|
※文責は小生のみにあります。個人用の記録であり、内容について責任を負いかねる事を御了承下さい。また、素材としている文章の公開に問題が生じた場合、非公開とさせて頂く可能性があることも付記致します。
紙,パルプ等を製造する事業を営むA社は,昭和42年頃,本件土地(約240坪)を購入し,本件土地上に工場を建築して操業していた。B社は,マンション用の敷地を購入してマンションを建て,マンション販売業者へ土地と建物を一括して売却することを主たる業務とする会社である。Bは,本件土地上に分譲マンションを建築することを計画し,平成12年9月7日,Aから本件土地及びその地上建物を1億円で購入する契約を締結し,同年10月25日に代金を支払うとともに,引渡し及び所有権移転登記を得た。Bは,ただちにマンション建設の準備作業に入り,同年12月11日,建築確認申請の認可を受けた。 他方,Bは,同年12月25日に,マンション販売業者Cに,本件土地及びその上に建設予定のマンションを一括して売却する契約を締結した。この契約では,マンションの引渡し期日は平成14年3月末日と定められ,引渡しが遅延した場合,Bは,Cに対し,約定による遅延損害金を支払うことも定められた。 Bは,平成13年1月下旬ころ,本件土地上にあった建物の解体を終え,準備工事期間を経て,同年3月6日から杭打ち工事を開始したところ,本件土地の地中に障害物があることが判明した。その具体的な全容を明らかにするには工事の進捗によって5月上旬までかかる見通しであったが,Bは,3月下旬に,Aに対して本件土地の地中から障害物が発見されたこと,その全容解明は5月上旬までかかること,その全容が確認でき次第,改めて詳細を説明することを伝えた。 その後,同年5月上旬までに,次のことが明らかとなった。すなわち,本件土地の地中には,昭和40年以前に建っていた建物のコンクリート基礎やコンクリート製のオイルタンクの残骸があり,マンション建設のためには撤去が必要であること,及び本件土地全体の地中の比較的浅い部分にオイル類により黒く汚染されて泥状になった土壌が大量にあることである。この汚染された土壌は,環境基本法16条1項に基づいて定められた行政上の環境基準に抵触するような量の有害物質を含有してはいなかったが,雨が降り水を含むと,強い悪臭を発するものであった。 見積もりによると,これらの障害物の撤去及び土壌廃棄費用には合計5200万円がかかる(汚染土壌は産業廃棄物扱いとなるため,これを廃棄するには高額の費用がかかる)。 また,これらの撤去作業及び土壌廃棄作業に時間を要するため,期限内にCにマンション を引き渡すことができるように工期を短縮するためには合計3000万円の費用がかかる ことも分かった。 Bは,これらの費用については当面は自らが支出して工事を続行することとしたうえで,同年5月中旬にAに対してこれらのことを伝え,費用負担を求めてAと協議を始めた。しかし,結論がでないまま,現在(平成22年4月)にいたっている。なお,マンションは期限内に完成し,Cに引渡済みである。 Bは,Aに対していかなる権利を行使することができるか考えなさい。 以上 考え方は後程 |
民事系
[ リスト | 詳細 ]
|
※文責は小生のみにあります。個人用の記録であり、内容について責任を負いかねる事を御了承下さい。また、素材としている文章の公開に問題が生じた場合、非公開とさせて頂く可能性があることも付記致します。
以下の事実関係における(1)〜(3)の質問に答えよ。 調理師A(1955年まれ。2011(平成23)年現在で56歳)には妻Bと子C(28歳)、母Dと姉Eがいる。 Aは、東京の有名ホテルに勤めた後、30歳のときに、郷里の札幌から電車で50分ほどの小樽市内に店舗を借りてレストラン「海望」を開業した。和風と洋風を絶妙に調和させた料理ということで雑誌などでもしばしば取り上げられるなど、地元では知られた存在であった。趣味は冬山登山で、そのために何度か海外にも出かけていたが、2000(平成12)年2月(11年前)、イタリアに登山のためでかけたところ、そこで出会った現地在住の日本人女性と親密になり、家族はもちろん誰にも連絡もせずそのまま現地に居ついてしまった。Aからの連絡が途絶えたBは、当時、登山予定と聞いていた山で雪崩があり死亡者がでたとの報道もあり、Aは死んだものと思いつつも、待ち続けた。