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四九、アニキの涙 「ウウウッウーン」 その時、アニキの方が呻きながら目を開けた。救助されて病院に担ぎ込まれた時には、そのまま二人は疲労と緊張から解かれた安堵感で意識を失ってしまっていた。アニキの方が、今、ようやく意識を取り戻したようだ。 「ゴンジは?」 アニキの最初の一声だった。 「ゴンジも無事だよ。ほら。」 わたしが隣のベッドで寝ているゴンジを指し示しながら言うと、アニキはゴンジを見て、ボロボロ涙をこぼした。 「ゴンジ。良かった。…悪かった。オレがこんなことに引き込んだばっかりに…」 良かったのか、悪かったのか、訳分からないことをまた言う男だと、心で言ってみたけど、ほんとは、アニキの言いたいことは良く分かっている。 アニキの意識が戻ったことを知って、警察の人が来た。入れ替わりに、わたしたちは病室を出た。 「あなた方にもあとで、事情聴取させて貰いますから…」 警察の人の言葉に「ハイ」と応えながら、里仁模君は病室のドアを閉め、わたしに、 「…だって」 と、言った。わたしたちはまだ、「解放された訳じゃない…んだって」って意味だ。 「里仁模君、ありがと。」 廊下のベンチシートに腰掛けながら、自然に口をついて出た。つい、里仁模君を見る目が潤んでしまう。 里仁模君もわたしの目をまっすぐに見て、手を握ってきた。そのままの姿勢で、博士の方を見ずに、その博士に言った。 「は、は、博士、き、『禁』を破っていいですか?」 「『禁』って?」 わたしが聞く。 つづく いよいよ明日12月28日が最終回になってしまいました。ずっと、ご愛読くださった方々、ありがとうございます。最後までご来訪、ご愛読の程よろしくお願いします。
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2005年12月27日
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「拓也君のテディベア」 月島衣音 「あなたがいけないのよ。テディベアさん。」 わたしの大好きだった拓也君が行方不明になっちゃった。 拓也君の家族も、警察も、必死になって捜してる。 ごめんね。拓也君。あなたがいけないのよ。 あなたがあんな女に目をくれるから。わたしのこと「好きだ」って言っておきながら。 拓也君のちゃんとした姿を、最後に見たのはこのわたし。 警察にもそのことはしっかり話した。 あの日以来、拓也君は、みんなの前から姿を消したけど、 あの日以来、拓也君は、ず〜っとわたしといっしょにいる。 ごめんね。拓也君。 まだ、憶えたての魔法だったけど、うまくいったみたい。 あなたは、わたしの枕元のテディベアさんに、姿を変えてもらった。 「どこへもいっちゃだめよ。これからは、ず〜っと、わたしのそばにいるのよ。 かわいい、かわいい、わたしのテディベアさん。」 〈ion〉
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