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「かけがえのない存在」 月島衣音 男が、まだ少年だった頃のこと。 家に一匹の小犬がもらわれて来た。 彼は、小犬に「ポチ」と名を付け、その日から一生懸命世話を始めた。 ポチはすぐに、少年のかけがえのない友だちになった。 とてもかわいがっていたそのポチが、 ある日病気になって、突然死んでしまった。 ポチの死に、少年は、深い、深い悲しみを味わった。 少年が、悲しみに暮れていた時、母親が言った。 「あんたがおりこうにしていれば、神様がポチを生き返らせてくれるよ」 少年は、それを信じて、おりこうになろうと一生懸命になった。 親の言いつけを守り、お使いも、家の手伝いも自分から率先してした。 ポチは、けれど生き返らなかった。 だが、少年はポチとの想い出と共に、その記憶を心の中に大切にしまった。 男は少年から大人になった。 愛する人に出会い、結婚し、娘一人を得てささやかな幸せを手にした。 幸せな家族の生活は、だが、長く続かなかった。 仕事を理由に、家庭を顧みなくなり、遊んで夜遅くなることも多くなる。 次第に家庭に不和が生じ、互いに不満が募り、ケンカが絶えなくなった。 娘はバイトに明け暮れ、生活が乱れ、家に帰らない日々が続く。 そして、男は仕事上の失敗が重なり、職を失うに至った。 自堕落になり、次の仕事を探そうともしない夫に、妻は、愛想をつかした。 娘を連れ、妻は、ついに家を出て行った。 ひとりぼっちになって、男は、深い、深い悲しみに襲われた。 妻が出て行った夜、 男は一人残された部屋の隅で、ヒザを抱え、肩をふるわせて泣いた。 こんなハズではなかった。 自分は真面目に、真剣に、生きて来たつもりでいた。 なのに… 泣いて、泣いて、いつの間にか男は、深いまどろみの中に落ちていた。 深いまどろみの中で、男は、すぐそばに誰かの吐息を感じた。 何者かが彼の鼻をペロペロなめる。 夢うつつで、顔を上げると、そこになつかしいポチの顔があった。 「ポチか?! おまえポチか?!」 朝、目を醒ますと、ポチはたしかにそこにいた。 少年の日の想い出のままに、シッポを振って、体をすり寄せて来る。 男は、母親の言った言葉を思い出した。 「おりこうにしていれば、神様がポチを生き返らせてくれる」 男は、ポチと自分のために朝食を整えた。 その日から、男は、自堕落な生活に決別し、職を求めてハローワークに通い始めた。 しばらく通い、希望通りとは行かないまでも、仕事にありついた。 以前と同じようにはいかないが、仕事を終えて家に帰るとポチが待っている。 再び、ポチは、男のかけがえのない存在になった。 仕事に充実感を覚え、生活が安定して来た時、 男は、妻に電話を入れた。 「わるかった…」 素直になって、わびる気持ちで言葉をつないだ。 受話器の向こうで、妻の嗚咽が聞こえた。 娘の声も聞くことができた。 そして、ある日の夜、妻と娘が、男の元に帰って来た。 ポチは、 妻や娘と入れ替わるようにして、その夜、姿が見えなくなった。 〈ion〉 ★ 今年一年もお世話になりました。
「良いお年を♪」 |
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こんにちわ、最期まで、まさか、まさか、まさか、イオンさんに限って、とはらはらドキドキで、なんや、やっぱしそうなったか。ある意味、今年の締めくくりに、スマイル的、驚きのお話でした。"^_^"◎
来年も宜しくです"^_^"
2009/12/31(木) 午前 11:22 [ rada ]
感動しながらも ダジャレ仕舞いに ポチ! ^^^
気たる年も よろしくお願い いたします。
2009/12/31(木) 午後 6:49 [ ang*a*ugen ]
ぽちに、ぽち。
2009/12/31(木) 午後 7:53
☆radaさんありがとうございます。年の最後にミジンコネタでもやると思ったんですか?! どうして見抜いてるの!
2010/1/1(金) 午前 1:04
☆angyamugenさん♪ 一年間休まず面白ダジャレありがとうございました♪
2010/1/1(金) 午前 1:06
☆KOKOさんありがとうございます。「ポチにぽち」さすが♪ 年の最後でやられました♪
2010/1/1(金) 午前 1:07
この頃はポチでしたか。
改めてナイスを。。。ポチっと
2013/12/11(水) 午後 0:51