この間、Bは、レストランの料理人が代わるなどで売り上げが落ち、レストランの家賃の支払にも困るときがあるなど苦労を重ねながらも、Aの友人Fの励ましもあってなんとか経営してきた。しかし、BはFに好意以上のものを感じるようになったこともあり、2008(平成20)年、家庭裁判所にAの失踪宣告を請求し、同年6月、失踪宣告の審判が確定した。 Aは小樽に住宅とその敷地(以下、「甲不動産」という)を所有していた。また、Fに対して1999(平成11)年に無利息で500万円を貸しつけていた(以下、このAのFに対する貸金債権を「乙債権」という)。Aの失踪宣告により相続人となったBとCは、協議により、Bがすべてを相続することとし、甲不動産につきその旨の登記を経由した。乙債権については、Aがイタリアに出かけるまでにA自身が50万円の返済を受けていた。その後、Fは不定期ながらもBに返済を続け、2009(平成21)年8月には、Fの未払い額は200万円になっていた。この時点で、Bは残金200万円の支払を免除する旨の手紙をFに出している。以後、Fは残金の支払をしていない。そして、同年10月、BはFと結婚し、婚姻の届出をした。住まいはFの住宅に移ることにしたこともあり、翌11月、Bは甲不動 産を時価相当額の1500万円でGに売却して登記を移転し、代金から100万円をBFの海外旅行の支払にあてた。 Aはイタリアで一緒に生活していた女性との仲が思わしくなくなり、2010(平成22)年3月に帰国した。同月、かつての有名レストランの店主が小樽に戻ってきたとの記事が、地元で最大の購読者数をほこる小樽新聞に大きく掲載され、おおかたの知るところとなった。しかし、翌4月、甲不動産はGからHに1700万円で転売され、登記も移転している。Aの失踪宣告が取消されたのは、同年5月であった。その後、AがHに甲不動産取得の経緯を 問いただしところ、Aが戻ってきたという記事は読んだが、甲不動産がもとA所有のものであったことはGH間の売買契約時は勿論、登記を移転した後も気づかなかったと答えた。 Aは、帰国に先立ち、2009(平成21)年6月、Bに航空便で手紙を送り、自分はイタリアにいること、長期の不在を詫びるとともに、詳しいことは帰国後に話す旨を書いた。しかし、帰国してBに会うと、いたずらの手紙だと思い、封も開けずに捨てたとのことである。それが本当かは疑わしく、自分が帰ってきたこともあってか、現在、BとFは別居中であり、Bがその手紙をもっていることを明かしてくれる可能性もないわけではないと思っている。 札幌に住んでいた父親は1997(平成9)年に亡くなり、父親所有の住宅と敷地(以下、「丙不動産」という)および丁土地は母Dが相続しその旨の登記も経由し、Aがイタリアにでかけるまではそこで1人暮らしをしていた。Aが帰国してみると、すでに自分の住宅(甲不動産)は人手に渡っていたので、やむなく、年老いた母Dのところに身を寄せようとしたところ、Dは札幌の施設に入っており、Aの顔を見ても誰であるかわからない状態であった。姉Eに尋ねると、Dは2005(平成17)年10月に後見開始の審判がなされ、Eが成年後見人に選任されていた。そして、2006(平成18)年6月、Eは母Dを施設に入れた後で、Dの代理人としてDの住宅と敷地(丙不動産)および丁土地に、Eの内縁の夫IのK銀行に対する債務を担保するため抵当権を設定していた。母の住宅は空いたままであったので、Aがその住宅に住んで現在に至っている。2009(平成21)年の末ごろからEとIの仲がこじれ、Eが精神的に不安定な状態になったため、2010(平成22)年10月、Eは成年後見人を辞任し(民844条)、新たにAが成年後見人に選任された。 (1)Aは、甲不動産をHから取り戻すことはできるか。また、できないときは、誰かに何か請求することはできるか。 (2)Aは、Fに対する乙債権を失ったのか。 (3)Aは、Eが丙不動産および丁土地に設定した抵当権の効力を否定することができるか。 考え方は後程 |
|
※文責は小生のみにあります。個人用の記録であり、内容について責任を負いかねる事を御了承下さい。また、素材としている文章の公開に問題が生じた場合、非公開とさせて頂く可能性があることも付記致します。
