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当事者双方の言い分を読んで設問に答えなさい。 (Xの言い分) 私は,○市に妻子と4人家族で居住しています。職業は会社員で、同市から電車で約30分の地に勤めています。 以前からそろそろ同市内に一戸建てを建てたいと思い,土地を探していて,平成15年初めころ,知人からYの紹介を受けました。この知人は登山が趣味なのですが,そのサークル活動の仲間に不動産にも詳しい男がいるということで紹介を受けたのがYなのです。私がYに土地を探していることを話すと,Yは,心当たりがあるので同市内の土地を探してあげようと言ってくれたため,お願いすることにしました。 平成15年4月ころ,Yから,駅から比較的近いところに希望の条件に合う甲土地(地目・宅地,地積150.00平米)があるので見てみないかと言われました。その土地はYの親せきであるA所有の土地で,私は,Y宅でAを紹介されました。Aの話では,Aのお父さん(B)が20年くらい前にCから買ったもので,買ったときの値段はもう分からないそうですが,当時の相場の値段だったらしいです。Aのお父さん(B)が平成10年5月17日に亡くなったことから,唯一の相続人であるAが甲土地を含む全財産を相続したのだが,Aは既に別の場所に土地と家を所有しているので,甲土地を適当な値段で売りたい,ということでした。 私は,Aの案内で現地を見てとても気に入り,甲土地を買うことに決めました。そして,平成15年8月10日,Aから甲土地を代金2000万円で買う契約を行い,同日に手付金として300万円をAに支払いました。Aは交渉当初は2200万円の値段を提示してきましたが,周囲の相場より少し高いと思いましたので,仲介してもらったYにも間に入ってもらって交渉した結果,最終的に2000万円で決着したのです。もちろん契約書も交わしていますし,手付金300万円の領収書も受け取っています。 ただ,この土地はAが相続するに際して,税金対策のため,お父さん(B)が知人のDに代物弁済したことにして所有名義を移転してあるということでした。Aによると,実際には,お父さん(B)がDから借金したことは全くなく,代物弁済をしたことはないということでした。もちろん,BとDとの間では,借用書や代物弁済の合意書も作られていないということです。仮にBとDが代物弁済契約を交わしていたとしても,Bも自分が死亡した場合の税金対策を考えていたもので,BもDも2人とも内心では本当は所有権を移転するつもりはなく,虚偽表示であったことは明らかです。確かに,Yの言うとおり,Bが知人Eの銀行からの借受金債務の連帯保証人になっていたということはあります。しかし,Eが破産して借受金が返済できなくなりBが連帯保証債務を履行したという事実は全く知 りません。Aもそのようなことは聞いたことがないと言っています。また,Aが現在,田畑など多くの不動産を所有していることから考えると,その父であるBにも同様の資産があったわけであり,仮に,Bが連帯保証の履行をすることになったとしても,そのためにDから金を借りなければならなくなるはずがありません。 私が登記所で甲土地の所有者名義を確認すると,確かに平成10年5月10日の代物弁済を原因として,同年6月2日に,BからDに対し,所有権移転登記がされていました。甲土地の名義は,今もD名義のままだと思います。 そこで,私は,Aに対し,甲土地の名義をDから取り戻して,私に所有権移転登記をするよう申し入れました。Aもなるべく早く名義を取り戻して所有権移転登記をしたいと言っていました。ところが,AがDに対し,甲土地の所有名義を戻すよう話した直後の平成15年8月25日,この土地がDからYに,代金1700万円で売却され,代金も支払われてしまいました。そして,Yは,甲土地の引渡しを受けて現在甲土地に農機具などを置いています。 私は,Yに対し,甲土地は自分のものであるから立ち退くよう求めましたが,Yは,甲土地は自分のものであると主張して立ち退こうとしません。Yは,甲土地がDの所有であったと信じたなどと主張していますが,前述のように,Yは,私に甲土地の売買を仲介した本人です。甲土地がAの所有であったことを知らないはずがありません。しかも,Yは,私よりも安い値段でこの土地を買っているのです。私に高く売りつけようとの下心があったに違いありません。Yは,私とAとの売買を仲介したこと自体を否定していますが,本当に腹立たしいことで,絶対に許せません。Yが仲介したことはAに開いてもらえば分かると思います。ただし,私がYとの間で土地の媒介契約書を作っていないことも事実であり,Yが仲介した事実が認められないこともあるかもしれません。しかし,仲介の事実が認められないとしても,YはAやDとは親せきであり,しばしば財産管理の相談も受けていたようであり,また,AやDの資産の状況もよく知っていたはずですから,その事実からも甲土地がDの所有ではないことを十分知っていたことは十分認められると思います。仮に知らなかったとしても,不注意だったことは明らかです。Aも,Dに登記を戻してほしいという話をするまでDとYの売買のことは知らず,Yから甲土地の所有権について何 かを聞かれたこともないということです。せっかくよい土地を見つけて購入し,そこに家を建てて家族で住もうと考えたのに,このような結果になって残念でなりません。既に銀行から融資約束を取り付けていますから,移転登記さえしてもらえれば,残代金は,その日のうちに支払えるようになっています。 DもYもとんでもないことをすると腹立たしくも思います。Aによれば,Yは近所でもお金に汚いところがあるとうわさのある人物で,職業は農業と言っていますが,裏では人に金を貸して高い金利を取っているという話しも聞いたことがあるということです。