生薬・方剤学手帳

〜治療に必要な漢方備忘録〜

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知母

知母
気寒。味苦。無毒。主消渇熱中。除邪氣。肢体浮腫。下水。補不足。益気。
知母は気寒で、稟天冬寒の水気で足の少陰腎経に帰経する。また味苦で南方の火の味で手の少陰心経に入る。
 
氣味ともに性質は降であり、陰に属し、腎の水・心の火に属する。
命門の火が静のときは、水も静にて土を養い陽気の源となる。しかし火が盛んとなり、水が動くと、土を乾かし、金を溶かし、元気を損なう。これを命門相火の有余となす。これを清するに知母と黄柏に勝るものなし。
 
黄柏は足少陰腎経・太陽膀胱経のみに入って、腎・膀胱の熱を取る。知母は足少陰腎経の薬だが、手の太陰肺経にも又入る。腎火と上焦肺分の熱を清す。黄柏は水中の浮火を制し、知母は水底の火を制す。
黄柏は知母に従って、よく下焦水底に沈む(本草綱目より抜粋)
知母は「下水」で、下に水を降ろす。
 
芍薬は利小便作用があり、知母は下水作用があるので、どちらも下向きベクトルで、芍薬と知母との違いは営衛不足と津気不足で、下に持っていく量とベクトルが違う。
知母は寒滑で三焦水道の関門を滑利して腎まで「下水」して泄熱する。
つまり、水母(くらげ)の如く夜になると熱は浮く状態を知母の寒滑で冬寒水気で腎経に入り、腎は五臓の陰気を養い(補不足・益気)、燥を嫌うのを改善し、腎の燥熱で生じた開合不利を寒滑の知母で下水させることができる。
 
知母には、清熱・滋陰・潤肺・生津の作用がある!
 
知母は苦寒で、質が柔潤であり、肺・胃・腎の3つの経に入る。苦寒で清熱瀉火し、甘寒質潤であるため、滋陰潤燥できる。
本草綱目では「下がれば腎燥を潤し、滋陰し、上がれば肺金を清めて火を瀉す」と記されており、燥熱傷陰であれば、虚実どちらでも使うことが出来る。
しかし、寒潤の性質があるため、下痢を起こしやすく、陰虚便秘の者には使えるが、脾虚便溏、寒飲咳嗽のものには使ってはいけない。
知母は生で用いると瀉火の力が強く、塩水で炒ると腎に入るように変えることができる。
 
知母と石膏はともに肺胃にある実熱を清めることができる。石膏は辛微寒で、その重点は清解にあるが、知母は苦寒質潤でその重点は清潤のほうにある。それで肺熱を清宣するには多くは石膏を用い、清熱潤燥の者には知母を使う。裏熱が重くて津液が傷られているものには知母を使い、傷られていないものには石膏を使うと良い。気分熱が盛んな場合にはこの2つの生薬を組み合わせると良い。
 
主消渇熱中
知母は心と腎に帰経し、五行でいう水克火を調節することができる。腎の五臓の陰気を養う力が低下すると、水が火を制することができなくなり、火邪が津液を消耗させる。それによって消渇が起こってくる。火が盛んになると熱中が生じる。
知母はその苦味で心火を制し、気寒にて腎水を滋陰することができる。その働きにより、消渇や熱中に対応することができる。
 
除邪氣
知母が除くことができる邪気は、白虎湯に代表されるような実であったり、腎水の虚損によって生じる虚熱である。つまり知母は虚実にかかわらず、熱邪を除く力に長けている
しかもその熱は燥火であり、湿と熱が結びついた湿熱には不適である。(滋陰作用を有しているため・・・)
 
肢体浮腫
熱邪が浮き上がる性質があり、火が体内で盛んになれば炎症による腫れが生じる。知母はこの熱を清し、滋陰させる働きがあるので、炎症による四肢の腫れを取ることができる。
 
下水
腎は水を主る臓である。その性質は乾燥を憎み、乾燥すると開合ができなくなり、水が反って蓄積する。知母は寒滑の性質で関門を滑利して、水が自ら下るようにさせることができる。
 
ここで注意すべきことは、知母には甘みなく補の作用はないということ。しかし心の火が盛んになることによって腎の相火も相対的に盛んになった時に、気寒と味苦によって熱を清し、腎がその燥熱のために調節できなくなっていた水の流れを再度調節して、しっかりと腎にまで引っ張ることができるようにする働きがある。それが結果的に、腎水を補うことに繋がり、腎の相火を冷まして、腎の虚熱を取るということにつながるのである。
 
