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今年も逝って参りました〜。 それにしても、重荷である私を2度も車に乗せて頂いたり、貧乏人である私の松本飲み&観光に付き合って頂いたり、蕎麦を喰べさせて貰ったり、希少なチケットまで頂いてしまったり、カーオーディオでマーラー「巨人」のコーダをぶった切ってもらったり(笑)、兎に角、色々と楽しませて頂きました。 今回の松本行でお会いした皆様、誠に有難う御座いましたm(_ _)m まずは、珍しく殊勝に御礼をお伝えしてから、本題の演奏へと入りたいと思います(笑)。 【8/31 オペラ公演】 指揮:小澤征爾 管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ ・ヤナーチェク:歌劇「利口な女狐の物語」 女狐:イザベル・ベイラクダリアン 森番:クィン・ケルシー 森番の妻:ジュディス・クリスティン 校長:デニス・ピーターソン 神父:ケヴィン・ランガン 行商人:デール・トラヴィス 雄狐:ローレン・カーナウ 宿屋の主人:松原友 宿屋の女房:増田弥生 犬ラパーク:マリー・レノーマン 雄鶏:黒木真弓 きつつき:牧野真由美 他 このオペラには、童話、民話風の物語に着想を得た自然、循環、無常の哲学だけでなく、実はチェコ(…というかモラヴィアというべきか?)という列強に抑圧されてきた歴史を持つ国家としての民族主義が関わっている。 オペラを聴く直前に知ったことなので、私の中での理解はそれほど深いものではなかったが、そうした面を直接提示された演出であり、また、小澤のアプローチの透明性から、視野の狭いイデオロギー的なものではなく、弱者として世界中へ普遍と繋がる姿へと昇華させて伝わった点に魅力があったと思う。 音楽的な話をすると、小澤はこの曲の演奏が初めてという事もあり、昨年の「スペードの女王」や今年の「エフゲニー・オネーギン」に比べれば自家薬籠中の物、という雰囲気は薄いか。 テンポも3日目のこの日の演奏は前2日に比べてグッと落としたものになっていた、と歌手サイドから聞こえてきた。 ともかく、この日の小澤のアプローチは誠に端整、丁寧で、p部分のバランスと美しさは特に素晴らしい。 まず序奏の鬱蒼とした森の雰囲気ある和声の連なりへと弦楽器はスピード感のあるフレージングで切り込んでいく。 冒頭30秒でこの演奏の力を実感する。 歌手達へも配慮のある指揮ぶりで、強引な流れは一切感じられない。 しかし、若干ffについてはまだワンランク上の音が、終結部での金管を始め、オケに引き出しがあったのは明らかに見えていたので、もっと大胆な対比を作ってダイナミクスも満足させてくれたら…というのは多少望み過ぎだろうか。 今回の音楽が、チェコ人を余り使っていない事も含めて、洗練された透明性を基調とした音作りであったのはよく分かったが、加えて振幅の大きなダイナミクスも望んでみたかった。 まぁ、贅沢者だな、私は(笑)。 歌手陣は総じてレベルが高い。 特に良かったのは、パワーは若干不足があったかも知れないが、中々の美声を披露してくれた森番クィン・ケルシー。 どうやら昔アメフト選手だったらしい彼は、気さくにサインに応じてくれ、とても好感。 次回は英語のオペラで是非お会いしたい(笑)。 着ぐるみだったため(笑)、ステージ上ではその端麗な容姿が封印されていたのが犬のラパークを務めたマリー・レノーマン 某○かしさんが"You are pretty, beautiful"と連呼なさっていたため、私にも御機嫌にサイン&撮影に応じてくれたのを見て、男としての器量の差を感じた(笑)。 自転車で颯爽とホテルへと去っていったのも印象深い、子役キャストにも人気の女性であった。 最初にも少し書いたが、演出は非常に音楽との親和性が高く、そして普遍化されたものを感じるものだった。 季節感、循環を描く事は移動式の舞台の広がり、転換、そして装置の細部(酒場の液晶の天気予報など)にまで投影された情景描写で描き出す場面は、自然と人間の距離の近さ、同時に相容れない遠さの両方が見える。 自然との共存は言葉ほど生易しい問題ではないが、何処で折り合いをつけるかはオペラ内でも投げ掛けられているように思えてしまった。 そして3幕、ビストロウシカの死の場面。 ハラシタと森番は縄張りで争い、とうとう銃を突き付ける程の激しい対立に至る。 ここは冗談のように仕立てる演出の方法論もあるように思うが、切実な強者と弱者の問題として映す事により、更なる弱者、しかし屈服しない強者としてのビストロウシカが鮮やかに浮き出る演出だった。 いつでも、どこでも、抑圧される個人達は卑小でささやかながらも声をあげ続け、政府や外国の圧力にひとりが敗れたとしても、循環し続け、営みの繋がりが絶える事は無い。 そんなヨーロッパらしい個人に根ざした思想が垣間見えた演出で、音楽もそれを包むに相応しい、透明で力強いものだった。 来年はオペラではなく合唱付大規模オーケストラの作品だが、20世紀を代表するレクイエムと言えるブリテン「戦争レクイエム」である!
もしウォルトン「ベルシャザール王の饗宴」だったら一も二も無くチケット争奪戦に参加しただろうが(笑)、これも充分楽しみである。 聴きに逝けたら良いなぁ…。 |

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