1 甲株式会社(以下、甲会社という。取締役会設置会社、公開会社である)の代表取締役は、Xである。Xは、甲会社の設立以来唯一の代表者であり、甲会社の過半数以上の株式を保有していた。甲会社の取締役は、Xのほか、Y、Z、Wである。 しかし、Xは高齢で病気がちであったので、甲社の経営は、Xの養子であったYが常務取締役として事実上取り仕切っていた。しかし、他の取締役ZとWは、Yの経営方針を支持して、甲会社の経営はともかく継続してなされていた。 ところが、不景気とともに、XとYとの関係が次第に険悪になり、XとYの間で、甲会社の経営方針についての対立が顕著になった。Yは、自己に甲会社を代表する法律上の権限がないと、今後の甲会社の経営に不都合があると考えた。たまたまXの入院中ではあったものの、Yは、他の取締役Z、Wの支持を得られそうなので、取締役会を招集して、代表取締役になることを計画した。そこで、Yは、思い切って取締役会を招集して、取締役会でYに代表権を与える旨の決議を行おうとした。この決議は、ZとWの賛成によって可決承認された。しかし、Xの欠席は、取締役会の開催通知が、Xの入院中であったので、Xに対してはなされていなかったことによる。 以上のとおり、Xに開催通知がなされることなく、取締役会が開催され、Yが代表者に選任された旨の決議がなされて、代表取締役に就任したものであり、その旨の登記もなされた。 2 Yは、A工場の売却、B工場の建築問題で苦労したが、Xが甲会社の多数の株式を持っている限り、この苦労は絶えることはなく、また常に甲会社の経営についてZ、Wの支持支持を得られるとは限らないと考えるに至った。これでは、将来の甲会社の経営に不安があると考えた。そこで、Xの持株比率を減少させるため、新たに募集株式を発行することを計画した。募集株式の発行については、取締役会の決議があったが、この取締役会でも、Xには開催通知をしないで開催し、X以外のY、Z、Wの3名の取締役の賛成で、株式を発行することになった。甲会社は、この株式の発行価格は時価とすることとし、その全ての株式は、Yの妻が引き受けた(現在も株式を保有している)。このことを知ったXは、怒って株式の発行を止めることを、何度も会社に出向いてYに求めたが、取締役会の決議があると言って、Yはこれを無視して、発行手続きをすすめ、結局Yの妻が払込をし、株式の発行がなされてしまった。Yの妻が募集株式を引き受けたことによって、Y自身、Yの息子及び妻の持株比率は合計して50%を超えるに至り、Xは少数派に転落した。 以上の2の場合における募集株式発行の効力はどのようなものか論ぜよ。 ・参照判例 最判S44.12.2:取締役会の開催にあたり、取締役の一部の者に対する招集通知を欠くことにより、その招集手続に瑕疵があるときは、特段の事情のない限り、右瑕疵のある招集手続に基づいて開かれた取締役会の決議は無効になると解すべきではあるが、この場合においても、その取締役が出席してもなお決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があるときは、右の瑕疵は決議の効力に影響がないものとして、決議は有効になると解するのが相当。 最判H6.7.14:新株発行に際し有効な取締役会の決議がなくても、代表権のある取締役が新株を発行した以上、新株が著しく不公正な方法により発行された場合でも同様に有効である。新株の発行会社と取引関係に立つ第三者を含めて広い範囲の法律関係に影響を及ぼす可能性があることにかんがみれば、その効力を画一的に判断する必要があり、事情の有無から個々の事案ごとに判断するのは相当でない。 ・注意点 百選レベルの判例知識の確認 ・考え方 代表取締役Yによる募集発行→有効(取引安全の重視)。 しかし、Yの代表権の存否→1の事情より決議を有効とする特段の事情はなく、Yに代表権は存しない(但し、Xが名目的取締役ならYは代表権限を有する)。 しかし、Yは表見代表取締役(354条)であり、新株発行は甲会社の行為として有効である。 よって、新株発行は無効とはならず、有効である。 ・Xの反論 取引の相手方(Yの妻)は善意無重過失か。 悪意重過失と評価できた上であれば、取引行為として安全を保護する必要はなく、代表権限を有しない者による株券発行等になるため、株式発行の不存在の確認を訴えられる(829条1号)。 以上
・感想メモ 判例を用いて論述をしっかり。 募集株式発行について無効となる事例は限定されており、一旦発行されてしまった場合、取引安全の重視から有効という原則。 論理の展開は大雑把過ぎないか?見直し必須か。 |


