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面白かった小説…勝手書評

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ionが読んで良かったと思う作品を勝手に書評♪
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「ぬしさまへ」 畠中 恵  新潮文庫

 「しゃばけ」が良かったんで、さっそくシリーズ二作目の「ぬしさまへ」を読んだ。
 例によって病弱主人公「一太郎」が、妖しくも不可解な難事件に立ち向かっていくさまを描く「時代劇ミステリー」。今回は、ぬしさまへ、栄吉の菓子、空のビードロ、四布の布団、仁吉の思い人、虹を見し事、の六編の短編集仕立てになっている。一太郎のばあさまは齢三千年の大妖。その血を受け継いでいるから一太郎には常人に見えないモノが見える。手代となって身の回りの世話をしてくれる佐助と仁吉の二人も、実はじいさまが病弱一太郎の身を案じて連れてきた妖なのだ。前回の「しゃばけ」で明かされなかった大妖のばあさまの素性や仁吉の恋が語られ、一段と面白く、あやかしの世界に引きずり込まれる。

 「空のビードロ」についてだけ少し触れてみる。「しゃばけ」に出てきた異母兄の松之助が主人公のこの話、江戸の世の奉公人の悲哀が伝わってくる。松之助の奉公先のおかみが可愛がっていた猫のおたまが無惨な姿で殺される。猫殺しは次々に起こり、その現場に松之助の手ぬぐいが落ちていたことで犯人と疑われる。おかみにも邪険にされ、味方と思ったお嬢さんの企みも知り、自暴自棄になりかかる松太郎が、草むらで見つけた空色のビードロ。なぜか見ているとすさんだ心が洗われる。江戸名物の火事でお店が焼かれ、命からがら逃げ出したが、明日から食っていけるあてがない。奉公先を探すつもりで、大店の連なる通りにフラフラと来て、拾ったビードロの落とし主に出合った。すさむ心を癒してくれたビードロの元の持ち主はなんと……。

 一太郎は大店の若旦那だが、何度も死にかけの大病を患う中で多くを学んだせいか、決して鼻持ちならない金持ちのボンボンなどではない。難事件を解決する明晰な頭脳と、人を思いやる気持ちが人一倍の一太郎に好感が持てる。
 今朝(11月24日)の新聞のテレビ欄を見たら、ちょうど今夜9:00にドラマ化された「しゃばけ」をやる。これはぜひ見なくっちゃ♪ というわけで、今回もオススメ二重マル。

    〈ion〉

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「しゃばけ」 畠中 恵  新潮文庫

 妖怪、あやかし、魑魅魍魎、この世には目に見えぬとも、そんなものがいっぱい溢れて跋扈している。
 主人公「一太郎」には、なぜかそれが見える。見えるどころか日常接して会話もする。なぜそんなことが出来るのか
 物語は、江戸の町人の世界を舞台に、一太郎の目前で起こった殺人事件を中心に、そんな彼の不可思議な生い立ちを描いて、この世の物ならぬ妖たちと謎の解明に挑む、時代劇ミステリーになっている。

 と、まあ、難しげで怪しそうな書き方で始めてしまったけど、本文はやさしく、親しみやすく、妖たちが生き生きと楽しく描かれているので、とても面白く読みやすい。
 「妖なんて」と言うかも知れないが、思えばionも幼なかりし頃はそんな妖怪たちと日常から接していた…と、言うのはウソだけど、そんな感覚で生きていたように思う。この話の中に「鳴家(やなり)」なんて小鬼の妖がでてくるが、夜、「ミシ」とか「ギシ」とか家が鳴るのは、その「鳴家」の仕業だ。そんな妖や、ふすまの陰から顔をのぞかせる「屏風のぞき」なんぞの存在は、幼い昔、いつも身近に感じて生活していたように思う。

