オランダ坂から

はかなさは花月の門につるしたる金燈籠の灯より来るらし 勇

植物

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 あけびの実を頂いた。

野生ではない。その人の庭の木に実ったものだ。今まで食べたことがない。少年期、

山に取りにいったことがあるがたしかに生ってはいたがその時の背丈で取れる場所で

はなく断念するほかはなかった。当時、山は常に人の手が入っていた時代であるが松

茸などの茸類は「あの爺さんが知っている」と噂になるほど他人には教えず家伝とし

て存在した。生家の山は、薪や松葉を集める位で茸類の出る場所はなかった。それで

も山にはいると山百合を一抱え持ってきたり、しめじなどは自分の山まで行く山道か

ら採ることができた。

 あけびは、今やスーパーで山形などで栽培されたものがこの季節に並ぶが食べたこ

とはない。紫色の皮を剥ぎゼリー状の果肉が出る。種が多い。その種を吐き出しなが

ら食べた。甘い。不思議な味である。種が多いのが難点であるが甘味の少ない少年期

に食べていたら驚愕した味となったことだろう。一頃は「まぼろしのあけび」とも呼

ばれた。農村部の貴重な甘味であり、冬へ向かう食の彩りを飾った貴重な果物であっ

たのがよくわかる。


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