補不足。益気
苦寒にて水の不足と五臓の陰気を補うことができる。

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山薬

山薬
 
気温平。味甘。主傷中補虚羸。除寒熱邪氣。補中益氣力。長肌肉。強陰。久服耳目聰明。軽身。
 
気温平で、天の春で木の気・収秋の金の気の両方を輸しており、足厥陰肝経と太陰肺経に入る。味は甘く、中正の土の味であり、太陰脾経に入る。
こういう概念から、山薬には外向きと内向きのベクトル性を持ち、内向きのベクトルを持つ関係上、正気が底抜けしないように内を固める働きがある。
 
山薬は粘り気があるため、陰を補う働きが強いのであるが、麦門冬などの滋陰薬に比べても深いところをしっかりと固めてくれる。しかもその粘り気にて、一度固めたものが再び崩れないようにする働きがある。(この場合には山茱萸などの酸味の収斂作用のある生薬との併用が好ましい。・・・六味丸系)
 
山薬は肌肉レベルの陰を強くし、三焦の脂膜を強くする作用がある。阿膠も陰を強くする作用があるが、阿膠はもう少し深いレベルで血脈を構成する脂膜を強くする作用がある。(油であるという理由から)
 
麦門冬は舌中の裂紋を目標に、山薬は舌質全体の痩せを目標に使う。
山薬を使うときには、山茱萸や白朮、人参といった生薬を加味することもしっかりと検討すること。
 
 
主傷中補虚羸
山薬の甘平は血を益することができる。中焦脾胃の肌肉が痩せてきた場合、山薬を使うことによって脾陰を補うことができるので、肌肉は豊満になる。つまり羸痩を補うことができるのである。
これは脾胃を補うという意味だけでなく、三焦脂膜を形成する脾陰、関節軟骨、筋膜などが痩せて、干からびてきている傾向がある場合にも使うことによって、それらの組織を肥やすことができる。
 
 
除寒熱邪氣
山薬の平は肺に帰経し、肺は気を主る。山薬の甘は脾に帰経し、脾陰を養うことができる。山薬はこれらの作用によって気血の両方を補うことができる。山薬は器を大きくして潤す働きがあるので、寒熱のどちらの邪氣も体内に侵入できないように体を充実させることができる。
 
 
補中益氣力
山薬は脾を肥やすことの生薬であり、脾を肥やすということは中央を肥やすことができる。すると全身・四支末端にしっかりと栄養を送り込む土台ができるので、中焦から全身に元気を送り込むだけの土台ができるということ。また脾だけでなく、肌肉・筋膜・三焦脂膜など脾陰を肥やすことができるので、気血津液の流通経路が補修されるため、体が元気になる。
 
 
長肌肉
山薬は脾陰を肥やすので、肌肉が旺盛となる。(この場合には酸味の生薬「山茱萸」などを併用してやる必要がある。)
これは崩れ落ちた土壁でたとえると、土壁の土台になっている竹に藁を敷き詰め、土壁を塗る。
そうすると藁が複雑に絡み合って土壁が容易に落ちないようにする緩衝剤の作用をする。
山薬は、陰を長じる作用とその粘り気にて土壁の土と藁に該当する。そこに山茱萸などの生薬が入り、その収斂作用にて容易に脂膜や筋膜が崩れないようにしてくれる。
土壁をキレイに塗るためには、芍藥が必要で、芍藥の平性は肺に該当し、芍藥を少量使用することによって、土壁の土をヘラでキレイに塗り、そのムラ「平ずる」作用がある。
 
 
強陰
陰とは宗筋であり、筋は厥陰肝経に帰属する。山薬は気温であり、厥陰肝経に帰属する筋膜を潤すことができる。この作用から、宗筋を潤して、再び締めることができるようになるため、夜間尿や失精などの筋膜のひび割れから漏れ出る症状を落ち着かせることができる。

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気温。味甘。主風寒湿痺。死肌痙疽。止汗除熱。消食。作煎餌久服。軽身延年不飢。
 
