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一、無茶大路博士 「よう来た! アンポンタン!」 そう口汚く言って、わたしを迎えてくれたのは、無茶大路博士だ。 無茶大路博士は、名護屋大学の偉い教授だったお人で、原子物理学、土木・建築・電子工学、生命工学、人類学、社会学、超常現象と、何でも研究し、博士号のデパートと言われる位、ありとあらゆる学問に首を突っ込み、色んな研究で、世界的にも著名な学者さんだった人だ。 けれども、破天荒な論文を書いて、異色の学説を唱えたりする、マッドサイエンティストとしても有名で、真面目でまともな学者先生たちから白い目で見られてしまい、果ては、学内でも、研究中に何度も、研究室を爆破したりして、とうとう、大学、クビになってしまったという、いわくつきの、ある意味「空恐ろしい博士」なのだ。 博士は、まだ、四〇に届いてもいないはずなのに、もみあげや首筋の生え際には、ずいぶん白いモノが目立っている。そのぼさぼさのブチ毛頭を「ブルンッ」と振り回し、タバコのヤニ臭いきったない白衣を翻してから、研究室兼客間のソファーに偉そうにふんぞり返って座った。 博士は、くわえていたタバコに火を付けてから、わたしに向かって、 「まあ、座れ。アンポンタン!」 と、東海地区では有名なDJ「宮地佑紀生」そっくりの風貌としゃべりで、埃でうっすら白くなっている反対側のソファーを指さした。 わたし「ジュリ」は、愛知県内の大学に通っている女子大生だが、今日、ここ、蒲郡市にある無茶大路博士のお宅に伺ったのは、「夏休みにすごい儲かるアルバイトをやらせてやる」と、博士から誘いを受けていたからなのだ。 無茶大路博士は、名護屋大学をクビになったあと、最近、文化人類学の出版やら何やらの関係で、わたしたちの大学に入り浸っているのだ。そして、なぜか、博士はわたしを気に入ってるようで、来ると必ず、わたしを呼び、雑用を言いつけたりして、助手でもない学生のわたしを、何かと近くに置きたがった。わたしも、この破天荒な博士に、少なからず興味を感じていたので、友人達の「近寄らない方がいい」という忠告も無視し、用もないのに博士の詰めている研究室に寄っては、言いつけられる雑用を聞き、しょっちゅう、そのへらず口を聞いてやっていた。 そんなわたしに、夏休み直前になって、「アルバイトをしないか」と、博士の方から声を掛けてきたのだ。 つづく
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ドキドキ出来事「奇っ怪猫島」
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