対比で見せようという意図らしいキャスティング(笑)。
因みに、グリモーは良いなぁ。
座席が2日ともソロに近かったのだが、個人的にはグリモーに圧倒的に軍配を上げる(笑)。
音楽的にも、やはりグリモーの方がかなり上手だった。
弾く前からして脱力がしっかりと行われており、華奢な体からとは思えない音色がする。
ただ、この日はオケに合わせたか、若干華やかさを抑え気味にし、くすませたようなピアノの音色で進む。
ミケランジェリのような鋭さ、華やかさではないし、バックハウスのような雄大さ、スピード感ではないが、非常に端整で、既にじっくりとしたテンポで創っていく練度が感じられた。
特に2楽章はフレーズ処理が非常に見事で澄んだ表現力があった。
3楽章は一転してかなりのテンポで突っ込んでいき、途中、多少前のめりな部分はあったがテクニックに裏打ちされたピアノは破綻がない。
この楽章では終盤のロンド主題が回帰する独奏部でかなり乾いたティンパニを重ね、緊張感と舞踏のリズムを生み出していたのはピリオド奏法を用いる指揮者ならではのアイデアか。
ただ、ヤルヴィとグリモーの方向性は異なり、齟齬をきたしていると言わざるを得ず、総体としてみると多少、減点部分が多いか。
それぞれ、違うソリスト、オケで聴き直してみたい所。
因みに、アンコールのベトはブラヴォー!
見事な哲学のあるベートーヴェン演奏だった。
森麻季は余りコメントしたくないが、平板で退屈な歌唱でしかも声が届かない…orz
容貌的にもグリモーの方が好みだなぁ…ってそれは関係ないか(笑)。
ただ、オケは意外とおどろおどろしい雰囲気への演出がなされていて、この楽団の適応能力の広さが窺える。
ただ、歌唱があれだと褒める気にはならない、というのが正直な感想。
ブルックナーはほぼ全ての主題の処理が同じ。
基本、ゆっくりから段々とテンポを細かく上げ、次の主題との間に来ると音楽全体をすぼめて次へタッチ、という印象。
ついでに、コーダは兎に角拡大路線で、音量、テンポともに厳しいものがある…。
これらから、どうしても単調な印象を受ける…。
それから、痛かったのは、金管の問題。
どうも、ワーグナー・チューバの音色は冴えないし、首席トランペットの3楽章頭のシグナルはピッチがズレまくってるし…。
特に2nd.とのユニゾンの際のピッチが酷く、あれには2nd.も馬鹿正直に吹くなよ…と言いたくなるほどだった。
それから、7番の2楽章はブルックナーの中でも最も耽美と叙情を讃えた曲で、彼の作品の中でも珍しく私も惹かれる曲だが、この楽章でも一様な主題処理とワーグナー・チューバが物足りなくて、結局、葬送としても絶対音楽としても美感が足りない印象が物足りない。
それまではやや引き延ばし気味だった全曲だが、4楽章はリズムを作り、一気果敢にフィナーレへなだれ込む。
ニュアンス豊かでアクセントなどで音楽を躍動させる形は悪くないが、どうも、ブルックナーに必要な流れを逸していた演奏に思う。
マーラーについては、アグレッシブなフレージングの妙が今度は冴え渡っていた。
同じメロディを1度目はアクセントで切り込み、2度目にクレッシェンドをかけながらレガートで膨らむ、といった処理の妙で飽きさせず、テンポ変化も頻繁に作るが、それが主題の動きを損なうものではなく滑らかなため、巨大音響を理知的なサイズに落とし込むバトン・テクニックが冴えていた。
リズムもかなり意識され、フレーズの停滞感は無きに等しく、隅々まで横溢した音が満たす。
特に3楽章の躍動性、そして天国のモティーフへと続く流れは見事。
この日の首席トランペットもブレスやスラーの間で細々としたミスはあったが、マーラーを表現するに足る見事な音色だった。
但し、全体的にパートは粒が揃っていて、インバルを思い起こさせる明晰ささえ感じなくはなかったが、どうも指揮の下に一元化して音が集まってきているイメージはなかった。
また、勢いで消化する部分も散見され、昨年のベートーヴェンのようなスコアリーディングの深みは感じられなかった気がする。
取り合えず、もう少し、練習してから持ってきてくれれば、ベストといえるような演奏になったかもしれない。
今度は是非、7番あたりを持ってきてみて欲しいところだが…。
それにしても、来シーズンから、ヤルヴィは押しも押されもせぬパリ管のシェフである!
はっきり言ってエッシェンバッハに音楽性を感じなかった私としては、嬉しい限りの交代ではあるが、あれほど特殊な音色を持つオケにヤルヴィのピリオドを基調としたアクセントを付けて短いフレージングは歓迎されるのだろうか…!?
どちらにしろ、シェフ&パリ管は出来るだけ早く聴いてみたいものだ。
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遅ればせながら興味深く拝読しました。
森麻季さんは、声質からして「4つの最後の歌」のような作品には合わないなと思ったこともあって、拙者は2日目をパスしたのですが、記事を拝見してなるほどねという感想です(苦笑)。
P・ヤルヴィ&パリ管は、フランスものとかロシアものとかで、ぜひ聴いてみたいですね。
2008/6/13(金) 午前 1:09 [ dsch1963 ]
まぁ、リヒャルトは予想通りでした(笑)。
パリ管との組合せはベルリオーズやビゼーは安心出来そうですが、ドビュッシー、ラヴェル、更にはメシアンなんかは流石に不安かも知れません(笑)。
個人的にはフランスオケのベートーヴェンは意外と化学反応があって楽しいと思っているので、気になっています。
取り合えず、先が楽しみな組合せですね。
2008/6/16(月) 午前 0:25