朮は燥湿剤の範疇であり、湿を直接乾かすことができる。
 
気は温で稟天陽明の燥気である足の陽明胃経に帰経し、味甘は中正土の味、足の太陰脾経に入る。気味共に昇らせる陽の性質がある。
 
朮は、土が水浸しになり、万物を創造する事ができなくなった状態にあるときに、その土を乾かし、万物が再び成長することができる土台を作ることができる。
 
「脾胃は中州の土たり。土の化は湿たりといえども潤湿は土の本化。万物を生養す。泥湿は、土悪むところの湿にして、土中の泥湿があれば、物を化することをあたわず。」
中焦に停滞した悪湿をさばくことによって、胃の気が伸びるようになり、結果的に中焦を中心として五臓が伸びやかになってくる。
(脾胃を補う力は朮の右に出るものなし。人参は五臓の元気を補うが、朮は脾胃の気を補う。また湿をさばくためには茯苓・陳皮などの生薬との併用が必要となり、外湿よりも内湿をさばく力を有している。ただし、茯苓との併用により一切の湿をさばくことができるようになる。)
 
朮の脾胃に対する補気作用は比較的弱いが、温燥の作用は相当に強く、湿邪をさばくことによって結果的に脾陽を伸ばすことができる。したがって、朮は陰液を傷つけやすいので陰虚内熱には適さない。中焦の虚があり、さらに湿が存在しているときに使うとよい。
 
朮は脾胃を補うが、中焦を閉塞する恐れもある。そこで陳皮を少し入れる(朮:陳皮=51)で理気させることで、その滞りもなくすことができる。
 
朮はあくまでも中焦(中心)の湿をさばく力を有していることを忘れてはいけない。(つまり三焦水道に湿がたまっているときには、他の生薬のほうがよいということ。肌肉に湿が停滞しているときには、上記の脾胃の湿をさばく理論から使うことは可能だが、筋骨の深いところに湿が停滞しているときには、これもまた他の生薬にて使用するのがよいと考えられる。)
 
白朮と蒼朮はいずれも脾胃に対する要薬である。2つとも健脾燥湿の作用を有しているが、蒼朮の方は辛味があり、燥湿運脾がメインとなり、発汗作用を有している白朮は甘味があり脾胃を補う力があり、さらに止汗作用を有しているため、湿が盛んな実証には蒼朮を用い、脾胃の虚があり、湿がある場合には白朮を用いる。もちろん両者を併用することも問題ない。
 
 
主風寒湿痺
風寒湿が体内に停滞すれば痹を形成するのは当たり前のこと。そしてこれらが肌肉筋骨に停滞することでしびれ・麻木・拘縮・痙攣などさまざまな問題を引き起こしてくる。朮は中焦の寒湿をさばくことによって、胃の気を伸びやかにし、風寒湿痺を取り除くことができる。(ただし朮は湿を乾かすことにしかできないため、風寒邪に対しては桂枝や麻黄、附子などの理気、去風、去寒の生薬との併用が必要不可欠である。)
 
 
死肌痙疽
湿邪は肌肉を犯す。したがって肌肉に湿邪が停滞したときには痙攣がおきたり、肌の感覚がおかしくなったりする。また湿邪が最も停滞しやすいのは、「人体の関所」でもある「関節部位」であり、ここに湿邪が停滞すると「筋肉の拘急」などの症状が出現する。湿が肌肉に停滞すると「発黄」することもある。
これは皆、「肌肉」に湿邪が停滞したことによって生じる症状であり、「肌肉=脾胃」という概念から、「脾胃の湿証」と考えてよい。
 
 
止汗除熱
脾胃の力が衰え、衛気が腠理を閉めることができずに漏れ出た汗を朮は、中焦を補うことによって胃の気の循環を改善し、衛気を表にしっかりと送り込むことができるようになるため、汗を止めることができる。
これは玉屏風散に応用されている考え方で、黄耆で表の衛気を固めるベクトルを強くしつつ、白朮で中焦を補気し、水の流れを整えると同時に防風で気を一気に外に張り出すことによって、止汗作用を発揮することができる。
また気虚による発熱においては、人参・黄耆・白朮で脾肺の気と五臓の元気を補うことによって、外に追い出された虚熱は還る場所を見つけ、陰火という虚熱は自動的に元の鞘に戻って、発熱もなくなるのである。
 
 
消食
脾は胃のためにその津液を巡らせている。脾湿によって、脾の健運作用が低下すると食べ物は消化できず、さらに湿邪が脾に停滞してしまう。朮はその温性でもって脾湿を乾かす作用があり、それによって脾の健運作用は元に戻り、消化機能が高まる。
 
 
作煎餌久服。軽身延年不飢
上記のことから、朮を服用することによって脾胃の健運作用を低下させることなく、胃の気を充足させることができ、かつ中焦を阻む湿邪がたまらないようにすることができるため、気が常に満ちた状態を作ることができ、身体は健康になるのである。