私は,せっかく買った土地ですから,何としてもYから取り返し,所有権移転登記を得たいと思っています。 (Yの言い分) 私は,△市内に住み,同市内で農業を営んでいます。家族は,両親と妻子です。所有する土地は田と畑が多く,主として米と野菜を作り,米を売って生計を立て,野菜は家族で食べる分の外には,近所の青物市場で両親がその日にできた分を売っている程度です。 私とXとの関係ですが,平成15年初めころ,知人から紹介を受けて会ったのが初めてです。私は登山が趣味で仲間とサークル活動をしているのですが,Xが自分も登山に興味があるということで,サークルの集まりに参加したのが切っ掛けでした。そのときは,Xとの間で,登山のことや世間話をしただけで,Xが土地を探しているというような話を聞いた覚えはありません。まして私がXの土地購入を仲介したなどということは絶対にありません。確かに,XにAを紹介したのは私です。平成15年4月ころ,Xが私の家を訪れてきたことがあり,そのときたまたま私の家を訪れていた親戚のAをXに紹介したことはあります。しかし,それは不動産の取引のためではありません。登山の会で知り合ったXが私の家に遊びに来ていただけなのです。 一方,私は,親せきのDから○市内にある甲土地を買ってほしいとの申入れを受け,平成15年8月25日,代金1700万円で買いました。代金は銀行預金に加え,同銀行から同日1000万円を借り受け,即日Dに支払いました。銀行から借り受けた1000万円については,私の所有する宅地の一部に,この借受金のために抵当権を設定し,この抵当権は登記済です。 私は,Dから甲土地の引渡しを受け,現在,同土地に農機具などを置いて同土地を占有しています。所有権移転登記はまだですが,近いうちにDに登記手続に協力してもらおうと思っています。土地の売買契約書も作ってあり,銀行から700万円を下ろしたときの預金通帳,銀行からの1000万円の金銭消費貸借契約書もあります。 Dから聞いたところによると,Dは,Aの父(B)に対し,平成8年10月5日,2500万円を弁済期平成9年10月末日との約定で貸し付けたものの,弁済期を過ぎても返済ができず,そうこうしているうちにBの具合が悪くなってしまい,返済が延び延びになり,Bが死ぬ直前の平成10年5月10日,Bの入院先において,上記借金を返す代わりに甲土地の所有権をDに移転するとの合意をしたとのことでした。Bは知人Eが銀行から借りた金の連帯保証人となっていたそうですが,Eが倒産して返せなくなり,銀行から連帯保証人として債務の履行を求められたために,その資金としてDが貸し付けたのが上記の貸金だそうです。ただ,DとBは生前から大変親しくしていたらしく,消費貸借契約証書などは作らず,代物弁済の合意のときも特に書面は作らなかったものの,代物弁済の合意をしたときの様子は病室でBの看病をしていたAが一部始終を見ていたとのことです。ところが,その直後,Bの病状が悪化して,所有権移転登記をしないうちに,同月17日に,Bは亡くなってしまったのです。そして,同年6月2日,Bの唯一の相続人であった息子のAがBからDへの直接の所有権移転登記の手続を行ったのですが,Aは,病室でBの約束を見ていたので,名義移転について特に異論はなかったという話です。代物弁済の原因証書はAとDとで作成したものと思います。Xは,Aの税金対策のため何らの原因もないのにDに架空の名義移転をしたと主張していますが,Dから聞いた限りでは所有権移転登紀を取得した経緯は上記の通りであり,きちんとした代物弁済の合意があったのです。もちろんこの合意が虚偽表示だということもありません。Dが所有権移転登記を備えた以上,もうXは何も言えないのではないでしょうか。 仮に,百歩譲って,Dの所有権移転登記に原因がなく,架空の登記であったとしても,私は,Dとの売買契約のとき,Dが所有者であると完全に信じていましたし,疑わしい事情も全くありませんでした。私は,AやDとは親せきですが,住所を知っている程度で,Aの財産状態は今でも知りませんし,Dの財産状態についても,Dから甲土地を買ってほしいと言われるまでは全く知りませんでした。買い受けるかどうかを決めるに当たっては登記は調べましたが,Dの説明通りでしたし,現地も更地でした。売買に当たり,Dの前主であるAにまで事情は聞きませんでした。 最近になって,Xは,私がXとAとの間の甲土地の売買契約を仲介したなどと主張していますが,先ほども述べたとおり,そのような事実は絶対にありません。Aも私の親せきですが,AがXに甲土地を売っていたということも知りません。確かに,先ほども述べたように,私は,Xと登山の同好会で知り合った後,たまたま私の家に来ていたAをXに紹介したことはあります。しかし,土地の購入のことで紹介したわけではないのです。 私は,甲土地を所有者であるDから正式に購入し,代金も払ってますから完全に所有者です。聞けば,Xはまだ代金の一部(手付)しか払っていないとのこと。そんなXに対して,なぜ正当な所有者である私が甲土地を引渡さなければならないのでしょうか。確かに,Xが私に明渡しを求めに来た時には,私は農業をしておりこの土地を使う予定は特にないと申しましたが,今は,隣地も購入し,アパートを建てて人に貸そうと思っています。そのため,私は,隣地の所有者と土地購入の交渉も始めており,アパート建築の工事業者と建築の具体的な計画を現在相談しています。私は先ほど申しました通り,この土地購入のため銀行から1000万円も借り受けており,農業収入だけでは返せませんから,アパート経営は是非とも必要なのです。したがって,私にとっても甲土地は必要性の高い土地であり,絶対に甲土地をXに引き渡すつもりはありません。 ※ AX間の売買契約では、所有権は契約締結日にXに移転することになっている。 (続きは次記事) |
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