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ポチの絵 月島衣音 売れない画家がいた。 自分の才能に限界を感じていた。 ある時、冗談で、飼っていたポチのしっぽに絵の具を付け、絵を描かせてみた。 犬が描いたとは思えない、なかなかの出来だった。 画商は、「すばらしい絵だ!」と、高値で買ってくれた。 味をしめて、次々にポチに描かせた。 絵は次々と売れ、画家の名はいっぺんに広まった。 「ネオ・シュール・レアリズムの旗手」と、絵は、惜しみない賛辞を受け、 作品展は黒山の人だかりとなった。 絵には、自分のサインがある。 だが、賛辞はポチへのものだ。 画家はポチに嫉妬した。 自分も芸術家のはしくれ。 嫉妬心は高じ、ポチにつらくあたるようになった。 画家のいじめで、ポチは衰弱していった。 だが、ポチは忠実に描き続けた。 ポチは死んだ。 作品が出せなくなった画家の名は瞬く間に廃れ、忘れられていった。 * * * * 「ママ。この絵、買って。」 母親に手を引かれた少女が、路上で絵を売る画家の前で、声を挙げた。 少女は、画家の手から、嬉しそうに、絵を受け取った。 落ちぶれ果てた、売れない画家の、たった一枚売れた、自分の絵。 丹精込めて描いた、生前のポチの絵だった。 〈ion〉
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なんだかちょっと切ないですね‥‥「丹精込めて書いた」というところに、画家のポチに対する愛情を感じます。その愛情を忘れさせてしまうとは、嫉妬とは怖いものですね。 その自分の絵が売れた時、画家は一体どんな気持ちだったんでしょうか‥‥
2005/11/19(土) 午後 6:44
どんな気持ちだったんでしょう?温かなコメントありがとうございます。
2005/11/19(土) 午後 10:20
自尊心によって力で当たった人の成り果てた姿。それでもポチは忠実・・。ううっ(涙。ポチィーーーッ!!
2005/11/20(日) 午後 10:35 [ - ]
いいですね。。
2006/1/14(土) 午前 7:38 [ 絵師見習い ]