 主人公「一太郎」は、産まれた頃から病弱で、大店の両親からは大甘に育てられている。そんな一太郎を守るべく、店に働く手代に姿を変えた二匹の妖が、絶えず寄り添う。だが、おぼっちゃま育ちの一太郎にも悩みや秘密がある。それは、自分を守ってくれている妖たちにもうち明けられぬ。夜中一人こっそり家を抜け出し、出掛けた帰りに、怖ろしくもおどろおどろしい人殺しに出くわしてしまう。岡っ引きの親分や幼なかりし頃からの親友も出てきて、例の妖たちの力を借りながら事件を解決しようとするが、さあ、この人殺しが尋常ではない。

 江戸の町人の生活も生き生きと描かれ、妖どもと関わるが故に起こる難問と必死で向き合いながら、事件の謎に立ち向かって行く一太郎に、読みながらついつい声援を送ってしまう。怪しげだけど、痛快な謎解きもあって、ぐいぐい引き込まれる。
 本屋で手に取った時は、「つまんない本だったらどうしよう」と一抹の不安を持っていたけど、ion的には大々大ヒット どえらく面白い作品に出合ったもんだ シリーズ二作目、三作目も出ているようなので、さっそく買って読まなくっちゃ♪ オススメです

    〈ion〉

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「床下仙人」 原 宏一  祥伝社文庫

 この家には何かいる。
 新築の、これからン十年とローンを払って行かなきゃならない家で、妻がそんなことを言い出したら…。
 「新奇想小説」と銘打っている。妖しげな小説ってことだ。怪しげってことでもある。
 家は新しくなったが、通勤時間は長くなり、出張に、連夜の泊まり込み仕事。その家に帰れるのは週のわずかな時間。そんな亭主に妻は愛想をつかす。そして、「この家には何かいる」と言い出した妻。家族の幸せを思って買った家が、家庭崩壊の火種になって…。
 面白いけど、現代の世相を皮肉っているから、多分に身につまされる。

 表題の「床下仙人」の他、「てんぷら社員」「戦争管理組合」「派遣社長」「シューシャイン・ギャング」の五つの短編集。
 ion的に特に良かったのは「シューシャイン・ギャング」。いきなり女の子が自分の足元にしゃがみ込み、靴を磨き始めたら…。会社からも、家族からもリストラされた中年男と、家出娘の奇妙でスリリングな共同生活が始まる。

 今の社会、家族は崩壊して、会社組織も様変わり、人情や忠誠、信用、義理、恩義、そんなものはみんな死語になり、金だけが判断基準のものさしになってしまった。これから先ニッポンはどうなってしまうんだなどと、なげいても仕方ない。未来なんて誰にも分からない。なるようになると高をくくるしかない。
 それでも…、と、あがいたり、もがいたり、著者のそんな抵抗が、文字の端はしに浮かんでくる。どの短編も、ため息しか残らない結末だったりするけれど、そうだよなぁ、あがいてみるのも必要かもなと、いつになく神妙になるionであった。

 「新奇想小説」ってのに余計な期待を持ちさえしなければ、おすすめです。

    〈ion〉

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「博士の愛した数式」 小川洋子  新潮文庫


 ず〜っと読みたいと思っていた一冊。本屋で文庫を目にする機会が何度もあったのに、なぜか手に取ることができないでいた。映画も原作も素晴らしいという評価ばかり聞こえて、すぐに飛びつくのは、それに迎合するようで、妙な抵抗感があった。
 だけど、そんなバカげた抵抗感は早く振り払うべきだった。素直に良かった。

 八十分しか記憶がもたない「博士」。離れにひとり住む博士のところへ派遣された家政婦。「息子を連れてくるべきだ」と叱られて、連れてきた十才の息子を、博士は「ルート」と呼んだ。博士と家政婦とその息子の奇妙で心温まる交流が始まる。
 博士は、緊張すると特に、数字の話を始める。「数式」だけが、わずかな記憶を留めおくことしか出来ない博士の、より所だから。そのことを理解して、家政婦と息子のルートは、博士の信頼を寄せることの出来る唯一無二の「友人」となる。
 だが、記憶を留め置くことの出来ない博士ゆえに、義姉の誤解によるトラブルで家政婦は解任されてしまう。

