ドキドキ出来事ミラクルワールド

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ドキドキ出来事「奇っ怪猫島」

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ドキドキ出来事奇っ怪猫島(31)

今までのあらすじ
 超天才科学者と、地元の人々から称される無茶大路博士。その博士から、わたし「ジュリ」は、「夏休み期間中のボロい儲け」というバイトを頼まれた。まさしく、わたしのタイプ、イケメン里仁模君と、三河湾内に浮かぶ猫島に住み込み、猫たちの世話をすることになったのだが…、
 な、な、なんと、その猫は、博士の開発した新種ネコ・手乗りサイズのミニ猫!! そのミニ猫を狙って、里仁模君の留守の間に、島に侵入して来た二人組の男に、わたしは捕らえられてしまった。だが、ドジな男たちは、ミニ猫たちに脱走されてしまう。

  三一、超音波銃はすごい威力

「気をつけてね。一人はボウガン持ってるから。」
OK!
 姿勢を低くかがめ、里仁模君に続いて、わたしも開け放たれたままだった玄関を「そぉーっ」と出た。

 男二人は、外の生け垣に囲まれた庭の茂みの前に、こちらに背を向けてしゃがみこみ、「おいで、おいで。」と、やっている。煮干しみたいなモノを手に、茂みの下に入り込んだ父猫アビーを呼び寄せようと、必死の様子だ。

手を挙げろ!
 里仁模君が急に立ち上がり、男達超音波銃を向けて怒鳴った。
 その瞬間、アニキが振り返りざま、ボウガンを発射した。里仁模君の手にしている銃を見て、咄嗟に「おもちゃ」と判断したのかも知れない。
 ボウガンの矢は、「カッツーン!」と音を立てて、里仁模君のすぐ横の玄関の柱に突き刺さり、「ビィィーン!」と震えた。
 アニキはさらに矢をつがえようとする。それを見て、里仁模君が言った。
「手を挙げろと言ったのに、やつだな!
「ボ、ボケかましてる場合じゃないでしょ! 里仁模君!
「そだな。」
 余分な間があったが、里仁模君超音波銃の引き金を引いた。
ブゥィン!
 は鈍い音を立てた。途端にアニキは、手にしていたボウガンを放り投げ、「ウギャーッ」と叫んで、自分の頭を押さえた。

手を挙げるんだ。もっとお見舞いするぞ!」
 超音波銃はすごい威力だった。わずかな音しか聞こえないのに、撃たれた本人は相当のダメージを食らうらしい。アニキは頭を押さえてしゃがみ込み、「アワ、アワッ」と、恐怖の声を上げている。ゴンジもアニキの姿を見て目を白黒させ、訳が分からないという顔をして両手を挙げた。
 銃の威力もすごいが、わたしの目には里仁模君がとっても頼もしく見えた。

 つづく

ドキドキ出来事奇っ怪猫島(30)


  三〇、頼りにしてます里仁模君

 里仁模君が買い出しに行き、一人、猫島を守っていた時、ミニ猫を狙って侵入して来た二人組の男に、わたしは捕らえられてしまった。男達はわたしをミニ猫の部屋の柱に縛り付けたまま、逃がしてしまった父猫アビーを捕らえるために、外に出て行ってしまった。
 アビーはなかなか捕まらないのか、男達は二人とも戻ってこない。
 だんだん外は暗くなり始めている。里仁模君はどうしてしまったのか、彼も行ったっきり戻ってこない。
 けれども、その時、部屋のドアが音もなく開き、人影が忍び込んできた。

里仁模君!
「シッ! 静かに。」
 薄暗くなりはじめた部屋を「スルスルッ」と横切り、口に人差し指を当てて、近づいてきたのは里仁模君だった。見ると、里仁模君はすでに超音波銃を手にしている。里仁模君は銃を床に置き、手早くわたしの縄をほどきにかかった。

「どうしたの? いつの間に戻っていたの?」
「ちょっと前にね。戻ってきたら、船着き場に怪しいボートが泊まってたんで、この間のこともあったから、エンジン止めて、オールで漕いでボートを付けてたんだ。それで、遅くなった。今、縄をほどいてあげるから。」
「良かった。里仁模君まであいつらに捕まらなくって。」
「何人いるの? やっぱ、ミニ猫、狙って?」
「そう。二人組。ヤツらミニ猫のことも知ってるし、最初からアビーを狙って盗んで行くつもりで来たらしいから、ミニ猫同士じゃ子供できないとかいう詳しいことも、かなり知ってるみたい。」
「そっか。やっぱ、こういう情報って漏れるの早いんだな。」
 小声でそう、話している内に、縄はほどけた。

 つづく

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ドキドキ出来事奇っ怪猫島(29)


  二九、恐怖のタネ猫?