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茯苓

茯苓
 
気平。味甘。無毒。主胸脇逆気。憂志驚邪恐悸。心下結痛。寒熱煩滿欬逆。口焦舌乾。利小便。久服安魂養神。
 
茯苓は、気平にて秋収の金の気であり、太陰肺経に帰経し、降ろす力を有している。味は甘味であり、これは土の味であることから太陰脾経に帰経する。
太陰肺経は宣発と粛降で降ろす力があり、太陰脾経は昇清で昇らせる力がある。したがって茯苓は昇る力と降りる力を有している。
 
中医学では茯苓は利水滲湿薬の範疇であり、白朮などのように湿邪を燥湿して乾かすのではなく、水の流れる道を作って、三焦水道に停滞する湿邪を利小便させる生薬と考えればよい。(体内の水の偏在を調える。汚れた水をさばくには、猪苓や沢瀉を配合する)
 
葉天士の解説からすると、茯苓は三焦水道にある湿邪を直接流すのではなく、肺気と脾気を通じて、三焦空間の昇降出入経路を整え、水の流れる力をバックアップして組織間の水の偏在を是正する生薬に該当するかもしれない。つまり、湿邪を直接排除するのではなく、三焦水道の水気を増強させる生薬ということである。
 
茯苓は三焦水道を調節して、水の偏在を是正することから、党参・白朮などと併用すると健脾薬となり、猪苓・沢瀉などと併用すれば滲湿薬となる。つまり併用する薬物によって、どこから水を抜くのかが変わってくるのである。
 
茯苓は性質が平であり、補って峻でなく、利して猛烈ではなく、扶正し、また邪を去ることができるため、正虚邪盛(脾虚湿盛)の場合には、欠くことのできない生薬である
 
 
胸脇逆気
上焦である胸は肺があるところであり、脇は厥陰肝経、少陽胆経、三焦経が関与している。肺気が不足すれば、金克木の作用が低下し、自ずと肝気が強くなり、肝木の有余による上逆症状が生じる。そしてこの症状は肺の関与する胸と厥陰肝の関与する脇の間である胸脇で生じる。
茯苓は肺に入って、肺気の降ろす力を強くすると同時に、その甘味で持って肝気を緩めることができるのである。
その作用にて胸脇の逆気を治めることができるのである。
 
 
憂志驚邪恐悸
脾は土であり、五蔵の中で中央に位置し、上下左右と連携を取りながら、五臓の調和を図っている。もし脾肺の作用が低下すると、上下左右との連携が上手くいかなくなり、それぞれの臓腑が主る感情(七情)の調和も崩れてしまう。
茯苓は、その甘味で脾を建て直し、肺を和して平ずることができるため、五蔵の調和も回復し指示上が安定する。
 
つまり、茯苓の安神作用は、脾を建てることによって後天の本が調い、気血生化を増強することによって、五臓が充たされ、心神を濡養することができるようになることから生じる。
 
 
心下結痛
心下は脾胃との関わりが深く、ここに湿邪が停滞することによって、脾胃の昇降失調を招き、心下の痛みを誘発する。
 
 
寒熱煩滿欬逆
茯苓は気が平のため、湿邪が寒熱どちらに傾いていようが、問題なく使用することができる。湿邪が胸中に停滞し、それが湿熱傾向を示すときには煩滿が生じ、湿邪が肺に停滞する場合には湿性の咳が起こる。
茯苓は水の流れ道を作ることによって、湿邪を取り除く効果があるため、これらの症状にも対応することができる。
 
 
口焦舌乾
三焦水道に邪気が停滞することによって、津液の循環が悪くなり、人の身体の中で水道が不通になる。これは熱邪だけで起こるものではなく、たとえば気の停滞などによっても生じる。そうすると脾胃の昇清機能が働かず、津液を上焦まで持ち上げることもできなくなるために、口乾咽燥などの症状が起こるのである。茯苓は三焦水道に働き、水の流れを整える力を有しており、その力は肺気と脾気に帰属し、三焦水道を膀胱までしっかりとつなげ、水の流れ道を再構築するため、膀胱にまで水が流れると同時に、上昇まで水が循環するようになるため口乾咽燥も落ち着くのである。そしてそれと同時に利小便にも通じる。

