オランダ坂から

はかなさは花月の門につるしたる金燈籠の灯より来るらし 勇

音楽

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 この交響詩は、私の一番好きな曲でたびたび聞いている。

この曲を聞くとチェコスロバキアの美しい自然と苦難からの開放の喜びが伝わってく

る。チェコスロバキアの歴史に疎い私でさへこの国の歴史は他国の長い侵略と抑圧が

大半を占めていることくらいは理解している。近年でさへ、帝政ロシア、ナチスドイ

ツ、ソ蓮等の支配が継続していた。「プラハの春」で独立を勝ち取ったのは私の年齢

だと最近のことである。

 小林氏がチェコ・フイルハーモニーを指揮したエピソードを読売紙上で書いておら

れる。練習で曲を止めたところある楽団員が「この曲は我々のバイブル聖書だ。どう

して止めるのだ」「あなた方外国人は、この曲を美しいと感じるでしょう。しかし、

私たちチェコ人は、そこにおびただしい血が流れていると感じるのです」と抗議を受

け、その後、ホテルで話し合いを持ち、2002年のスメタナの命日に開催された「プラ

ハの春音楽祭」で同曲を指揮し大統領も出席した演奏会で聴衆総立ちの歓迎を受けた

と書いている。

 ヒットラーが好きだったワーグナーの曲がイスラエルの公式な音楽学会で演奏され

ることはない。ワーグナーはユダヤ人の解放を非難した作曲家であったことは有名な

話である。音楽は当然、作曲家の育った国の歴史の延長線の上に生まれる。「国境」

の概念の希薄な日本に育つとこうした過酷な歴史を持つ民族から生まれた音楽はただ

「美しい」「癒される」だけでは済まない事例である。その国への敬意と尊厳がい

る。


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