|
「となりのキムさん」(1) 月島衣音 オイラ、その日、自転車で行ける距離にあるDVDレンタル屋に行った。 アクション物外国映画を借りて、自転車置き場に戻ると、そこに、 変わったデザインの灰色の背広を着た、丸顔にメガネの中年男がウロウロしている。 天然パーマらしき髪が、広い額の上に薄く乗っかって、ほとんどハゲと言っていい髪型。 オイラを見ると、男は困った様子で話しかけてきた。 「わたしのロールスロイスがないデス…」 「ロールスロイスって、ここは自転車置き場だ。車の駐車場は向こうだよ」 「イヤ、ここに置いといたデス…」 「おかしいことを言うな。ちょっと、そのキーを見せてごらん」 彼の手にしたキーは、見ると、明らかにチャリのカギ。 「あんたの言うロールスロイスって、チャリかよ!」 「国ではロールスロイスしか乗ったことナイよ。乗り物って言えばロールスロイスかと…」 「盗まれちゃったんだよ。あんたのロールスロイス。ま、警察に届けるしかねえな」 彼は警察は困ると言う。途方に暮れた様子に同情し、オイラは訊いた。 「家はどこだい?」 どうやら、オイラの家の近くに邸宅を構えて住んでいるらしい。 「仕方ねえな。オイラのチャリのうしろに乗んな。ご邸宅まで乗っけてってやるよ」 自転車二人乗りで夕暮れの道を行くうち、彼は身の上話をしてくれた。 名前は「キム」さんと言う。大陸に突き出た半島に住んでいたが、最近日本に単身で越して来たのだと言う。 オイラの家に近づいた時、うしろに乗っかったキムさんが叫んだ。 「ここデス、わたし家ここデス!」 「って?! ここ、オイラの住んでる貸家じゃねえか! おんなじアパートかよ?!」 オンボロアパートのとなりの部屋の住人が最近替わった事は知っていた。 だが、乗せてきたキムさんが、その人とは知らなんだ。 その夜、キムさんはオイラの部屋に勝手に上がり込んで来た。 移り住んで来たばかりで、鍋もヤカンも、包丁もなく、テレビさえもないのだと言う。 成り行きで、オイラの作ったチャーハンを二人で分けて食べ、借りたDVDも一緒に見ることになった。 あっちでは「喜び組」とか言う美女の実演ショーを毎夜観ていたのだと言う。 そのキムさん、 DVDを観ていて、主人公が敵に捕まり、さんざん痛めつけられるシーンで本気で怒って言った。 「こいつら皆、許さんデス! こいつらテポドンお見舞いしてやるデス!」 〈つづく♪〉
|
全体表示
[ リスト ]





タイトル及びシチュエーションが似ているのがあったので
TBさせて戴きました〜♪ えへへ〜♪
2009/11/4(水) 午前 4:53
つ、続くの??
こわいなぁ・・・
2009/11/4(水) 午前 6:46
☆AKIさんありがとうございます。そう言えばこの記事以前読ませてもらいました♪ 腹抱えて笑った。
今回、ちょっと視点変えてバカっぽく書いてみました♪
2009/11/5(木) 午前 1:03
☆ぽこたんさんありがとうございます。続きます♪ けどこわくありましぇん♪ バカっぽいだけかも(^^;
2009/11/5(木) 午前 1:06