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「原油流出災害の犠牲者」 月島衣音 海底油田が爆発事故を起こし、そのあたり一帯のきれいな海がいっぺんに汚染された。 沿岸には、油にまみれた魚や海鳥がうち寄せられた。 そこに混じって、同じように油にまみれた生き物たちが何体もうち寄せられた。 「た、助けて!」 その生き物たちが、ヘドロの原油にまみれた上半身をもたげ、助けを求めて叫んでいた。 「いま、助けるぞ!」 海辺の男たちはこぞって、手を貸し合い、真っ黒な原油の海から彼らを救出した。 冷たい水を掛けてもらって、彼らは、つぎつぎに油汚れを洗い流してもらった。 真っ黒な油の汚れが落ちた下から、なんと! ブロンドの髪、長いまつげ、白い肌の美しい女の姿が現れた。 だが、その下半身は「魚」。 半人半魚の彼らはなんと! 人魚だった。 「ハーイ! 人魚さん、こっち来てください!」 胸をホタテの貝殻で隠して、美しい人魚たちはやさしい男たちに背負われ、次々に救助されていった。 だが… 「おーっと! あんたはダメですよ!」 同じような女の半人半魚が呼び止められた。 「あんたは、そのまま海にお帰りください」 「えーっ? どうして?! あたしだって人魚よ!」 「あんたは人魚とは言わないの! あんたの場合は半魚人!」 かわいそうに、上半身「魚」、下半身「人」の姿の半人半魚が投げ込まれ、元の油の海に帰って行った。 〈ion〉
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2010年07月27日
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