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四七、キバを剥く大波 突然、アニキが、こちらを向き直り、いきなりわたしの腕を掴んだ。そのまま、わたしを片手で抱え、銃を突きつけ、里仁模君に向かって怒鳴った。 「キーを! ボートのキーをよこせっ! 持ってるんだろ!」 里仁模君はポケットからキーを取り出し、アニキに向かって投げた。 宙でキーに手を伸ばして掴み、アニキは、わたしを突き飛ばした。同時に高く跳躍し、次の瞬間、アニキはゴンジの乗っているボートに飛び移っていた。 激しい波に翻弄されながらも、ボートはエンジンを始動し、爆音と共に、嵐の海に飛び出した。 だが、直後、海は恐ろしいキバを剥いた。わたしの背丈の何倍もあるような大波が、ボートを追うようにしてその背後から襲いかかった。 「ドドドッパーーンンン!!」 里仁模君の照らす照明の輪の中、ボートはあっという間に転覆し、船底を見せて、そのまま白い波に呑み込みまれていった。 「ゴンジーッ、アニキーッ」 わたしにとって最初は悪党だった二人。その二人をわたしは声を涸らして呼んだ。 「里仁模君! 助けてっ! 助けてあげてーっ! おねがいーっ! 二人を助けてーっ!」 大波の吼え狂う海に体を乗り出して叫ぶわたしを、必死に抱き留めて、里仁模君は怒鳴った。 「だめだっ! ジュリちゃん! だめだよっ! もう助からない!」 「だって! だって、死んじゃうよ! 助けてあげないと死んじゃうよう!」 「キミまで、波にのまれちゃったら、だめだーっ!」 恐ろしい大波は、わたしの声もかき消して、里仁模君の声も呑み込んで、懐中電灯の光の輪の中でいつまでもいつまでも吼え狂っていた。 つづく いよいよ、物語も終章を迎えつつあります。予定では12月28日が最終回です。クライマックスシーンをお見逃しなく、最後まで気を抜かずにご来訪の程よろしくお願いします。
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2005年12月25日
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「不思議な磁石」(1) 月島衣音 そのおじさんは、ボクが大事な給食代をなくして困っていた時に現れた。 おじさんは、着ていたマントの下から、おっきな磁石を出して、ボクにこう言った。 「ケン太、この磁石に命令するんだ。どんなものでも、どこにあっても、命令したものをくっつける。」 ボクは磁石を受け取って、磁石に命令した。 「ボクのなくした給食代の袋をくっつけろ!」 教室の入り口近くに積んであった段ボールの箱の陰から「ビューン」と、給食袋が飛んできて、 持っていた磁石にひっついた。 「ありがとう! おじさん!」 ボクがお礼を言ったら、おじさんが言った。 「ケン太、キミが、いいことにだけ使うなら、この磁石貸してあげよう。」 「ほんとに? いいの?」 「いいとも」 言って、おじさんは姿を消した。 クラスのアカリちゃんが給食お当番セットを忘れて困っていた。エプロンと頭にかぶる三角巾とマスクのセット。 アカリちゃんのママがちゃんと洗濯して用意していてくれたのに、朝急いで来たから忘れちゃったんだ。 ボクは磁石に命令した。 「アカリちゃんの給食お当番セットをくっつけろ!」 お空を、アカリちゃんの家の方から、アカリちゃんの給食お当番セットが飛んで来た。 クラスの窓のガラスにピッタリくっついた。 だれかが窓を開けると、給食お当番セットは、ボクの手の中の磁石にひっついた。 「アカリちゃんの給食お当番セットだよ。」 アカリちゃんに渡すと、アカリちゃんはすごく喜んだ。 「ありがとう!」 この様子を、窓の外の木の陰から見ていたヤツがいた。 (つづきは、またあしたね。お楽しみに!) 〈ion〉
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