 解任された家政婦が、再び博士の世話を任され、ルートと博士の離れに通うことが出来るようになったのは、博士の魔法の「数式」のおかげ。家政婦の雇い主、博士の義姉の「未亡人」は、数式の意味を理解した。
 かたくなに家政婦とルートを拒んだ「未亡人」の心を溶かした、博士の魔法の「数式」。いったいその数式にどんな意味があったのか? 読者には最後まで明らかにされない。家政婦も意味を知ろうと試みるが、分からずじまい。
 だが、知らずに終わるからこそ、あばかれずに済み、美しいまま留め置かれる宝石箱もある。
 博士と「未亡人」の間に深い情念があったことは、推し量るばかりだが、「数式」が二人をつなぐ「言葉」だったことは確か。「数字」が織りなす不思議な神のレース編みの美しさを知る者同士だけが語り合える「言葉」。
 ほんのり、じんわり、心、沁みいる感動…。全体に、不思議と静かに、ゆったりと、温ったかさに触れるような、そんな読後感でした。


 「家政婦」がそうだったように、「数学」と聞いただけで虫ずが走る人は多いと思う。自分もそう。けれど、この作品から「数学」への見方が、ちょっぴり変化した。「数字」の美しさ、「数字」の持つ神秘に、心打たれた。難しい「数式」は、やっぱり敬遠したいが、何とも言い難い不思議な「数」への畏敬の念が心に宿った気がする。

 ここまで書いて気が付いた。はじめに書いた「妙な抵抗感」、もしかしたら「…数式」ってタイトルへの抵抗感だったのかも知れない。もしも、ionと同じ感覚でもって、それでこの本を手に取ることが出来ないでいる人がいるなら、…教えてあげたい。それ、やっぱ、「バカげた抵抗感」だよ。
 「数式」大っきらいな人にこそ、ぜ〜〜〜〜ったい、おすすめの一冊。

    〈ion〉

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「パラレルワールド・ラブストーリー」 東野圭吾  講談社文庫

 東野がいかにも得意とするSFミステリー。タイトルは「パラレルワールド」と言うが、中身はちょっと違う気がする。
 とにかく、SFしている。筆が躍っている。ややこしげなサイエンス → コンピュータ → 脳科学系の専門用語がズラズラ出てくる。こういうストーリーが、多才な東野の一番書きたいジャンルなんだということが良く分かる。ionは大好きだから、どういう理屈でそうなるのかと、仕組みについて胸躍らせて読んだが、苦手な人は、ま、そんな専門用語は読み飛ばしても構わない。作者の趣味で、そんな用語が頻繁に出てくるだけと思えば良い。読み飛ばしたって、恋愛小説の部分を追いかけて、充分楽しめる。
 それより何より、SFであり、同時に完璧に恋愛小説しているんだから面白いったらない。

 親友と同じ、一人の女性を愛してしまった主人公。友情を取るか、恋を取るか、苦悩するシーンは切なく、まさしく恋愛小説している。だが、重要なのはそのテーマ。
 「パラレルワールドではない」と書いたが、そこがこの物語をSFミステリーにしているキーワードだ。
 自分の記憶が曖昧になっている。親友だった男との友情があやふやになっている。愛する恋人との想い出が動揺している。夢に見る別の記憶はいったいなんだ? 混乱したような異様なストーリー運びがミステリーになっている。本物の記憶を取り戻すために、主人公は後戻りできない塀を乗り越える…。

 もし、人の「記憶」を操作することができたら…。「記憶」っていったいなんだろう? 改めて問うてみると……
 分からなくなる。

 おすすめです。

    〈ion〉

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