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夜の不連続ネット小説「てっぱん」20110826
【花火大会】【不治の病】【最終電車】
『最期の思い出』
SE:電車の到着、ドアの開く音、ざわめき
N「終電間際の駅、賑わう人々」
男「あー、閉まっちゃう閉まっちゃう!!」
女A「待って待って!!」
SE:ドアの閉まる音
男「あっ、間に合わなかったー!!」
女A「嘘でしょ!? あー、どうしよう。タクシーだとだいぶかかっちゃうし……」
男「しょうがないから、どこか呑みにでも行く?」
女A「ダメ、それは契約違反。約束と違うよ」
男「そんなこと言ったって、どうしようもないし……」
女A「まあ、それはそうなんだけど」
男「じゃあ、とりあえずどっか行こうよ? ね? ね?」
女A「なんかさー。変なこと考えてない?」
男「考えてない考えてない」
女A「ホントー? なんか怪しい……」
男「ホントホント」
女A「ホントに考えてない?」
男「考えてないって!!」
女A「じゃあさー。なんで手繋いでんの?」
男「これは、アレだよ。人多いから。はぐれないように」
女A「もう全然、人いないでしょ!!」
男「そんなことないよ。ほら、あそこにも人、あそこにも人いるし」
N「男、何人かいる人たちを指さす。そのなかのひとりと目が合う」
女B「あー!!」
男「はい? あ、あー!!」
女A「え? 知り合……?」
女B「○○くん!! なんで? なんで生きてんのよ!?」
男「いや、その。なんでって、生き、生きてるものはしょうがない!!」
女A「○○くん、誰?」
女B「あなた何? 彼女? え? なんなの? 生きててそのうえ彼女いるってどういうこと?」
男「いや、この子は彼女じゃなくて」
女A「はい、彼女とかではない、です」
女B「じゃあなんなの?」
女A「私はただの友達で、その。今日、花火大会があって、それで誘われて……」
女B「ハ・ナ・ビ・タ・イ・カ・イ〜?」
男「いや、これは……」
女B「去年とまったく同じ!! 同じじゃない? 何これ? あきれた!! ああ、そういうことね。
そういう手口!!」
女A「手口……?」
女B「あなた!! この人の余命どのくらい?」
女A「え? 余命?」
女B「そう、余命。余命どのくらいって言われてる?」
女A「……さ、三か月?」
女B「おんなじ!! そこまでおんなじ!! あのね、この人余命三か月でもなんでもないわよ」
女A「え? どういう……?」
女B「どうせこう誘われたんでしょ?
『僕は不治の病にかかってて。医者に余命三か月って言われているんだ。
でも、死ぬ前に女の子と花火大会に行きたいから』っつって!!」
女A「ま、まさに。でもなんでそれを知っているんですか?」
女B「私が!! 私が去年それで、その手口で誘われたからよ!! それで行ったわよ。花火大会!!
でもって、終電逃したわよ。今からあなた、ホテル誘われるわよ?
そして、なんだかんだ病気を理由に連絡取れなくなるわよ!!
余命三か月? ちゃんちゃらおかしいわ。一年たってピンピンしてるじゃない?
騙したの、そう。騙したのね。騙すにしてもそんな汚いやり口ってある?
余命何か月とかいう嘘、人として最低じゃない?」
女A「そ、そうなの?」
男「違う、違うんだって!!」
女B「何が違うっていうの?」
男「生きちゃった!!」
女B「はあ?」
男「生きちゃったんだって!! 生きちゃったんだからしょうがないじゃないか!!
医者に余命何か月だって言われて、そのつもりで生きてきたけど。奇跡だよ。
奇跡が起きて、今までなんとか生きてこれたんだ。素晴らしいことじゃないか。
でもこの間病院に行ったら、また余命三か月だって言われて、
それで、最期の思い出に花火大会をと思って……。
それをそんな言い方するなんて……、ゲホッ、ゲホッ!!」
女A「○○くん、大丈夫?」
男「う、うん。ちょっと興奮したら気分が……、ゲホッ、ゲホッ!!」
女B「え、あ、ごめん。だ、大丈夫?」
女A「○○くん、どうしよう? 救急車呼ぶ?」
男「あ、いや。ちょっと横になれば大丈夫だから。ここら辺に横になれる場所ないかな?
あ、あそこに連れてってくれれば。二人、肩貸して。あそこ。あそこで横になれると思う」
女A「どこ?」
男「あそこ、ネオンで看板が出てる……、ホテル『モニカ』?」
女B「てめえどこまでもクズだな!!」
女A「余命3秒にしてやろうか!!」
SE:殴る音
N「女、2人とも去っていく」
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