 博士は、あのミニ猫アビーが特別にケージに入れられていたのを、ウィルスから守るためとか言って説明したけれども、逆にこういう凶暴な性格から、人間を守るためだったんじゃないかって、その時、何となく合点した。
 でも、今はそんなことより、アビーや他のミニ猫たちを逃がしてしまったことの方が大問題だ。わたしには、この黒ずくめのアニキゴンジより、「ミニ猫を、逃がしたり、盗まれたりしたら、減俸」って言ってた博士の言葉の方が恐ろしかった。「島には誰も寄せ付けちゃならん」とも言ってたのに、すでに全部破られている。減俸どころか、バイト代全額「ボッシュート」が、わたしにとって最大の恐怖だ。

 アニキは、自分で逃がしてしまったくせして、
「てめーっ! ばかやろーっ! 全部逃がしちまって、どうすんだよ、このヤロー!!」
と、ゴンジに向かって怒鳴っている。おバカなゴンジも、
「すんませーん! アニキ、申し訳ない!」
と、謝る。
「早く、逃げたネコ、とっ捕まえろっ!」
 アニキは、ゴンジを追い立て、自分も、猫たちを追って外へ飛び出して行ってしまった。

 柱に縛られ、一人取り残されたわたしは、今の内になんとか、グルグル巻きのロープをほどこうと必死になった。自由になれば、例の「超音波銃」でヤツらに立ち向かえる。
 里仁模君にも何とか連絡を取らないと…。知らないで帰ってきたら、里仁模君までヤツらに捕まってしまう。けれども、ロープの縛り目はきつい。歯を使おうと思っても後ろ手に縛られた手は、口が全く届かない。

 つづく

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ドキドキ出来事奇っ怪猫島(28)


  二八、ミニ猫大脱走!

 アニキは逃げていくミニ猫を見て、
「クッソーッ! あの猫たちもとっ捕まえてきゃ、高く売れるのによぉ!」
と、悔しそうにぼやいていたが、
「まあ、いいや、タネ猫さえ、捕まえりゃ、バンバン増やせるんだから。」
と、未練を残した表情のまま部屋に入った。

 部屋に入ると男達はあたりを見回し、すぐにケージにいる「父猫アビー」を見つけた。
「これですかい? アニキ。『タネ猫』は?」
「これ、これ! これにちげぇねえ! すんげぇよ! ゴンジ、てめぇは分かるか? このタネ猫が、へたなダイヤモンドの指輪、何十個分、いや、何百個分の価値があるんだってことをよ。」
「分かりますよ。オレだって。ねえ、すげえですね。オレ達、大金持ちってことですかい?」
「うるせえ! てめぇは! いいか、てめぇがヘマやったら元も子もねえんだ。いいから、ゴンジは、その女、逃げねえように、ちゃんと、とっ捕まえておけ!」
 アニキは、そう言うとケージのガラスの蓋を開けにかかった。ゴンジわたしをこづいて、部屋の真ん中の柱に縛り付け、自分はそのすぐ脇にあぐらをかいて座った。

イテテテテーッ!
 その時、ケージの蓋を開け、中に手を突っ込んでタネ猫を捕まえようとしていたアニキが悲鳴を上げた。突っ込んだ手を、アビーが鋭い爪で引っ掻き、指先にも思い切り咬みついたようだ。引き抜いた手から、真っ赤な血が噴き出している。アビーは、見かけによらず相当の凶暴ネコみたいだ。
 ミニ猫アビーは、男が開けた蓋のすき間から、あっという間に飛び出し、そのまま、ヒラリ、ヒラリと飛び跳ねて、ドアのすき間から、脱走して行ってしまった。きっと、他のミニ猫と同じ様に、屋外まで出て行ってしまったに違いない。

 つづく

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ドキドキ出来事奇っ怪猫島(27)


  二七、すでに漏れている情報

アニキ、ボートがなかったてことは、おおかた、ダンナの方が買い出しにでも行ってるんじゃねえんですかいね。」
ゴンジ、てめぇは、だまってろ! 言われんでも、オレだってそのくれぇ分かってらあ!」
 アニキは、弟分のゴンジにそう言うと、また、わたしに向かって、
「ダンナはいつ帰ってくるんだ?」
と、聞いてきた。わたしは曖昧にしか応えられない。
「もう、そろそろ、帰って来る頃だと…。」

アニキ、今の内に早いとこ、『タネ猫』、奪って逃げましょうや。」
「てめぇは、だまってろって言ってんだろうが!」
「ヘイ。」
 ゴンジと呼ばれている弟分は、シュンと縮こまってしまった。どうやら、この男達はミニ猫のことも、ケージのお父さん猫のことも知っているらしい。「タネ猫」と言っているのは「アビー」のことに違いない。
 すでに、ミニ猫の情報は漏れていて、早くもこうやって、博士の研究の成果を奪いに来る連中がいるということだ。博士は「ミニ猫の情報は絶対に外に漏らさんでくれ」って言ってたのに、わたしたちが漏らす前に、もうすでに漏れちゃってるんじゃないですか。

 アニキゴンジは、縛ったわたしを追い立て、本館の玄関のドアを開けて、土足で中に一緒に入った。
ミニ猫のいる部屋はどこだ?」
「そ、そこです。」
 わたしは、手の自由がきかないので、口をとがらせて、ミニ猫のいる部屋を指し示す。

 ゴンジが、部屋のドアを開けた。鍵は掛けていなかった。
 その途端、中から、ミニ猫たちが「ワアッ」と、飛び出してきた。猫たちは、開け払ったままだった玄関ドアの方へ駆けて行き、みんな外へと脱走して行ってしまった。

 つづく

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