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芍薬 〜その2〜

芍薬
 
気平。味苦。無毒。主邪気腹痛。除血痺。破堅積。寒熱疝瘕。止痛。利小便。益気。
 
芍薬は気平で秋収の金の気を持ち、手の太陰肺経に入る。味苦は南方の火の味であり、少陰心経に帰経する。
気味ともに降りる性質が強く、陰の薬である。
 
芍薬は少陰心経に入ることから、「血分」に作用する生薬であり、その性質は営気を養う働きが中心で、血分の気を補う性質がある。そのため血痺で血に結れをほぐすことができる(血閉には大黄が必要)ただし直接血の結ぼれをほぐすのではなく、血脈を構成している三焦の筋膜を潤すことにより、筋膜の緊張を緩和させ、血脈内の道路の幅を広げ、血が流れやすい環境を作ると考えたほうがよい。
 
この考えを応用すると、筋膜を潤すという観点から、筋緊張によって起こる筋の攣縮、痙攣を緩めることができる。
 
さらに脉外に散った気とそれに伴って生じる水を脉中に引き込むことができる。(脉中に気を引き込む結果、水の流れも整うため、水も内に引き込むことができる。)
 
そのため大量に芍薬を用いると下痢を止めることができ、さらにその水を利小便で尿中に導く作用も有している。
(したがって少量使うことによって、筋肉の過緊張から来る三焦空間の凸凹したムラを平らにすることができるし、大量に使うことでベクトル性を下向きにして、余分な水を利小便させることができる。)
 
また筋脈を潤すということは、マクロ的に捉えれば、肝の血流を改善するということにもつながり、全身に散った血を肝に戻すことによって、陰血を充実させることによって二次的に肝気を伸びやかにさせるという作用も有している。
 
芍薬には赤芍と白芍があり、赤芍は微寒で活血化瘀作用を有している。白芍は柔肝解痙の作用があり、筋膜の痙攣を緩解させることにより、五蔵の気血津液の流通を改善させ、結果として肝の疏泄を整えることができる。これが白芍が傷寒論にて多用される生薬の1つになる理由である。
 
芍薬は酸味を有していると考えられ、その酸味で血を収斂させてもらさないようにする働きを有していると考えられる。(なので当帰・地黄で補血した際に、血が漏れないようにする堤防の働きを芍薬が行うと考えられる。)
 
 
邪気腹痛
芍薬は肺気を調節する働きがあり、さらに少陰心経に帰経することから、血脈の気を主る。肺気は金克木で肝気を調節することができ、木克土によって起こる腹痛に対して、芍薬を使うことで肺⇒肝⇒脾の流れで、3次的に脾気の作用を整え、腹痛を止めることができる。
 
これは、上記に記述したように、全身に散った血を肝に戻す(筋膜を潤すことを臓腑で表現した)働きがあり、臓腑を構成する筋膜、三焦を構成する筋膜の過緊張を芍薬が緩めることができるため、筋膜の痙攣で生じる内臓痛を止めることができる。
 
これは現代医学的な解釈を用いると消化した栄養を吸収して、肝臓へと運ぶ腸間膜の緊張を緩め、その緊張から来る痙攣をとめて痛みを落ち着かせる。そしてこの緊張から来る痛みを血痺と捉える。と考える。
 
 
除血痺
血痺とは、血流が渋滞して正常に流れないことによって起こる麻痺などの症状をいう。芍薬は少陰心経に帰経し、血脈との関わりが深い。しかも筋脈の緊張を緩め、血脈の通り道を広げることができるため、血気の結ぼれにて生じる血痺に対して有効に作用する。(これが血閉レベルになると大黄が必要になってくる)
 
 
堅積寒熱疝瘕
堅積とは積聚のことであり、気・血・水が身体の中で凝り固まってできた病理産物である。芍薬はこの中でも血積・気積を取り除くことができると考えられる。血積は筋脈の緊張を緩めて、血の流れを増大させるから。気積は、肝血を収めることにより、肝気を伸びやかにさせることができるため。(ただしこの場合には理気薬が主となり、芍薬は二次的に作用すると考えられる)
また芍薬は平性なので、寒熱問わずに使用することができ、堅積によって生じた疝瘕にも対応することができる。
 
 
利小便
芍薬は肺気を調節することができ、さらにその肺気を下降させる作用を有している。このことから、芍薬を大量に使用することによって、水の流れが整うため、結果として利小便できる。
さらに脉外に散った気とそれに伴って生じる水を脉中に引き込むことができる。(脉中に気を引き込む結果、水の流れも整うため、水も内に引き込むことができる。)

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